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- キリ番「10800」リクエスト - ■ 服部探偵事務所24時 - timeⅡ- ■ -春夏冬中シリーズ④- by phantom 13:00 そろそろお昼の準備始めよ。 仕事の手を止めて、2時間ぶりに椅子から立ち上がる。 「う~~ん」 背伸びと固まってしもとる体を解す為に、少しストレッチみたいなことをする。 「はぁ・・・最近運動不足やもんなぁ・・・」 ちゅうても変な運動は毎晩やらされとるけどね。はぁ・・・ 14:00 「帰ったで~!まずは飯や」 平次は荷物を自分の机に放り投げると、事務所内に在るキッチンのテーブルに向う。 「お帰り~。夏穂ちゃんもお疲れ」 「只今~和葉さん。もうお腹ペコペコです」 2人が帰って来る時はあたしも一緒に食べるから、狭いテーブルに3人分のお昼を並べて仲良く昼食やねん。 始めは楽しく食べとったのに平次が壁に掛けとる写真見て、 「ええ加減、これ何とかせぇや」 てぼやいた。 これとは、あの時KIDが撮ってくれたあたしのウエディングドレス姿の写真。 数日後に朝事務所に来て見たら、あたしの机の上に大きく引き伸ばされた写真が額に入って置いてあってん。 あたしは嬉しうてあたしらの部屋に持って帰ろうとしたんやけど平次がどうしてもあかんて言うから、仕方なくここに飾ることにしたんよ。 「ええやん。あたしこの写真気に入ってるんやもん」 「そうですよ!何言うてるんですか平次さん。この和葉さんめちゃめちゃ綺麗ですやん」 「もう夏穂ちゃん。そないに煽てもおやつのケーキは1コやで」 「え~!せめて2コ!」 夏穂ちゃんには、この写真を誰が撮ってくれたかは言うてへん。 やってあのKIDが撮ってくれたなん言うたら、大騒ぎになること間違い無しやから。 15:00 「あの~ご相談したいことが・・・」 3人それぞれに自分の机で仕事しとったら、若い男の人が訪ねて来た。 お客さまや。 あたしが出迎えて応接セットにご案内すると、平次がやっと椅子から立ち上がってお客に挨拶する。 そんで、 「服部平次いいます」 と名刺を渡して自分もお客の前に座るんがいつものパターンや。 あたしと夏穂ちゃんはそれぞれ自分の席で手を止めて、お客の邪魔にならんように話を聞く。 もちろん、お茶はすぐに出すで。 16:00 今回の依頼は”今時マジかいな?”と思うような、お客の家に伝わるタタリについての相談やった。 しかもこの人、わざわざ長崎からここまでそれを平次に相談しに来たみたいやねん。 始めは平次も渋い顔しとったけど、どうも過去の未解決な殺人事件が絡んでるみたいで顔付きが段々本気モードになっていっとる。 警察がお手上げした未解決事件は、平次のもっともスキな依頼の一つやねん。 お父ちゃん堪忍な。 「分かりました。ほな、明日にでも早速伺わせてもらいますわ」 ほらな。 もう他の依頼は後回しにする気やで、これで明日から出張決定やわ。 「服部さん御一人で・・・」 「いや、もう1人助手を連れて行こう思うてますが、あきませんか?」 「あっ、いえ・・・」 「和葉」 平次に呼ばれてその後ろにそっと立つ。 するとこのお客は何や嬉しそうな顔してねん。 「こいつ連れて行きますわ」 「は・・はい。やったらお部屋ば2つご用意しておきます」 「それやったら1つで構へんですわ。こいつ俺の嫁はんなんで」 「え?」 動きが止まって両目を見開いてはるけど、この人どしたんやろ? あ!平次が結婚してるて聞いて、驚いてはるんやね! あたしらの結婚は世間には公表されてへんからな。 これもお父ちゃんが絶対にあかんて言うてるからやねん。 何でも平次とあたしが結婚してるて知れたら、あたしの身が危険に晒される可能性が大きくなるんやて。 ほんまお父ちゃんの心配性にも困ったもんやわ。 17:00 さっきのお客は平次が依頼を引き受けたのに、何でか少し肩が沈んでる風やった。 何度もお辞儀して帰って行く後姿が、心持哀愁漂わせてみたいに見えたのはあたしの気のせいやろか? 「流石和葉さん!この男殺し!」 「?」 