「 鈍感なボウヤ V ―naked― 」 |
平次はいきなりあたしの手を掴むと、前の2人に声も掛けずに道を曲がってしもた。 「えっえっ・・・・・・・・・・・平次?」 何も答えへん。 「ちょっと平次・・・・・どこ行くん?」 前を見たまんま。 「蘭ちゃんたちと逸れてまうやん・・・・。」 「ちょう黙っとけ。」 そのまましばらく歩いてあたしが連れて来られたんは、やっぱり平次の部屋やった。 あたしを中に引っ張り込むと後ろ手で鍵を掛ける。 そして・・・・・・・痛いくらい抱きしめられた。 真っ暗な部屋の中で、手があたしの唇を捜し出し平次が降りて来た。 初めて触れたそれは、すぐに深いモノになっていく。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・落ちた。 平次の舌はあたしの唇をこじ開け、逃げるあたしの舌を追いかけ絡め取ろうとする。 逃げても逃げても追いかけて来る。 ゆっくりと歯の上をなぞられ、平次の液が流し込まれ、追い詰められる。 耐え切れなくて、唇の端から雫が溢れた。 「・・・・・・んっ・・・・・・。」 声が漏れた隙に、平次の中へ誘い込まれてしまった。 きつく吸い上げられ、味わうように舐められて溶かされていく。 息が出来ない・・・。 苦しくて離れようとすると、舌の先をキュと噛まれた。 ・・・・・・・・・・・平次ってこんなキスする人やったんや・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・でも・・・まだ足りへん・・・・・・・・もっと・・・・もっと落ちてぇな平次・・・・・・・・・・ あたしは力の入らない体を、平次のセーターを掴んで支えた。 平次はキスを止めずに、あたしのコートを肩から落とし、自分のも脱ぐ。 そして、あたしを抱きかかえると靴のままベットまで連れていった。 暗闇に慣れた目は、カーテンからの僅かな明かりで平次の表情を捉える。 やけど、すぐに近くなりすぎて見えなくなってしまった。 押さえつけられるキスは、さっきよりも激しい、あたしの息も思考も奪うように。 唇はほほをつたい、舌は耳の中まで味わおうとする。 「あぁ・・・・・んぅ・・・・・・・。」 あたしは甘い声を零してしまう。 「かずは・・・・・。」 熱をもった平次の声。 熱い吐息は舌とともに、首を下りていく。 「・・・・・んくっ・・・・・・。」 いつの間に外されていたのだろう・・・。 服は平次の手を拒むことなく中に入れてしまった。 ブラの上から優しく撫でられ、感触を楽しむように揉もまれ、硬くなり始めた処を摘まれる。 「・・・ぁんっ・・・。」 ブラがその役目を放棄した。 露になったあたしの胸を平次が覆い隠す。 手と口で。 指と舌で同時に攻め立てられる。 摘んで擦られて引っ張られて、舐めて噛まれて吸われて。 強弱をつけて揉みしだかれ、淫らな音を立てて弾かれる。 それなのに、平次の手はゆっくり肌の上を撫で回し、さらに下におりていく。 フロントホックのワンピは、もうあたしの体を覆うってはいなかった。 それやのに、ベットの上やのに、あたしも平次もまだ靴を履いたまま・・・・・・・・なんて光景なんやろ。 太ももの内側を撫でられ、無意識に体が反応してしまう。 あそこを布の上から指でスッと撫で上げられ、 「あんっ・・・・・・・。」 あたしの体の熱は増していく。 すぐにその指は布の下に潜り込んできた。 敏感な処を弄ばれては、淫らな雫を溢れ出してしまう。 あたしは快楽に溺れそうになる自分が悔しくて、声が出そうになるのを我慢したんや。 それが余計に平次を煽ってしまった。 指があたしの中に・・・。 舌も肌の上を下りていく・・・・・・・うん・・・? 平次の動きが突然ピタリと止まった。 訝しげに目を少し開けてみると、どうやらやっと、靴を脱いでいないことに気付いたらしい。 平次の耳が真っ赤になっていくのが、薄明かりの中でも分かった。 ・・・・・・・・・・・かわいい。 思わずそう想ってしまった。 乱暴にあたしのブーツを剥ぎ取り、自分のスニーカーも放り投げる。 そのままセーターまで脱ぎ捨てた。 「平次・・・・可愛い・・・・。」 あたしの言葉にさらに紅くなって、 「うっさい。」 と小さく吐き捨てると、あたしの口を塞いでしまった。 それからは照れ隠しなのか、愛撫する指も舌もすこし乱暴になった。 一気に秘部を攻め上げられ、もう跳ね上がる体さえ押さえられない。 「・・・・あっ・・・・・いやっ・・・・・・へいじぃ・・・・・・・んぅ・・・・・・」 指があたしの中を動きまわり、舌で敏感な処を弄ばれ、聞きたくもないのにクチュクチュ、チピャピチャと淫らな音が耳に入ってくる。 シーツをきつく握っても体の振るえをどうしようもない。 絶え間なく与えられる感覚に意識が朦朧とするばかり。 「・・・・・・・・好きや・・・・・和葉。」 微かに聞き取れた言葉と同時に、あたしの中に平次自身が入ってきた。 「!・・・・・・んんんっ・・・・・・。」 声は激しいキスに飲み込まれてしまう。 しがみ付いていた両腕も平次の手に捉えられ、震える膝も平次の足に捕まり、反ろうとする体さえその逞しい躰に押さえつけられる。 あたしの自由はすべて平次に奪われてしまった。 執拗に追い上げられても、あたしはその感覚をどこにも逃がすことが出来ない。 「 んんん・・・・んんん・・・・ん―――――――――――――!!! 」 上り詰めてしまった後は、意識すら平次に奪われていた。 意識が再び自分に戻った時、あたしは平次の腕の中やった。 平次はあたしを後ろから抱きしめたまま眠っている。 少し体を動かそうとしたら、腕に力が入ってすぐに引き戻された。 「・・・・・・・平次?」 返事は返って来ない。 ・・・・・・・・・・・・・ほんまに寝てるんや。 平次はあたしが望むところまで落ちてきた。 部屋にあるべきでは無い靴が見える。 そして、あるべきコートは玄関に落ちているはず。 それだけ平次が平常心やなかったということ。 しかも、あの平次があたしを好きだとも言った。 ・・・・・・・・。 あたしは・・・・・・・・・。 そう想いかけた時に、あまりにもお約束なモノが目に入った。 しかし、それはあたしに本来の目的を鮮明に思い出させてくれた。 あたしは、本当の自由を手に入れる。 時計を見るとそろそろ始発の新幹線が動き始めるころやった。 |