何度も夢に見る。

俺の心の不安を具現化した・・・・・・・・
響く銃声。

いとも簡単に吹っ飛んだ身体。





―――――――イヤダ!!





飛び散る赤い鮮血。

叫ぶ声は音にならず。

紡ぐ名は誰のものか。





―――――――ヤメロ!!





色を失っていく顔。

徐々に失われていく体温。





―――――――ヤメテクレ!!





鮮血に濡れ、紅を引いたような唇。

口元に浮かぶ儚い笑みが、とても美しく。





―――――――モウ、タクサンダ!!





抱きしめた身体。

熱のない、ココロ失くした只の器。

開かない瞼。

囁かない唇。

伸ばされない指先。





最後に交わした口づけは、冷たい死の味・・・・・・・・・・





――――――――ヤメロ!!ヤメロ!!!

「和葉っ!!」

叫び、飛び起きる。

冷たい汗が背中を流れ落ちた。

早まる鼓動を落ち着かせようと深く息をつく。

そこで、隣にいる存在に気付いた。

「ん・・・平次」

幸せそうに眠る姿に安堵する。





――――――――ココニイル・・・・・





当たり前の事実に心を撫で下ろす。

時折見る、悪夢。

銃で撃たれ、息絶える和葉。

伸ばした腕は届かず、無力な自分。

深い絶望。

夢の中の和葉の死に顔が脳裏に焼きついて離れない。





――――――――ココニイルヨナ?





確かめるかのように口づける。

触れた唇から伝わる熱。





生きている。





「・・・何?平次?」

開かれた瞼から、焦点の合わぬ瞳が現れる。

「和葉」

「何?」

頬に触れ、その温かさを感じながら再度口づける。

触れるだけのはずが、次第に深くなり、苦しげに和葉が呻く。

「平次・・・いきなり、どうしたん?」

怪訝そうな和葉の質問には答えず。

「ちょっ、何して・・・・んうっ・・」

唇を奪う。

右手は彼女の身体を撫で上げ、左手は細い腰を抱き。

「和葉・・・和葉・・・・」

その存在を確かめるように熱を共用していく。





―――――――ココニイテ。オイテイカナイデ。





「ちゃんと、おるから」





―――――――アタシハ、ココニ・・・・・・





穏やかな笑み。

夢の中の儚い笑顔ではなく。





「平次・・・」

囁き、抱きしめる。

震える身体を優しく包み込む。





もっと感じさせて。

あの悪夢を忘れるように。





「和葉・・・・・」





あの夢はきっと、俺の不安を具現化したモノ。

彼女失くしては、きっと壊れてしまう自分。





「平次・・・大丈夫や」





もっと言って。

安心させて。





「大丈夫や」





誓って。

離れていかないと。

独りにしないと。





「平次・・・・・」

「和葉・・・・・」





お願い、信じさせて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


valuablytop contens 真夏の夜の夢TOP 真夏の夜の夢 -新一と蘭-
リンさまに貰いました!
「真夏の夜の夢」タイトルからして素敵。
こんな2人は私には書けないです。
ず〜〜と欲しかったお話がやっと我が家にやって来ました・・・・ふふ・・・・嬉しい。
ありがとうございます、リンさま!!
by phantom