『ホワイトデーは、キスよりもっと凄いお返ししたるから楽しみにしとけ。』


めっちゃ楽しいはずの恋人達のホワイトデー‥‥
しかしこの一言が“西の名探偵”服部平次にとって楽しいはずであろうこの日を最悪にしたという事は、誰も予想はしなかっただろう‥‥。





バレンタインデーの日に、アタシ達はやっと幼馴染みを卒業した。
嬉しいかって聞かれたら、そりゃ嬉しいに決まってる。

でも‥‥アタシはあの日(バレンタイン)から、ある悩みを抱えていたんや‥‥。



―バレンタイン翌日―
アタシは華月を学校の屋上に呼び出し、あのセリフの事を相談してみようと思っていた。
こんな事話せるの、華月以外にはおらんからや。

「なんかあったん和葉?昨日のバレンタイン、うまい事いったんやろ?
今日の服部くん、分かりやすいぐらいご機嫌やもん。」
「うん、やっとチョコ渡せてな、ほんでちゃんと受け取ってもろたんや。」
「ほななんで和葉はそんな元気ないんよ。
せっかく彼女になったんやから‥‥‥あ、また服部くんになんかいらん事言われたんやろ?
分かった、アタシが文句言うてきたるわ!!」
「あ、ちゃう、ちゃうよ華月! じ、実はな‥‥‥‥。」


「ええ〜〜〜〜!!!は、服部くんがホワイトデーにそんな事するって言うたん〜〜?!」
「ちょっと、声大きいって華月!!」


アタシは平次に言われた『キスよりもっと凄いお返し』で悩んでる事を華月に言うてみた。そしたら案の定華月も暫く口をあんぐり開けて放心状態や。

まぁ無理ないわな、あの平次がそんな事言うなんて、誰も信じられへんはずやもん。


「‥‥‥やるやん服部くん、あのボケにしては思い切った事言うたもんやわ。
良かったやん和葉!」
「な、何が良かったよ!そんなん言われて、アタシどないしたらええんよ〜〜〜。」

慌てるアタシをしり目に、なんか華月はめっちゃ嬉しそうにしとった。

‥‥相談相手、まちごうたやろうか‥‥?


「ほんなら和葉は嫌なん?服部くんとするの。」
「嫌って訳やないけど‥‥。」
「アイツも一応男なんやから、こんな可愛い和葉目の前にして我慢出来る訳ないもんな。
和葉、ちゃんと覚悟決めや!これは二人にとってめっちゃ大事な事なんやからね。
そや!勝負下着買いに行かな♪
和葉のイメージとちゃう凄いの着て、服部くんビビらせたろ!」
「‥‥‥‥‥。」


それから華月に色々教えられながら、アタシは分からないように小さくため息をついたんや。

(なんなんよ、華月のこの張り切りようは‥‥人の気も知らんと‥‥。)

初体験の緊張を抑えるより、この華月の勢いを抑える方が難しいかもしれん‥‥と、その時アタシは思ったんや。




それからアタシの気持を知ってか知らずか時はあっという間に流れ3月になってしまった。
でもここにきて、アタシは不思議に思う事があったんや。

(平次の態度が前と変わらへん‥‥?)

さすがにバレンタインデーの後、1週間ぐらいは二人共ドギマギしてもうて会話もちょっとぎこちなかったかもしれへん。
でも最近の平次はこの状況にすっかり慣れてきたのか、以前と変わらへん態度でアタシに接するようになったんや。

(‥‥いや、あれからキス魔には変わったけど‥‥。)

そうや、あれから何かに付け平次はアタシに隙あらばキスをしてくるようになったんや!
アタシも少しは慣れたけど、学校でみんなの目を盗んでされた時なんかはどうしていいか分からへんし‥‥、
平次はというと、真っ赤になったアタシの反応を楽しんでいるみたいやった。

そんなアタシ達を見てますます華月の“ホワイトデープラン”(勝手に計画立ててる…)はエスカレートしていくいっぽうやった。





そして、とうとう明日がホワイトデーという日になり いつものように登校しようと平次の家に朝迎えにいったら、

「お、和葉 おはようさん。事件や事件!事件がオレを呼んでんねん。今から四国へ行って来るから暫く帰られへんわ。でも、オレがおらんからって浮気すんなよ〜♪」

って、楽しそうにいつもの大きなバックをバイクにくくりつけてる平次がおったんや。

(はぁ‥‥‥???)

「ちょっ、ちょっと‥‥帰られへんって何日ぐらい帰ってけぇへんの?」
「そんなん分かるかいな、まぁオレの推理力があれば3日ぐらいあれば何とかなるんちゃうか?」
「3日って‥‥‥」

(な、なに?!もしかして、平次のヤツ ホワイトデーの事忘れてるんちゃうん(怒)
ほ、ほんならあのセリフも、当然 全く 全然 丸っきり これっぽっちも覚えてないわな‥‥‥)

ゴゴゴゴゴ‥‥‥‥(←怒りの音)


「ん? なんや? なんか背中に殺気 感じたんやけど‥‥気のせいか?」

(気のせいちゃうわ、アホ!!殺気どころか、そのバックにアンタ詰めて庭の池に沈めたろか思とるんは、このアタシや!!!)


