ROUND 10 「 Eternal 」 |
結局あたしは合同合宿の間、ずっと平次の部屋に泊まるはめになったんや。 やって仕方無いやん。 あたしが泊まるはずやった場所には、当然のように華月がいてるんやから。 まったく信じられへんわ。 今までのことぜ〜〜んぶ華月の策略やったんやで。 ありえへん。 あたしのあの辛くて悲しい時間はどないしてくれんの? 当の本人は、 「ドラマみたいでええやん!離れ離れになった2人が、劇的に再会して激しい恋に落ちる!これぞ青春やで和葉!!」 なん訳分からへんコト宣うてるし。 沖田くんは沖田くんで、 「いっぺん服部んことイジメテみたかったんや。それに和葉ちゃんとも仲良〜なれて、俺には一石二鳥やったしなぁ。むっちゃ恐い華月の命令に逆らう理由が無かってんから、勘弁してや。な?な?」 やて。 この2人、今後どうしてくれようか? きっちりとお返しはさせてもらわんとな。 あっ、でも、それより平次や。 合同練習は3日前に終わったんやけど・・・。 華月ら京大剣道部の皆は、とっくに帰ってしもたんやけど・・・。 なんでか、あたしは今だにここに居んねん。 ここ、平次の部屋に。 あたしは皆と帰るつもりやったのに、平次が「あかん!」て言うんやもん。 しかもやで! その理由聞いたら、 「俺はまだ喰うてへん!」 逆ギレかましてこれやで。 ・・・・・・。 これってこんな怒って言われなあかんことなん? しかも、何を食べるんよ! 「朝食も昼食も夕飯も、あげくに夜食まで作って上げてるやんか!」 そう言うて怒鳴り返したら、何か知らへんけど平次はぽか〜んって顔して黙ってしもた。 何かおかしなコト言うたあたし? それから暫らく何やら考え込んどるみたいやったけど。 そんなこんなで、今だ帰れへんねん。 平次と一緒に居れるんは、あたしやってほんまは嬉しいんやで。 昼間は事件やら何やらで平次は居らんこともあるんやけど、それ以外はず〜と側に居ってくれるんや。 2人で買い物行ったり、映画観たり。 ふふふ////。 これってデートやぁ、って実感してみたり。 自然に平次の腕に掴まれるなん夢みたいやもん。 そんで部屋に帰ったら、DVD観たりゲームしたりしてんねん。 やってることは幼馴染んころとあんまし変わらへんけど、平次との距離は断然近い。 しかも時々、キスしてくれるし//////。 寝るんも一緒。 平次ん部屋にはベットは1コしかのうて、もちろんお客様布団なんてもんは当然無い。 枕も1コしか無いから、あたしは平次の腕枕や/////。 ベットに入ってからもぎょうさん話してるから、あたしはいっつも気ぃ付いたら寝てもうてるみたいやった。 平次の側は温かこうて、ほんま気持ちよう眠れるんやもん。 それやのに・・・・。 平次は何かいっつも眠そうなんや。 やっぱシングルベットに2人やと狭うて寝苦しいんやろか? やから平次に、 「お布団もう1コ買う?」 言うて聞いたのに。 「どアホ!何でそんなもん買わなあかんねん!!」 て怒られてしもた。 何なんよもう。 せっかく心配してあげてんのに。 やけどこれやったら、いつまでもここに居る訳いかへんやんなぁ。 いくらあたしが気持ちよ〜寝れとっても、平次が寝不足になるんやったら意味無いやん。 それに、お父ちゃんのことも気になるし。 やっぱ、そろそろ帰らなあかんな。 そう思うて、 「平次、あたし明日帰るな。」 って寝る直前に言うた。 「いつまでも大学休むわけにもいかへんし。」 ってもっともらしい言い訳も付け加えてみたんやけど。 ・・・・・・・これがあかんかったらしい・・・・・。 平次の何かを切ってしもたみたいやった。 いきなり抑え付けられるキスされて、それから////////////。 びっくりして抵抗したんやけど、今度こそ平次は止まってはくれへんかったんや。 そのまま朝が来てしもて、あたしは立ち上がることも出来へん状態やった。 そんで仕方無く、もう1泊。 やけど、この夜も前夜と一緒で、無常にも寝れへんまま朝が来た。 やから、さらにもう1泊。 やって昼間は、爆睡してるんやもんあたし。 平次は飄々と昼は大学行ってるみたいやけど。 夜になるとまた同じやった・・・・はぁ。 流石のあたしも堪忍袋の尾が切れるちゅうもんやろ。 「平次!!いい加減にしぃや!!」 「何がや?」 「これやったら、いつまでたってもあたし帰られへんやんか!!」 「別に帰らんでええやんけ。」 ・・・・・・・・・。 この男・・・・・・。 「あたしはあんたと違うて、ここからやったら大学行けへんのやで!!単位落としたらどないしてくれんの!!」 「・・・・・・・・。」 平次はまた黙って考え込んどる。 しかも、きっと碌な事やない。 「和葉。」 暫らく腕組みした状態でじっとしていた平次が、今度はいきなり真顔であたしの顔を覗き込んで来たんや。 「お前、来年こっちの大学受け直せや。」 「へっ?」 「せやから、ここから通えるトコに行け言うてんのや。」 「はっ?」 「なんやったら俺んトコ来るか?今から特訓したら大丈夫やろ。」 「・・・・・・・・・。」 次の日、あたしはそんな平次に連れられてやっと東京を後にした。 もう、それからはあたしの意見なんまったく無視で、1人であれやこれや決めてしもた。 最大の難所やと思うとったお父ちゃんも、平次とおばちゃんのタッグに言い含められて渋々やったけど頷いてまうし。 華月も沖田くんも、 「服部くんらし過ぎ〜〜〜!!」 「あいつ独占欲強丸出しやな〜〜〜アホやぁ!!」 言うて笑うし。 誰〜もあたしの意見を聞いてくれへん。 あたしこれでも京大生なんやけど? 京都大学言うたら、大学のランクでもかなり上の方なんやけど? あたしには、ここで十分なんやけど! それが何で、さらに上の東都大学を今更目指なあかんの? やっと終わった受験地獄を何で、もういっぺん体験せなあかんの? そら、平次とず〜と一緒に居れるんは嬉しいんやけど、何かちゃうやろ? ほんまにあたしの意見は誰にも聞きとめて貰えず、退路を断つが如く京大を自主退学させられてしもた。 ありえへん・・・。 それから、あたしの部屋の荷物は東京へ。 2人で住むには平次の部屋は狭いから言うて、おばちゃんが勝手にマンション借りてしもたんや。 新婚やないんやで。 気持ちが通じたとたんにこれって・・・・・どうなん? しかも、平次は当然やっちゅう顔しとるし。 ちなみに平次がお父ちゃんを説き伏せた最大のセリフは、 「許してくれへんのやったら、今すぐ結婚してまうけどええですか?!」 やったんや。 これも、何や違う気ぃするんやけど・・・。 平次ってこんなヤツやったっけ? もう勝手に結婚する気満々の平次をなんとか落ち着かせて、婚約いう形でお父ちゃんは折れた。 こうして、あたしの将来設計は平次が勝手に決めてしもたんや。 告白したばっかりやのに、やっと気持ちが通じたばっかりやのに。 早過ぎやっ! 誰でもええから、あたしの意見も聞いてや!! |