あの日・・・ 和葉の願いは他愛もない事やった。 「平次の一日をアタシに欲しい」 真面目な顔で瞳を潤ませながらそんなん言われて・・・メッチャ照れてしもうた。 「そんなんでええんか?」 「ずっと・・・一日いてくれるん?」 当たり前やの返事の変わりに・・・取り合えずキスしとこ。 頬を赤く染めて和葉がやや恨めしげ俺を見上げ 「平次・・・調子こいてるやろ?」 「何の事や?」 俺はすっとぼけた返事をして、ケーキの箱を持って歩き出した。 和葉は俺の後ろをゆっくり歩いていた。 何を話したかとかは全く覚えてないけど・・・和葉が笑ったり怒ったりと楽しかった事はよく覚えている。 そして気がつくといつの間にか和葉の家の前にたどり着いた。 「ほんなら・・・ありがとう平次。・・・おやすみ」 急いで家の中に入ろうした和葉の背に 「・・・で、3月14日は空けといたらええんやな。どこでも連れてったるから、行き先とかしっかり考えとくんやで」 和葉が俺の言葉に驚いたように振り向いた。 「なんや・・・文句でもあんのか」 「・・・ない・・・ない!」 嬉しそうな和葉の顔に頬が緩む。 「はよ家に入れや。オッチャン心配すんで」 和葉は大きく頷いて「一ヵ月後!約束忘れんといてな!」そう言って家の中へと消えていった。 3月14日 俺はこの日の為に事件を立て続けに片付けた。 帰って来たのが朝の5時。 和葉との約束が9時・・・。 一眠りしてシャワーでも浴びて和葉をバイクで迎えに行こか。 ベットに横になりウトウトし始めた。 和葉は何処へ行きたいんやろ? なんか俺まで楽しみになってくるわ。 「・・・・・・・・・・・・・・〜じ」 ん?なんや声が聞こえるけど誰や。 もうちょっと寝かせてくれ。 「・・・・・〜じ。そろ・・・・・・・起きて〜や」 ・・・和葉の声がする。あぁ、なんや夢か。 ドスッ! 俺の腹を思いっきり殴られて、ゆっくり目を開けた。 そこには和葉の不機嫌そうな顔・・・。 ん?んん?・・・今何時で・・・和葉がなんで俺の部屋に? 「イタ・・・・・・。和葉?なんでオマエ俺の家におんねん。・・・・・・迎えに行くいうてたやろ?」 「へ〜じくん。今・・・何時や?」 俺は頭の方に置いてある目覚ましを手にとった。 「何時って・・・今・・・3時・・・・・・・・・・・3時やて!」 ゆっくりと和葉の方に顔を向けると、恐ろしいくらいの笑顔で俺をみていた。 「オバチャンが家に来てお裾分けをくれてん。そん時平次の事を聞いたら、『朝早くに帰って来てよう寝てる』言うてたから・・・もしかしたら思ってきてみたら・・・・・・案の定や」 俺は一瞬で自分の今の状況が分かった。 そしてベッドに座って頭を抱えた。 「今日行きたかった映画も2時からやってんで!今日の計画が全部台無しや!もう平次なんて知らん!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アタシ・・・帰るわ」 「和葉!」 涙を堪えて立ち上がった和葉の腕をグイッと引っ張った。 「言い訳するようやけど・・・今日の為に3日ぶっ続けで事件も片付けたんや・・・・・・今からでもどっかに行けるやろ?」 「約束は9時やったんや!アタシ・・・アタシ・・・メチャ楽しみにしてたんよ・・・」 和葉が瞳からハラハラと涙が溢れ出してきた。 アカン・・・泣いてしもうた。 俺、和葉に泣かれるのが一番困るんや。 どうやったら泣き止んでくれるやろ? 「ほんなら・・・一緒に寝るか?」 「えっ?」 涙がピタリと止まった。 「俺も思ったより疲れが溜まって・・・もしかしたらバイクの運転も危ないかも知れへん。でも和葉との約束も出来れば守りたい・・・・・・・・で、間をとって一緒に寝るちゅうのはどうや?」 和葉が一瞬で顔が真っ赤になって 「やっぱ・・・帰る」 そう言って逃げようとした。 俺は和葉を掴んだ腕に力を入れて自分の方へ引き寄せた。 「逃げんなや・・・一緒にいたいんやろ?・・・・・・・・・一緒にいてくれ」 和葉が俺の方を向いて何か言おうとしたが・・・そんなんお構いなしにキスをした。 「な?」 俺は和葉に笑いかけた。 顔を真っ赤にして恥ずかしそうに 「・・・・・・・もちろん添い寝やんな?」 「それ以上でもええけど?」 「〜〜〜〜〜何言うてんの!やっぱ平次アホやろ!スケベ!ヘンタイ探偵!!!」 ムキになる和葉ってやっぱかわいい。 「じゃあ添い寝して頂けますか?俺そろそろまた眠とうなってきたみたいや」 ワザと大きなアクビをしてベットに横になって、隣をトントンと手で叩いた。 「えっと・・・アタシ・・・」 躊躇してる和葉の手を強引に引っ張って抱き寄せた。 俺は右腕を和葉の頭の下へ伸ばして、左手で毛布を和葉の体にかけた。 そんで・・・・・・・・・・・・・・・・・。 5分のせんうちに…和葉のほうが先に寝てしまった。 多分やけど、和葉もいろいろ計画練って楽しみにしてたようやから昨日は寝れなかったんかも知れんなぁ…。 今日渡そうと思ってた指輪を眠っている和葉の薬指にそっとはめて・・・・。 「お返しは渡したで…」 俺が和葉の添い寝になってしまった事に苦笑した。 「今日はホンマゴメンな・・・和葉」 和葉の前髪をそっと指で触る。 「…ウ〜ン………へ…じ………あ…ほ」 和葉が一瞬起きたのかと思ったが・・・・・・寝言やった。 ん〜〜〜〜今はアホ言われてもええわ。 今日の埋め合わせはまた別の日にさせてもらうな。 愛想尽かさんとそばにおってくれ・・・な? |
また書かせて頂きました(笑)mickyです。いや〜・・・参りましたね。それぞれのその後を書いたわりには、皆さんちょいアブナイです(お二方も同じような事を考えてた?)でも〜〜〜〜〜なんか〜〜〜〜〜〜〜面白くないですか?バレンタインの初々しさは何処へやら。平次がかなり積極的なので和葉が大変そうですが、よい傾向(?)ではないでしょうか。平和ラブラブ祈願がかなり叶ってきているような・・・。では読んで頂いた皆様ありがとうございました!by micky