あたしが下げたコップを洗ってると、来客の為に食べ損ねたケーキを取りに夏穂ちゃんがやって来た。 「さっきの依頼人、和葉さんに一目惚れしはったみたいですやん」 「はぁ?何言うてんの?」 「またまたぁ~。平次さんはすぐに気ぃ付いたみたいですよ。そやから、わざわざ和葉さん側に呼んで、自分の嫁はんやて釘を刺したんちゃいます?」 「有り得へんわ。平次そんなタイプとちゃうし」 そうそう。 平次はそんなこと気にする人種やない。 「和葉さん、平次さんの涙ぐましい努力を知らへんのですね?」 平次の涙ぐましい努力? ・・・・・・まったく想像出来へんし似合わへんやん、それ。 「ごめん。まったく分からんわ」 「はぁ・・・」 溜息つかれてしもた。 「和葉さん1人暮らし始めてから変な手紙やファンレター貰うてへんでしょ?」 「ファンレターいうんはよう分からんけど、そう言えば平次のファンからの嫌がらせや苦情の手紙は見てへんような気ぃするわ」 「でしょ?それはですね、平次さんがわざわざ郵便局員に頼み込んで名前の無いモンや少しでもおかしな手紙は一々避けてもろうてるからなんですよ。それにね」 夏穂ちゃんの説明はそれから暫らく続いた。 あたしには初耳なことばっかりやったから、正直信じられへんかったわ。 18:00 平次の涙ぐましい努力とやらをさっき夏穂ちゃんにぎょうさん教えられたせいか、どうしても平次が気になってチラチラ見てまう。 「か~ず~は~!さっきから何やねん?言いたいことがあるんやったら、はっきり言わんかいっ!」 とうとう平次をイラ付かせてしもた。 「・・・・・・・・・・」 それでもじ~~~と平次を見てまう。 この男があ~んなことや、こ~んなことをどうしてもしてる様には見えへんのよなぁ。 まぁ、ここと上の部屋の鉄格子については、実際に在るんやから分かるけど。 夏穂ちゃんはあたしが一人ん時の安全確保の為やとだけ言うてたけど、これはどうみてもKID避けやん。 やけどその他の手紙とかプゼントとかこのビル周辺の見回りとか、あたしがよく行くお店の下調べとかその他云々なんどうも今一信じられへん。 「お前・・・俺にケンカ売ってんのかぁ?」 な~んも言わずにただジト~~~と見てるあたしに、平次の我慢も限界らしい。 「和葉さんは平次さんの涙ぐましい努力の数々が、信じられへんみたいですよ?」 夏穂ちゃんが他人の会話に割って入るんは、相変わらずや。 言うても、今は会話は成立してへんけどね。 「なっ!!お・・お前またいらんことを・・・」 突然平次がボボボッ!て真っ赤になってしもた。 珍し~~。 でも赤なったっちゅうことは、ホンマなんや。 へ~~~。 平次がなぁ~~~。 19:00 午後7時になると、壁に掛けとる時計が時報を鳴らす。 この時計が唯一、その存在を主張できる時間や。 「ほな、今日はこれで閉めよか」 「お疲れさん」 「お疲れ様でした~」 平次の一言にあたしと夏穂ちゃんが言葉を返す。 「明日から俺と和葉は長崎に行くさかい、お前もたまには自分の事務所に顔だせや」 忘れとったわ。 夏穂ちゃんは事務所持っとって、しかもそこの所長さんやったわ。 「ほな、そうさしてもらいます。平次さんたちはいつごろ帰って来るんですか?」 「依頼の内容からして3日から5日ちゅうとこやな」 「帰る前にあたしからメールするわ」 「お願いします。そやけど結婚されてから、2人で遠出されるんて初めてなんちゃいます?やったらもう少しゆっくりされて来たらどないですの?」 「え?」 思わずと平次と顔を見合わせてしもた。 「新婚旅行も結局出来へんままやないですか。ええ機会やと思いますよ?ほな、私はこれで。お疲れさまでした。お先に失礼しま~す!」 夏穂ちゃんは言うだけ言うとさっさと帰って行ってしもたから、残されたあたしらはただ呆然としとるだけやった。 |
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「”服部探偵事務所24時と言うよりも、服部和葉の1日やん”なんてツッコミは聞こえな~い(笑)」 by phantom |
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