鏡幻月華 〜 一の夜 〜 |
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12月も残すところあと1週間、世間はクリスマスやら忘年会やらと浮かれとるが、オレの作ったこの篭では静かに年が暮れようとしとる。 去年は高校時代のクラスメイトの結婚祝いを兼ねた同窓会ゆう名目のクリスマスパーティーに半ば強制的に出席させられていらん時間を取られたが、あの後何故か続いた不幸な出来事に今年はさすがに騒ぐ気にならんらしくどこからも誘いの声はかからんかった。 まあ、イベント好きな和葉のためにイブの今夜は小さなケーキとターキー、それにシャンパンを用意したったが。 「何や、もうええんか?」 「うん」 温かいスープにサラダて簡単なメニューに加えたターキーがクリスマスっぽい簡単な夕食、〆とばかりにデザートにと出しておいた苺を2つ口にして、和葉は手を止めた。 少食なんはいつもの事やから、メシを終わらせた和葉の唇に光るターキーの脂をいつものように綺麗に舐め取ってやってから、ダイニングの椅子からリビングのいつものソファへと抱いていってやる。 オレもそこそこ喰うとったから簡単に後片付けして、飲みかけのシャンパンとグラスを持って和葉の隣に落ち着いた。 ソファの傍にあるローテーブルの上には、和葉のためにと買うてきたサンタとツリーを閉じ込めたオルゴール付きのスノーグローブと透明なフードカバーの下で出番を待っとるケーキ。 その隣にシャンパンクーラーと2人分のグラスを置いて、オルゴールのネジを巻いてやった。 「ケーキは?」 「後で食べる。それより、平次ぃ……」 ローテーブルの上で指を滑らせてシャンパンのグラスを探し当てた和葉が、一口喉を潤してからソファに並んで座っとったオレの膝に乗り上がってきた。 今日和葉に着せとるんは、大きく開いた襟とたっぷりとしたフレアーの裾を綿菓子みたいな真っ白いふわふわのフェイクファーで縁取った、ノースリーブでミニ丈の真っ赤なワンピース。 色合いだけ見たらまんまミニスカサンタみたいな格好やけど、それだけやと芸がないやろとポニーテールのリボンと裾からチラチラ見え隠れしとる白いストッキングを留めたガーターベルトのホックを飾る細いリボンは針葉樹みたいな深い緑色のサテンにして、クリスマスカラーにしてみた。 和葉の肌の白さや艶と相まって、中々目に愉しい『絵』や。 「オレはまだ飲み足りないんやけどな」 「後でまた一緒に飲もう?」 「せっかくのクリスマスなんやし、もっとゆっくり楽しもうや」 「もうええやん。なあ、平次ぃ」 「もう暫くええ子にしとれ」 オレの左足を跨いで擦り寄ってくる和葉の両手を押さえて、悪戯出来ひんように重ねた手首をポニーテールから外したリボンで縛る。 「ええ酒なんやし、オマエももっと味わえや」 「ん……」 薔薇色に輝くシャンパンを口移しで和葉の喉に流し込んでやる。 ついでに唇を甘噛みしてやった。 「平次ぃ、暑い」 アルコールと情欲とでほんのりと頬を染めた和葉が、不自由そうにしながらも襟に親指を引っ掛けて服を脱ごうとする。 何とか袖を抜こうと頑張っとるが、上半身はカラダにぴったりしたデザインだから背中のファスナーを下ろせない今は無駄に胸元を強調するだけや。 「せっかく可愛え格好させたってるのに、オレの目ぇを愉しませる気はないんかい」 「やって……」 オレが夕食の仕度をしとる間は楽しげに聞いとったスノーグローブから流れてくるオルゴールのクリスマスソングも、もう和葉の耳には入っとらんのやろう。 「しゃあないなぁ。熱を冷ましたるわ」 シャンパンクーラーに満たしてある氷から小指くらいの大きさのを選んでデザート皿に置いて、飲みかけのシャンパンをかける。 アルコールを浴びて艶を増したその氷を、薄い総レースのショーツの奥で熱を持て余しとるオンナの口に喰わせてやった。 「あっ……ふ……」 「どうや?熱が冷めたやろ?」 「ううん、熱い……」 「足らんかったか。ほんなら、これならええやろ」 今度は親指くらいの氷を3つ、シャンパンを纏わせて次々に喰わせてやる。 「あんっはっ……冷たいっ!」 「そら良かった。これで熱も冷めるやろ」 「んんっ!まだっ!っはぁ……まだ熱いんよっ!」 氷の冷たさを逃すまいとするかのように、オレの足を跨いだ膝立ちの格好のままの和葉がぎゅっと股に力を入れた。 和葉の体温で解けた氷が水んなって蜜と一緒にレースのショーツを濡らし、太腿を伝って白いストッキングに染み込んでいく。 フリフリの飾りは勿論、股んトコまでレースんなっとるTバックのショーツなん、目に楽しいだけで蜜を吸い取る力は皆無やから、ソコからもぽたぽたとオレの足に滴っとった。 「下の口から涎が垂れとるで?」 