たまには休暇を ■ by yuna


「う〜〜〜ん、気持ちいい〜〜〜!!」


ドッピーカンな青空。
目の前の噴水が、朝日を浴びてキラキラ輝く。

オレはよれよれのワイシャツに、いつものスーツを着て。
徹夜明けで疲れた身体を公園のベンチに沈めると。ネクタイを緩めながら、隣に座る和葉の横顔を見た。
一方和葉といえば、流れる黒髪を際立たせるようなアイボリーのスーツに、いつもより少し低いヒールの靴。
そこには昨夜のハードな任務など、微塵も感じられなくて。
今にも会社に出勤するOLのような、そんな少し大人びた姿だった。


遠くから、電車の走る音が聞こえる。
光る朝日は徐々に趣を変えながら、無機質なビル群を鮮やかに染めていく。
そんな、1日の始まり。

この爽やかな光は、本当に昨日から繋がっているのだろうか。
なんて、そんなことを考えてしまうぐらい昨日とは違う一日を密かに期待しながら。

気持ち良さそうに伸びをする彼女に顔を緩ませつつ。
ようやく訪れた安らぎを胸いっぱい吸い込むよう、オレも彼女に習い大きく身体を伸ばした。



「ホンマやな〜〜めっちゃ気持ちええわ」
「最近働きすぎやもん、今日は1日のんびりしような」


出たな。 必殺、上目遣い。
そう言って可愛いく睨む和葉の背に、伸ばした腕をそのまま回す。
誰もいないことを確認して、オレは和葉を胸に収めた。



そうやな、たまにはこんな日もええ。


大好きな街と、大好きな人がいる幸せ。
それを、胸いっぱい感じながら。

オレはひと時の安らぎに、身を任せていった。



「戦士にも休息を。 場所は天王寺公園にて。」 by yuna