■ カーネルおじさんの祟り ■ by 月姫

 
休みやっていうのに明け方に目が覚めた。
 
二度寝したかったんに、抱き枕が居らんからか眠気が戻らんかった。
 
抱き枕が居らん理由を思い出して、がっくり落ち込んだ。
 
ハラが減ったから冷蔵庫開けたら、酒と漬物しか入っとらんかった。
 
弁当を買いに行こうと思ったら、ピンピン跳ねた寝癖が中々直らんかった。
 
新作のシールに釣られて買ったコンビニ弁当の味が微妙やった。
 
昼は外で喰おうと思ったら、行きつけの店が改装中で休みやった。
 
仕方ないから隣の店に入ったら、オバチャンに掴まって世間話に付き合わされた。
 
気晴らしに本屋に寄ったら、楽しみにしとった新刊が売り切れとった。
 
ついでやからと電気屋ブラついとったら、いつの間にか新製品のデジカメ買うてた。
 
まあ、仕事で使うからええかと思ったけど、先週ビデオカメラ買い換えたばかりやと思い出した。
 
晩メシはまたコンビニでもええかとそのまま部屋に帰ったら、夕刊取ってくるのを忘れた。
 
夕刊は後でええわとテレビをつけたら、阪神がボコボコに打たれとった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「はぁ……」
 
ため息ついて、缶ビールをそのまま呷った。
そんな日もあるさと笑い飛ばすには、足りないモンがある。
テーブルに転がしとった携帯を引っ張って、ぽちぽちとメールを打った。
 
『件名:SOS』
『本文:オレが悪かった』
 
返事はなかった。
 
「ええトコなしやん……」
 
メールも電話も来ないし、阪神は完封されるし。
色々ヘコんで、いっそビールの缶でタワーでも作ったろうかと思った時、インターフォンが鳴った。
面倒やなと思いつつのろのろと出てみれば、待ち焦がれた姿。
 
『開けて』
 
和葉の両手には、スーパーの袋。
いそいそとドアを開けて荷物を取り上げたんは、言うまでもない。




「不運な一日の始まりは、和葉ちゃんの不在から(笑)」 by 月姫