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― 非常識な幼馴染 シリーズ② ―

■ あたしのパジャマ ■
「あっ!ない!」
和葉ちゃんが突然大きな声を出したの。
「ないないないない!」
口と同じくらいのスピードで鞄の中身をガサゴソやってる。
「どうしたの?何が無いの和葉ちゃん?」
「パジャマ。あか~ん、ほんまに忘れてしもたみたいやわ。」
ここは依頼人の御家だから浴衣なんて物も無いし、私も自分の分しか持って無いし、どうしよう?
って思ってたら、和葉ちゃんは突然立ち上がって部屋を出て行こうとするの。
「どこ行くの?」
「平次に何か借りて来るわ。」
「ちょっと待ってよ和葉ちゃん。」
私も慌てて和葉ちゃんの後を追いかけた。
だって、服部くんの何を借りるつもりなのかしら?

「平次~~!いてる~~?」
「そがん大きい声出さんでも、聞こえとるわ。煩いやっちゃのう。」
Tシャツに短パンていうラフな格好で、眠そうな服部くんが部屋から出て来たの。
「あんなぁ、あたしなぁ、パジャマ忘れてん。そやから平次のモン何か貸して?」
「またかいな?お前のあのでっかい鞄には何が入ってんねん?」
「え~と~、明日着るキャミソールとスカートやろ、それから、それに合わせたミュールにショルダーにリボンに寒かったらあかんからカーデガンも持って来てん。それと~・・」
「わ~た。わ~た。もうええ。」


え?

ちょ・・ちょっと服部くん!!
な・・何やってるの~~~!!


「これでも着とけや。」
そう言ってポイッて和葉ちゃんに渡したのは、今の今まで服部くんが着てたTシャツなの。
「おおきに平次。ほな、これ借りるな。」
和葉ちゃんは目の前で行き成り上半身裸になった服部くんを見ても平然としてて、服部くんも当たり前のような顔してる。

これって、いいのかしら?
もしかして、1人で慌ててる私の方がおかしいのかな?

しかも和葉ちゃんは、もう用は済んだと言わんばかりに私たちの部屋に戻ろうとしてるし。

「お前、下は何ぞあるんか?」
「ないよ。平次のシャツやったらあたしには大きいし、これだけで十分やもん。」
「アホ~!そんな格好でウロチョロすんなや。」

あっ、和葉ちゃんのことが心配なんだ。
なんだかんだ言っても、Tシャツ1枚の和葉ちゃんは流石に色っぽ過ぎるもんね。

「腹冷やしたらどないすんねん。」

・・・・・・・・・・。

そっちの心配なの服部くん?

照れ隠しよね、って思って服部くんの顔を見たんだけど、どうも目が本気っぽいのよね。

「ちょ~待っとれ。」
そう言って部屋の中に戻った服部くんは、すぐに何か持って出て来たの。
「これでも穿いとけ。まだいっぺんも穿いてへんから汚れてへんし、ええやろが。」
「ええ~!それGパンやん!」
「つべこべ言うなや。他に無いんやからしゃ~ないやんけ。文句言わずに穿いとけや。」
「平次のGパンなんブカブカで、あたしのウエストに止まる訳無いやん。」
「何やベルトもいるんかい?」
再び服部くんは部屋に逆戻り。
「ほらっ、これならお前でも使えるで。」
無理矢理和葉ちゃんにジーンズとベルトを押し付けてる。
服部くんは上半身裸のままなのに、和葉ちゃんは気に留める素振りすらないのよ。


この二人って・・・・・・・どうなってるの?


それからも普通におやすみって別れて、お風呂から出た和葉ちゃんはさっき渡された服を着てるの。

まるで小さい服部くん。

大きくて黒いTシャツからは肩が出そうで、長すぎるジーンズの裾は3重に折り返して、ベルトは半分くらいが前に垂れ下がっているけど。

和葉ちゃんはまったくいつも通り。
嬉しがってる様子も嫌がってる様子も無くて、これが当たり前って感じ。


しかも次の日にはね、
「お前どんだけ裾折っとんねん?折れ目が邪魔で歩きづらいで。ごっつう足短いんやな、和葉ちゃんわ。」
「うっさいで平次。あんたもそのベルト長過ぎやで。お腹出てきてんとちゃうん?」
ってちゃっかり昨日のジーンズ服部くんが穿いてるのよ。


普通の幼馴染ってこうなのかな?

何か違うような気もするんだけど?



ねぇ、新一はどう思う?








ちゃんちゃん
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