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■ さくら と ひまわり ■ 「わ~~~!満開や~~~!」 部屋でPCのぞいっとたら、窓ん外から和葉の声が聞こえてきた。 「めっちゃ綺麗~~~!」 朝っぱらから賑やかなヤツやで。 俺は構わずそのまま画面の文字を読んどった。 「 まるたけえびすにおしおいけ~~ よめさんろっかくたこにしき~~ 」 ・・・・・・・・・。 ・・・アイツ教えてやったんに、まぁだ間違えたまんまやんか。 「 しあやぶったか まつまんごじょう~~ せきだちゃらちゃらうおのたな~~ 」 いつのまにか、俺ん意識は和葉の声に向けられとった。 頭に浮かぶんは、今の和葉やのうて、あの小っこい和葉や。 そういやぁ・・・あん時もこんな風に部屋の外から聞こえてきたんやったな。 「 ろくじょうさんてつとおりすぎ~~ ひっちょうこえればはっくじょう~~ じゅうじょうとうじでとどめさす・・・・・・ 」 手まり唄の終わりと共に、和葉の声が聞こえんようになった。 それなんに、俺はまだ耳を澄ましとる。 目を閉じてまで、和葉の音だけを拾うとする。 風の音や。 それと、桜ん枝が揺れる音。 和葉の音が聞こえへん。 和葉がそこに居るいう音が聞こえへん。 何かよう分からん不安が広がって、俺ん体が勝手に窓から和葉を探す。 視界いっぱいに桜や。 桜しか見えへん。 目も耳も和葉を探しとる。 「 和葉! 」 声がその手伝いをした。 「 平次? 」 耳がまず和葉の音を拾うた。 次に目が和葉を見付けた。 桜の花ん中から和葉が現れたんや。 あっ・・・・・。 俺を見付けるなり嬉しそうに笑いよった。 ひまわり・・・・・みたいや・・・。 薄い色の花ん中に、鮮やかな色が見えた気がした。 そこだけにお日さんが当たっとるような。 風が強う吹いても、いくら桜ん花が舞うても、消えへん。 ええやん、ひまわり。 季節間違うとるけどな。 狂い咲き言う言葉もあることやし、かんべんしたるわ。 俺は大きく伸びをしてから、PCを消し、メットを持った。 大きいんと小っこいヤツ。 ほな、ひまわりつんで桜見に行こか。 |