「 色喰夜会 」 第 七 話 | |
和葉に着せるモンを調達するために部屋を出ようとドアを開けたら、何故かそこに谷川が待っとった。 茶店にしとる教室からオレらのコートや荷物を持って来るだけにしてはちょお時間掛かっとると思たら、オンナに和葉の着替えやら何やら頼んどったらしい。 その手回しの良さに引っ掛かるモンを感じたが、茶店を横山に丸投げしたまんまバックレるワケにもいかへんから、後を託して教室に戻った。 「はっとりぃ」 オレが茶店にしとる教室に入るなり、横山が情けない声を上げた。 「スマン!」 和葉の隣のテーブルの3人組にとっ捕まって何やら言われとる横山に片手を上げて、ホールをぐるりと見渡した。 オレが店を空けたんはそう大した時間やない言うても、学祭の茶店なん冷やかしが殆どやから回転だけはええハズなんに、さっきとテーブルに居るオンナのメンツは変わっとらん。 わざわざオレが戻るんを待っとったんかと思うと、酷く鬱陶しかった。 「どこ行っとったんや、服部?ホールの人手は足りとるけど、目玉のお前が居らへんから別の意味でてんやわんややったんやで?」 「スマンて」 横山には素直に詫びて、もう一度さらりとホールに視線を流した。 「スマンついでに、今日は帰らせてもらうわ」 そう言うたとたん、あちこちから甲高い抗議の声が上がった。 「帰るて、おい」 「どうやら、和葉が気に食わんオンナがおるらしくてな。折角楽しませたろ思て連れて来たんに、大事な嫁ハンに嫌がらせでもされたら堪らんから、連れて帰るわ」 水を吸って湿ったエプロンをカウンター代わりの長机に投げて、さり気に3人組のオンナを見遣る。 和葉を騙して水掛けるなん陰湿な嫌がらせをしたんがあの3人組やて証拠はないが、慌てたように我関せずを装って目を逸らしたあたり、ビンゴやろ。 この場で問い詰めてきっちり引導渡してやりたいとは思うが、それよりも和葉が心配やったから、今は見逃しておく事にした。 「ほんならな」 「服部!明日も来るんやろ?」 「シフト通りにはな」 「ほんなら、和葉さんによろしく!」 「おう!」 ぎゃあぎゃあと煩いオンナ共の纏わりつくような視線を撥ね付けて、足早に和葉を待たしとる部屋に向かった。 和葉は、オレの言いつけを守ってちゃんと眼ぇ閉じたまま、待っとった。 「世話かけたな。幾ら掛かったんや?」 「フリマやしお茶代くらいのモンやから、代金なんてええよ」 「おおきに。ほんなら、明日オレらの茶店でケーキセット奢ったるから、寄ってや」 漣て言うたか、明るく笑って手を振る谷川のオンナに笑みを返して、和葉を立たせる。 「もう、眼ぇ明けてええで」 耳元でこっそりと囁くと、和葉はそうっと眼をあけた。 今は落ち着いた澄んだ光を宿した和葉のために誂えた義眼は、時々特に欲情しとる時には人工物とは思えへんほど自然に魅惑的な彩を見せる事がある。 それがオレだけに向けられとる分には構わんが、どこぞのアホが自分に都合のええ解釈せんとも限らんから念のためと思って閉じさせておいたのが良かったんか、谷川にも漣てオンナにも不自然な空気は感じられへん。 ずぶ濡れの和葉を支えとった時の谷川の様子は戸惑っとったんやと、好意的に解釈する事にした。 「今日はもう帰るて横山にも言うてあるから、スマンけど後頼むな」 「ああ、任せとき」 偉そうに胸をはる谷川にひらひらと手を振って、見せ付けるように和葉の腰に手を回して促しながら大学を出た。 「平次ぃ……」 「ええ子やな」 篭を作ったマンションは上層階はワンフロア占有やから、他の住人と会う事はない。 