風呂上りに気がついてん。
携帯メールの着信ランプが、机の上で光っていたんは……間違いない。

この曲…。
このランプの色…。


「平次?」


携帯を開けると、

『和葉、元気にやっとんのか?
最終に乗れたさかい、今から大阪へ帰るわ』


「な…なんやの急に!?」

時計を見ると、現在22時半。

「さ…最終って何時なん?」

急いで携帯で調べる。

「23時58分って……。もうすぐやん!なんでいきなりこんなメール送ってくるん?
なんで東京出る前にメールを送ってくれへんのぉ〜〜〜!!!!」



クローゼットを開けて、目の前にある服を睨む。


「う〜〜〜〜〜ん。ちょっとは女らしい服を着て、平次を驚かせたいような気もするし」

なんと言っても、この前会ったのは3ヶ月も前の話。

離れているからこそ、気を抜かずに常日頃から自分に磨きをかけてきた。

腕を組んで、眉を顰める。

「ああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜もう、何着ていったらいいんやろ!!!!」


時計の針の音に我に返り、再び時計をみると
「もう時間ないやん!! そや!タクシー呼ばな!」
 
 取り敢えずタクシーも呼んで…後は…。

その時、ふっと鏡に映った自分を見て気がついた。



アタシ変わったかな?



平次はさらに男前になったんやろか?

向こうには綺麗な人がいっぱいおるやろうし…。

胸の奥がズキンと鈍い痛みが走った。



「か…考えてもしゃーない!会いたいもんは会いたいんやから!」


そこら辺にある服を着て、髪を簡単に乾かして外へと飛び出した。



「タクシーの運ちゃん、何してるんやろ!?平次が帰って来てしまうやん!!」


やっと来たタクシーのヘッドライトに大きく手を振って、

「新大阪まで!飛ばしてってな!」

まるで人の命が懸かっているかのような、神妙な面持ちに運ちゃんのドライバー魂に火
がついた。

「任せときぃ!」


のはずが…。

駅に向かう途中に事故渋滞に巻き込まれ、「こんな時間になんでこんな混んでんねん!」
と運ちゃんもご立腹。

駅までもう少しなのに…。



「ア、アタシ……ここで降りるわ!」

タクシーを飛び出して、全力で走った。

平次に会いたいって思いだけで…息が上がっても苦しくなかった。
 
走って……走って……。

誰かが声を掛けてきても、振り向かない。

前をみて……ただひたすらに。



0時ちょうどに大阪駅の改札口に着いた。

「ハァ……ハァ……」

人が疎らに流れてくる。

必死で平次がいないか目で追う。

そして…最後の一人も和葉の横を通り過ぎていった。



「な…なんで?……ハァ…平次…おらへんの?」


まさか…途中で事件が入って引き返したとか?

実はからかっただけのメールだったとか?


自分の携帯を見たら0時15分。

半乾きだった髪もすっかり乾いてる。
走った事もあり いつもは綺麗に結ってある髪も、乱れた姿でガラスに映っていた。

「アハ……最悪やわ」

膝に手を当て、呼吸を整えようとしたが上手く呼吸が出来ない。

泣きたくない。

平次と離れた時に、絶対に涙は流さないって決めたから。

それでも乱れた髪も呼吸も、すべてに切なくなって……口に手をあてた。

「へ…平……次」





ドサッ!!





自分のすぐ横で大きな音がした。


大きなスポーツバックを片手に降り立った。


「なんちゅう顔してんねん」
あの頃と変わらない笑顔が、すぐそこにあった。

アンタのせいやんか…

アンタがアタシを振り回してるんやろ…


「やっぱ、大阪はええなぁ」

アタシは瞳に溜まった涙を腕で拭いた。

「…お帰り……」

「おぉ!ただいま!」

アタシの大好きな笑顔がそこにある。


やっぱり…好きや。

こんな夜中でも呼ばれたら会いたいし…。

一秒でもそばにおりたいんやもん。




「和葉…なんちゅう髪型しとんねん」

「あんたが急にメールを寄こすからやん!」

「ハハ…嘘やって。急いで俺に会いに来てくれたんやろ?」

「もう…知らん!」

「俺は そんな和葉をみたかったから、ギリギリでメールしたんやで?」

「…平次、いつから顔だけやなくて、腹ん中まで黒くなったん?」

精一杯の嫌味も、平次はなんだか嬉しそう。

どんなに転んでもアタシは平次に勝たれへんのやね…。



どうしよう…悔しいけど、嬉しい。

「この後…どこ行こか?」

「あんたの好きにしたらええやん」

「ほんまかいな」

「なにが?」

「んじゃ……タクシー!!」

えっ!ど…どこに行くん!



なんやさっきの運ちゃんやないの?

「彼氏、無事で良かったやんなぁ。飛ばした甲斐があったわ」

「…?ようわからんけど、久しぶりの大阪やさかい、ちょっと遠回りして帰ろうや」

あっ…そういう事なんやね。
アタシ、ホテル行こうなんて言われたらどないしようかと思うたわ。
 
「運ちゃん。おしゃれなホテルとか知らへんか?」

「おぉ!快気祝いかいな!ええとこしってんで」

「んじゃ頼むわ」



ア…アタシ叫んでもええかなぁ?



















(完)


オマケ by phantom
valuably top contens
mickyさまより頂きました!お叫びシリーズ?第1弾!「大阪LOVER」でした。
和葉が叫びたい気持ちはよ〜〜く分かる。
そらもう、いっつも絶叫したいだろう。うんうん。
しかも・・・この運ちゃん何気に良い味出してるわ〜〜〜。
で思わず続きを書いてしまった・・・・それが「オマケ」だよん。
しかも、これ・・・・・・まだ続きそうなんよねぇ〜〜!
何かmickyさまに書いてもらうと、短編で終わらなくなってしまうんだよね〜〜。
なんでかな???
by phantom