― 非常識な幼馴染 シリーズ@ ―

■ 嵐の夜に ■
「なっ・・なぁ入ってもええ?」
真夜中にガタガタと障子の音がすると思ったら、和葉ちゃんが枕を抱えて顔を覗かせた。
「ふぁ〜何やねん和葉?しょんべん位独りで行けや。」
オレより障子に近い方で眠っていたはずの服部が、間髪入れずに答えやがった。
「そっそんなんやないわ。」
「やったら何やねん?夜這いに来たんか?」
「あほっ。何でそんなしょうもないことせなあかんの?」
「ほな何の用や?」
「きょ・・今日はええ・・天気・・やね・・」
台風真っ只中だぜ、和葉ちゃん。

東京に遊びに来た服部が、酔い潰れて階段から落ちたおっちゃんの代わりにオレを連れてこの依頼主の家に来た。
蘭は当然、おっちゃんの面度を看ねぇとダメだから東京に残って、仕方無く和葉ちゃんだけが同行した。
山中にあるこの屋敷はだだっ広くて、古さは国宝並だから女の子が独りで居るのは確かに恐いかもしれねぇなぁ。

オレは頭から布団を被って寝たふりをしたまま、二人のひそひそ話しに耳を澄ませる。

「ははぁ〜ん。お前恐いんやろ?」
「やって・・・変な音はするし・・・風も雨も酷いし・・・きゃっ!」
布団の隙間から一瞬見えた光で、雷だろうと判断する。
「ただの雷やんけ?」
「う〜〜〜・・・ひっ!」
今度は雷鳴が轟いたからだ。
「・・・ほんまにお前は恐がりやなぁ。」
「嫌いやの〜怖いんも雷もぉ〜。」
「しゃ〜ないなぁ、ほれっ。」

ほれっ?ほれって・・・何だ?

気付かれないように、布団からこっそり覗き見る。
へ?
おっ・・・おい!
おいおいおいおい!
自分の布団に入れるのかよ?

「コナンくんはやっぱ男の子やね。こんなに酷い嵐やのに、恐ないねんなぁ。」
「人のことなん心配出来る立場かぁ、こらっ?」
「やって〜平次の側やったら安心やもん・・」
「へ〜へ〜さいでっか。もそっとこっち来い。抱っこしててやるから、お前はさっさと寝ぇ。」
「うん。おやすみ平次。」
「おう。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
こ・・・こいつら・・・。

お前らただの幼馴染じゃねぇ〜のかよ?
何考えてやがるんだ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
まっ・・・まじでそのまま寝るのかよ?

まったく動く気配がねぇ・・・。

まじで寝てやがる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
お前ら・・・本当は兄妹なんだろ?
そうだろ?
そうじゃねぇ〜とこの状況はどう考えても不自然だろ?
有り得ねぇだろ?
無自覚でやってるなんて言うなよ?



冗談じゃねぇ〜ぞ!



少しはオレの立場も考えろっ!








ちゃんちゃん
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