それを知っとるからか、エレベーターを下りるなり褒美をねだってカラダを擦り寄せて来る和葉をあやしながら篭に戻して、外界ゆう煩わしい世界を遮断するために厳重にロックを掛けた。 「平次ぃ……」 もう待てないとばかりにオレの首に腕を回してキスをねだる和葉に苦笑しながら、はぐらかすように額を舐めてやる。 「せっかちやなぁ」 「ええ子にしとったら、ご褒美くれるて言うたやん」 「ああ、言うたな」 「アタシ、ええ子にしとったよ。せやから……」 玄関を上がったばかりのこの場所でヤるんもええけど、たっぷりと楽しむには不向きや。 「褒美なら、ちゃんとくれたる。その前にな、オマエのために新しいアクセサリー作らせたんや、つけて見せてくれるやろ?」 「……うん」 ぐずる和葉からコートだけ脱がせて抱き上げると、寝室の片隅に置いてある木製の椅子に座らせる。 寝室から続くウォークインクローゼットから、和葉のための玩具を詰め込んだ小型のトランクみたいなジュエリーボックスを引き出して、ゴールドのリングを長く連ねたイヤリングを和葉の耳につけてやった。 「んっ……」 ネジ付きのクリップは強めに調整してあるが、和葉には物足りんやろう。 「このイヤリングな、リング部分に色んなパーツを付け足せるようになっとるんや。宝石でも、飾りに見せかけた錘でもな」 「あっ……んんっ…」 重みを増したイヤリングが外れんように小さなネジをゆっくりと締め上げると、和葉は熱い息を吐いた。 「よう似合うで、和葉」 「ん……へいじぃ……」 「ええ子にしとったご褒美やらんとな」 「あ……」 ニットのワンピースの上から柔らかな胸に優しく触れながらわざと顎に手を掛けて上げてやると、イヤリングがしゃらしゃらと音を立てながらその重みで和葉の耳を刺激する。 和葉にとっては前戯みたいな痛みでしかないんやろうが、この後に続く快楽を思ってか、白い肌がうっすらと色づき始めた。 「平次ぃ……ご褒美は…?」 服の上からやわやわと胸を揉み上げながら、唇を舐め、快感を誘うように甘噛みする。 和葉はじれったそうにカラダを捩った。 「ご褒美ちょうだい……」 「ちゃんとやるで?せやから、服脱いで手ぇ後ろに回してみ?」 オレの命令に、和葉は硬い椅子から立ち上がった。 背中のファスナーを手探りで下ろしてワンピースをすとんと足元に滑り落とし、間に合わせやったからかサイズの合ってないブラと安物のショーツを脱ぎ捨てる。 「ええ子や」 指示に素直に従う和葉の両手首を革のベルトで拘束して、背凭れにクッションを増やした椅子に座らせてやる。 クッションのせいで浅く腰掛ける格好になった和葉の足首を、手首と同じ革のベルトで椅子の足に固定する。 肌を傷つけないように内側に細工された拘束具は、柔らかにしっかりと和葉を押さえつけた。 「オマエのために作らせたアクセサリーは、まだあるんや。けどな、その前に……」 「あんっ……」 背中で手首を固定されクッションに寄りかかっているために突き出された格好になっとる胸を、膨らみの裾からそろりと形を確かめるように舌を這わせる。 擽るような愛撫に立ち上がりかけた乳首を、そうっと唇で挟み込んで舌先で突付いた。 「あっ…ああんっ……んっ…」 たっぷりと片方を堪能してから、もう片方に吸い付く。 「んっふっ……へいじぃ……ごほうび…」 「ちょお待っとり」 舌と指とで乳首を充分に立ち上がらせて、もう1つの新しいアクセサリーを和葉の前に掲げて見せた。 しっかりした短めのプラチナのチェーンと長く繊細な2本の銀のチェーンとで三連のネックレスのように作られた、両端に小さなネジ式のクリップをつけたソレが見えるハズもないのに、和葉はこくりと喉を鳴らした。 