部屋のドアを開け、脱力する。 「平次、お帰り」 当然のように寛いでいる幼馴染の姿。 ここは一応、年頃の男の部屋のはず。 なのに、警戒どころか無防備にも程がある。 胸元の大きく開いたキャミソールにミニスカート、隙間から覗く白い肌が目に毒だ。 これはもう、誘っているとしか思えない。 「人の部屋で何しとんねん?」 なるべく視界に移らないよう視線を泳がせ、聞いてみる。 「別に。オバちゃんに呼ばれて来ただけやもん」 「今日は誰もおらん日か?」 「せや。夕飯ご馳走になるから手伝おう思うてんけど、ゆっくりしときって言われたから・・・」 「やったら下におったらええやんか」 「もうすぐ平次帰ってくるやろ思ったから、ココで待っててん」 そう答えると、和葉は読みかけの雑誌に視線を戻す。 最近の流行のファッション誌は彼女が持ち込んだ物。 あるページでにらめっこしては、小声でどれがいいかと呟いている。 「おい、俺今から着替えんで」 「別に気にせんでええよ。平次の裸なん、見慣れたモンやわ」 あっさりと返ってきた答えに脱力する。 「見慣れたってお前・・・それは小さい頃の話やろ?」 「別に変わってへんやろ?」 「アホぬかせ!!ちゃんと成長してるんやで!!」 「はいはい」 軽く交わされる。 視線は雑誌に釘付けのまま。 あまつさえ、これ以上話しかけるなとでも言いたげに手を払われる。 「和葉、本当に脱ぐで?」 「ええんとちゃう?」 「本当にええんやな?」 「ええんとちゃう?」 返ってくるのは生返事ばかり。 さすがにコレにはムッとした。 「和葉、俺今日3人から告白されたわ」 「ええんとちゃう?」 「でも断った」 「ええんとちゃう?」 「俺、好きなヤツおるからって言うたったわ」 「ええんとちゃう?」 本当に聞いていないらしい。 これは好都合かもしれない、普段は言えない言葉を言ってやろう。 覚悟を決めた。 「和葉が好きや」 「ええんとちゃう?」 「抱きしめてええか?」 「ええんとちゃう?」 「キスしてええか?」 「ええんと・・・・・ぅええええええっ?」 そこで我に返ったらしい。 慌てて顔を上げる。 その頬は真っ赤だ。 「は?好き??えええええええっ?」 素っ頓狂な悲鳴を上げながら、慌てて後ずさっていく姿に笑いが込み上げた。 「ぶっ・・・お前、突っ込むん遅いっちゅうねん」 「や、だって・・・・。ぅぅぅぅぅえええええええ?」 口をパクパクする様はまるで陸揚げされた魚のようで。 本当に呼吸できているか少し心配になった。 「ほんなら許可ももらったことやし?いっちょやりますか?」 「な・・・何を?」 一歩近付けば、一歩遠ざかる。 にじり寄る平次から逃げるように後ずさりする和葉。 けれど無情にもベッドに追い詰められ、逃げ場をなくす。 「あ、脱いでもええんやったよな?」 「あ、あかん!!」 「俺の裸なん、見慣れたモンなんやろ?」 「う・・・それは・・・」 少しづつ距離を縮め、唇が触れるまで後、数センチ・・・・・。 ギュッと目が瞑られたのを見つめ、無防備なソコに触れた。 額の真ん中に容赦ないデコピン。 バチンといい音が響いた。 「いったぁぁぁぁっ!!」 「アーホ、男をナメきった罰じゃ」 本当はキスしたかったけど、理性が持たなさそうだったので止めた。 それだけで満足できるとは思えない。 涙目で恨めしげに見上げてくる、その姿にさえ欲情してしまうというのに。 「騙したな・・・」 「人聞きの悪い。好きやっちゅーのは本当やで?」 ニッと笑えば、黙り込む和葉。 優越感に浸りながら今日の夕飯は何かと考えていると、いつの間にか立ち上がった和葉に襟首を掴まれた。 そのまま勢いよく引き寄せられ・・・・・・・・・・ 「っ!!」 噛み付く勢いでキスされた。 「アタシやって好きなんやで!!ザマーミロ!!」 捨て台詞を投げ捨て、部屋を飛び出して行く和葉。 「・・・・・ヤラレマシタ」 一人残され、敗北宣言。 どうやら彼女には勝てないらしい・・・・・・・・・・・・。 |