「もっとて、おねだりしとるんよ」 「オマエのこの口は相変わらず強欲やなぁ」 ツンと蜜を滴らせとる下の口を突付いてやると、和葉は『ひゃんっ!』と小さく声を上げて拗ねたように口を尖らせた。 「こんなに欲張りにしたんは平次やん。平次が美味しいモノ仰山くれて可愛がってくれるから、どんどん欲張りになってまうんよ」 「そらアカン、これ以上贅沢にならんようにせな。それに『待て』と『オアズケ』も覚えさせなな」 「アタシの欲しいモンは全部くれるんやないん?」 「何でもくれたりたいけどな、毎年の事なんに正月に実家帰る言うたらイヤやてグズっとったやろ?オレもまだ脛かじりの身やから正月にも帰らんでおったら、きっとオカンやオッチャンにオマエ取り上げられてまうやろ。そしたら、今までみたいにはいかんやん」 オレが篭から出さないゆうのもあるが、和葉も外出したがらない。 特に『泊まり』んなる時は。 だからといって、この楽園たる篭を維持していくためには、たとえ煩わしくても最低限の付き合いはせなならん。 それを口にしてやると、和葉は尖らせた口もそのままに眉まで顰めて見せた。 「……お正月帰る」 「イヤなんやろ?無理せんでええて」 「帰る!お泊まりやってする!せやから……」 不満そうな表情から一瞬で快楽をねだるオンナの顔に戻った和葉が、熱い息をオレの額に落とした。 「もっとゴツいんが欲しいって?」 「あんっ」 今度は氷の欠片を襟元から滑り込ませてやる。 胸の谷間を流れていく氷が肌の上に作る水の跡が、中々扇情的やな。 義眼とは思えへんとろんと潤んだ瞳のおねだりに、さっきより一回り大きな氷にまたシャンパンを纏わせて、とっくに役目を放棄しとるレースのショーツの横から潜り込ませてオンナの快楽を引き出す蕾に当ててやった。 「ひゃっ!あ……んあっ」 冷たい痛みて刺激がナカに欲しいんやろう、和葉は両手でオレの肩にすがり付くようにしながら下の口に氷を咥え込もうと腰をくねらせる。 ぱたぱたと融けた氷と蜜とを溢す堪え性のないその口に、お望み通りのものを勢いよく奥へと突っ込んだ。 「ひゃあんっ!あっあっ……冷た……っ!」 びくんっと魚みたいに身体を跳ねさせた和葉は、指を引き抜くと落ちそうになる氷を押さえようとしてか跨いどったオレの太股の上にペタンと腰を落とした。 氷の冷たさとそこからくる痛みを存分に味わいたいんか、和葉はオレの太腿に股を押し付けたまま腰を揺らして蜜と融けた氷とでジーンズを濡らしていく。 「冷たいっ!……けどっ……んんっ…熱いっ!…あっふっ……平次ぃっ!」 「そんなにヨガるなん、イケナイ遊びを教えてもうたか?こら、オレが居らん時に勝手に氷突っ込んで一人遊びしそうやなぁ。冷たいんがええんならもうオレのモンはオマエには熱すぎるやろし、そのはしたない口に合うようなぶっとい氷作ったろか?」 「や……氷だけなんイヤや……平次のんがエエの。平次のんが欲しい」 オレの肩を掴んどった和葉の手がシャツの上から胸と腹を辿り、ジーンズの上から熱くなっとるオレのモンを撫で、手首を縛られたままの不自由な手で器用にボタンを外してファスナーを下ろす。 キツくなっとったモンを解放されてほっと息をつくと同時に、少し冷たいしなやかな指がトランクスの上から絡み付いてきた。 「コレちょうだい」 トランクスを持ち上げとるモンを探り出した和葉が、外気に曝されたソレを柔らかく握り込む。 ぞくりと背筋を快感が駆け上って、オレのモンが更に張り詰めてくんがわかった。 「ああ、ええで。好きなように、好きなだけ喰えばええわ。その代わり、オレもたっぷり喰わせてもらうで?」 「食べて。何もかんも全部、欠片も残らんくらいに」 和葉が自分の指でショーツの股んトコを横にずらして蜜と融けた氷とをたらたらと溢れさせとる口にオレのモンを宛がい、貫かれる一瞬の熱を思いっきり愉しむためか一気に腰を落として呑み込んだ。 もっと深く呑み込もうと和葉が腰を揺らす度に、スカートの下からぐちゅぐちゅとイヤらしい音がする。 スカートに隠されて繋がったトコは見えへん。 何一つ脱ぐ事なく、隠したままただソコだけで繋がって自分達の立てるエロい音と和葉の喘ぎ声を聞いとるのも、中々ソソるモンやな。 「平次……平次っ!もっと奥までっ!」 戒められたままの手でオレの肩に縋りついとる和葉が、もどかしげに腰を擦り付けてくる。 目の前で誘うように揺れる胸と、ブラを着けさせとらんからか薄いビロードの服の上からでもわかる硬く立ち上がった乳首にごくりと喉が鳴ったが、今はこの見えない状況を愉しみたいからガマンやな。 「あっさりイったらアカンで?」 ねだられるままに、細い腰を掴んで空気すら入り込めへんくらいに引き寄せてグリグリと押し付ける。 明るいリビングに和葉の一際高い嬌声が響いた。 |
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