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■ お夜食 ■ by phantom 「はぁ〜〜〜〜」 今日はちょっと飲み過ぎてしもたわ。はぁ〜 やって大学の時からの友達が結婚するいうて、その前祝いやぁ〜とかで女5人集まって宴会や。 一軒目は普通に居酒屋で、二軒目がおしゃれなジャズバーで、三軒目が洒落たショットバーで、四軒目が屋台。 「・・・・・・・」 ちょ〜と梯子し過ぎたかもしれへん・・・ 「平次もうとっくに寝てるんやろなぁ〜」 場所移動する度に連絡寄こせ、とか言うから三軒目までは一応メールしたんやけど。 四軒目は流石に舞い上がっとって、すっかり忘れとったわ。 「このまま自分の部屋に帰ろっかなぁ〜」 終わったら必ず来い、とかも言うとったけど。 流石にこの時間やと・・・ ちらっと腕時計に目ぇやると、2時とか指してるし。 「そやけど・・・必ず来い・・・やし・・・」 少しだけ考える振りをしたけど、結局は平次の部屋ん方に向ってしまう。 「寝とったら、そっと横に入れてもらう」 事務所が入ってるビルを下から見上げると、4階の窓に灯かりが点いとる。 「平次・・・まだ起きてるんや」 ここまでダルダルでぽてぽて歩いて帰って来たのに、何や自分でも現金なくらい足取りが軽なった。 階段を2段飛ばしに駆け上がって、るんるん気分で平次の部屋の鍵を開ける。 それでも一応深夜ちゅうこともあって小声で室内に声を掛けた。 「ただいま〜」 玄関でしばらく待ったんやけど、室内はシ〜ンて静まり返っててな〜んにも聞こえてけぇへん。 もしかして遅なったから、怒ってるんかな? やって部屋に灯かりが点いてる限り、平次が寝てることは無いし。 ああ見えて平次意外に真面目やから、寝る時は絶対に電気消すんやもん。 まぁ、これはおばちゃんの厳しい躾の賜物やけどね。 「平次?」 そ〜っと足音立てへんように、リビングに入ってみた。 あれ?テレビが点いてる。 ってことは平次は起きてるん決定や。 「平次?遅なってごめんな」 ソファーを回って平次が居るであろう、テレビ前のラグが敷いてある場所にゆっくりと歩いて行った。 「あ・・・」 確かにそこに平次は居った。 やけど、クッションを枕に気持ち良さそうに眠ってるやん。 珍しい・・・ 平次が転寝してるなんて・・・ 「待っててくれたんやね」 きっと眠たいのを我慢してあたしが帰るんを待っててくれたんや。 なんか心がホコホコ温かくなってくる。 いっつも態度も言葉使いも悪うて横柄やけど、こういうところは結構可愛ええ平次。 「少しはあたしんこと心配してくれたん?」 平次の横にしゃがみ込んで、そのほっぺをツンツンて突付いてみる。 そしたら眉間に小っこい皺が寄った。 「ふふ・・・」 その様子が可笑しくて、更に反対のほっぺも突付いてみた。 今度は鬱陶しそうに首を振られた。 「面白いかも・・・」 平次の可愛ええ反応が面白くて、あたしのイタズラはついついエスカレートしてまう。 おでこにチュッ、ほっぺにチュッ、そして首筋にチュッ。 その度に平次は小さな反応を返す。 面白いけど・・・やばい・・・かも・・・・・・ 「食べちゃいたい・・・」 普段は自分から仕掛けることなんて絶対にせぇへん。 ましてや、今みたいに自分から平次の上に乗るなんて。 僅かに思考がぐるって回ったんやけど、結局また平次の方へ向いてまう。 仕方無いやんな。 好きなんやから。 「いただきます」 小さい声でいつも言ってる食前挨拶と手を合わせて、ちょっと贅沢な夜食に齧り付いた。 |
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「でも結局最後は平次の夜食になる和葉ちゃんでした(笑)」 by phantom |
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