‥‥‥って、思ったりもしていたが、当然そんな事 このキラキラした顔の前で言える訳もなく、ひきつった笑顔で見送った情けないアタシがいた訳や‥‥。






「な、なんやてぇ〜〜〜?!

あんのウスらボケがぁ〜〜!!」


その話を聞いて絶叫したのは、やっぱり華月やった。
こうなった華月を止める事は、親でも先生でもマッチョなボディービルダーでも無理やと思った。

早くも“華月ちゃんのホワイトデープラン”は没になり、“あのボケを地獄へ突き落としたらぁ!プラン”へと変わっていったんや。

「か、華月‥‥落ち着いて。平次らしいやん、覚えてないなんて。
いつもの事やし、アタシ気にしてへん‥」
「何言うてんの和葉!!アンタがそうやって甘やかすから、あのボケはそういう事に関しての脳の成長がいつまでたっても小学生レベルで止まってもうてるんやわ〜〜。
ほんで、本能だけはイッパシにあるんやから最悪やんか!
まかせとき、ちゃんと服部くんに反省させて、バッチリお返しは3倍返しさせたるからv」

そう鼻息荒く語っている華月を、アタシはもう直視する事すら出来へんかったんや‥‥。





3月14日
夜中の零時を回った時、あらかじめ華月が用意したメールを平次の携帯に向けて送信した。

内容は
『事件の捜査ご苦労さまです!
でも、今日はホワイトデーやったのに会われへんのやね。残念(;_;)
バレンタインの時、キスよりもっと凄いお返ししたるからって言うてくれたから心の準備もしてドキドキして待ってたんやけど、しょうがないね 捜査なんやから。
また来年のホワイトデーに期待しとくから事件解決頑張ってねd(^-^)』

‥‥と、いうものやった。
華月曰く、このメールを見たら朝までにガムシャラに頑張って解決させるはずなんやって。ほんで、そっからバイク飛ばして必死に帰って来るから午後にはこっちに着くそうや。

(‥‥ホンマにこんなんで上手くいくんやろうか。)

そう思いながら、取り合えずアタシは寝る事にしたんや‥‥。


翌日、華月の言った通り平次から『事件解決したから昼過ぎには帰る』っていうメールが届いたんや。

(凄いわ‥‥華月の言う通りやん。)

アタシは関心はしたが、半分 平次のエロさにも呆れながら また華月の指示通りメールを打つ事にしたんや。

『お疲れさまv 凄く早く終わったんやね、嬉しいです♪
気を付けて帰って来てね。それから家に着く前に電話いれてね、心の準備もあるし‥‥。
では、待ってます!』


‥‥‥華月、この文章サブサブやわ〜〜(泣)ありえへんって! いくらなんでも平次も引くんちゃうん?

でも、考えた華月は「これで服部くんはイチコロやで〜♪」って楽しそうにしとった。

う〜〜ん‥‥華月の感性がアタシには理解出来へん〜〜〜。



それからいつも通りアタシは登校した。テスト前だったので、午前中だけで授業は終わったので、華月と速攻家に帰り そして二人で協力して1階の大掃除を始めたんや。

「なぁ、こんな事してホンマに大丈夫なん?」
「大丈夫大丈夫、まぁ見てなって♪」


そして暫くして、夜勤明けのお父ちゃんが帰ってきた。

今日は1階を大掃除してるからアタシの部屋で寝てな、と言うと 何の疑いもなく計画通りお父ちゃんは2階へと上がって行ったんや。
お父ちゃんが寝るのを確認して、アタシ達は家をあとにしたんや。

外に出て少ししてから、計ったように平次から電話がかかってきた。

「和葉―♪今からそっち行くから、覚悟して待っとけよ――!」

上機嫌な平次に、アタシは心の中で吹き出しそうになりながら、

「うん、わかった♪
あ、もう玄関開けてあるよ。恥ずかしいし、先にベットに入っとくから勝手に入ってきてなぁv
‥‥平次、待ってるよ。」

‥‥‥と、めっちゃ甘えた声で言うてみたんや。

電話の向こうで平次が鼻血を出しているともしらずに、アタシ達はウキウキしながらカラオケへと繰り出して行ったんや。







その後、平次がどうなったかは‥‥‥(汗)

恐ろしくて作者には書けません(笑)


でも、次の日ちゃんとお詫びのプレゼントを貰って笑顔の和葉と、なぜかチョー笑顔の華月がいたのは間違いないはず(?)





今日の教訓‥‥自業自得―――


The END(?)











phantomサイトへお越しの皆様こんにちは!
またまた お邪魔してしまいました yunaです。
今回もphantomさまのご好意に甘えて、こんな駄文を送り付けてしまいました(汗)
バレンタインの続きをそれぞれ好きなように妄想したのですけど、phantomさまに「みんな微エロだ!」と言われてしまいました(笑)
でもでもっ、私のは他の2人と違って言葉だけで実際行動には移してませんよね?
触れ合いも、多分遠山父と平次だけだし(爆)

あ、それから今回 華月ファンの私はphantomさまのお許しをもらい彼女を使わせて頂ける事になりましたv
もう…ホント華月サイコーでした!(phantomさまありがとうございました。)

では皆様、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました。少しでも楽しんでもらえたら本望です!

最後に、phantomさまmickyさま、ありがとうございました、お疲れ様です!!!
by yuna
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