「オマエのためのモンや。きっと似合うで?」 「あんっ……」 「コレもな、イヤリングと同じで、チェーンに色々下げられるんやで?」 硬く立ち上がった乳首をクリップで挟んで、少しだけネジを締めてやる。 「はっんっ……あ…もっと……」 「お楽しみは後に取っとくのもええモンやで?」 「やってっ…んんっ……ごほうび…ああんっ!」 痛みを求める和葉に、プラチナのチェーンに1つだけサファイアのペンダントトップを下げてやる。 耳と乳首から齎される挟まれ引っ張られる痛みに、和葉が甘い声で鳴いた。 「ご褒美やからな、今日はオマエが望む通りにたっぷり奉仕したる。どうして欲しいんや?」 「あ……アタシをっ……んんっ…ふ…アタシを可愛がってっ」 「ココか?」 「ああんっ!あ…ああっそ……そこっ!」 足首を固定されて曝け出され、たらたらと蜜を零すソコをぞろりと舐めて、敏感な蕾を舌先で擽る。 不自由な姿勢で、それでももっと深い快楽を得ようと、和葉が腰をオレに押し付けるように突き出した。 求められるままに蕾を舐め、軽く歯を立て、吸い上げる。 「あはっ…ああっあっ……ふっ…」 「ココ、好きやな」 「ああっ…あっ……な、中もっ…ひゃあんっ!!」 物欲しげにヒクつく中に、一気に3本指を突っ込んだ。 ビクンと跳ねるカラダに合わせて、イヤリングとクリップが揺れる。 痛みと快楽とで、和葉の嬌声が1トーン上がった。 「へ……へいじ…あああっあ……ああっ…へい…じぃ…ああんっ!」 ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てながら、和葉の中で指を遊ばせる。 蕾を潰すように舌で擦りながら、中の和葉が一番感じるポイントを爪を立てて突付いてやると、裏返った声を上げてくたりと脱力した。 「あ……ふっ…んんっ…」 入り口を引っ掛けるようにして指を抜いて、和葉に聞えるようにぴちゃりと音を立てながら絡みついた蜜を舐め取る。 「エエ味や。存分にご褒美味わった証拠やな」 「まだ…ご褒美、まだ……」 「足りひんのか?」 息を弾ませながら、和葉が頷く。 「やって……平次のんが…アタシ、ご褒美まだ……もっとちょうだい…平次のんが欲しい……」 「ホンマ強欲やな」 「ご褒美くれる…て……アタシ、ええ子にしとったモン…ご褒美、もっとちょうだい…」 「しゃあないお姫様やな」 和葉の足の拘束だけ解いてベッドに引き上げると、服を脱ぎ捨ててオレの腰を跨がせる。 「あ…ああんっ……」 まだ足りないと蜜を滴らせるソコに勃ちあがったオレのモノを当てて、先っぽだけ呑み込ませた。 「オマエの好きなように、好きなだけ動けや。それでも足りひんかったら、気ぃ失うまでオレがヤったる」 挿入を促すように尻を撫でると、和葉は自ら腰を落としてオレのモノを奥へと導いた。 「あっああっ…ふ……」 「…っく…」 「あ…へいじぃ……」 後ろ手に拘束されたままの和葉が、危ういバランスで腰を動かす。 その度にチャラチャラとアクセサリーが揺れる。 「……っふ…綺麗やで、和葉……よう似合う」 「ああんっ!あっあはっ…あっ」 もどかしげに快楽を追う和葉の股に手を伸ばして、充血した蕾を指先で捻る。 陸に上がった魚のように、和葉がカラダを逸らして跳ねた。 「ひゃあんっ!ああっあああっ!!」 ぐったりと倒れこむ和葉を抱きとめて、繋がったままベッドに引き倒す。 「たっぷりと味わえや」 「あ……ああっ…へいっ……へいじぃっ…もっと、もっとぉ……っ!!あああっ!!」 和葉の痴態に煽られ、制御の効かなくなったオレは、彼女が意識を飛ばすまでただひたすらにその肌を貪った。 |