「 狂気の宴 」  第 二 話
「あっ・・」
鏡の中にはあたししか映ってへん。
あたしの後ろには、確かに平次が居るのに。

「和葉」

姿が見えへん平次の声。
その声音に、あたしの体は小さく震えた。

「和葉」

いつもの平次の声やのに。
いつもの平次の響きやない。

体があたしの意思とは違うて、振り返ることを嫌がっとる。

「こっち向けや和葉」

平次があたしの肩を掴んで、動かない体を無理矢理振り向かせた。
「っ・・」

平次があたしを見とる。
あたしの目ぇを見とる。

そして、あのラブホん時の何かに魅せられとる様な顔をする。

「その瞳に・・・・ほんまはお前のその瞳に」
う・・んっ・・
平次は自分の言葉を遮るようにキスをしてきた。
う・・・・うんん・・・・ん・・ん・・・
あたしがどんなに足掻いても、平次の力に敵わへん。
そのまま、あたしはベッドに押さえ付けられてまう。
噛み付くようなキス。
あたしの舌を執拗に追掛け、追い込み、絡み付いて食べ尽くそうとする。
逃げたいのに逃げられへん。
両手も体も足さえも平次に押さえつけられて、あたしはどうすることも出来へん。
・・・・・・・ん・・・・・ん・・

息が・・・・・でき・・・へ・・ん・・・。

苦しくて涙が零れた。
「泣くんはまだ早いで」
平次が離れると、耐え切れへんあたしの口元から唾液が流れ出したんが分かった。
やけど、あたしは涙もそれも拭うことすら出来へん。
「お前がその瞳と離れられへんなら、オレはそれに付き合うしかないやろ」
あたしを押さえつけたままで、平次が笑みを浮かべながらそう言うた。

こんな平次・・・・・見たこと・・ない・・・。

「へい・・・じ・・・」
縋るように平次の目見詰めても、平次は僅かに目細めただけであたしを見下ろしてくる。
「自分があのバケモンから何貰うたか、これからオレがお前に教えたる」
ビリッ!っと平次があたしのノースリーブのワンピを左右に引き裂いた。
「いっ・・・いやっ!」
そのまま肘まで下ろされたワンピで、あたしの両腕は固定されてまう。
「平次!いやや!止めてっ!」
あたしがどんなに泣いてお願いしても、平次は止まってくれへん。
「お前が貰うたんは、オトコの劣情を強烈に刺激して狂わしてまうもんや」
「そっ・・・・んん〜・・・・・
再び口を塞がれ、手はあたしの胸を強く刺激する。

なんで・・・なんで・・・こんな・・。

耳の中まで舐め尽くされ、甘噛みされ、焼け付く舌は首筋を伝っていく。
「オトコの本能を絡めとって・・」
「ああっ・・」
胸をキツク噛まれて、あたしは声が漏れた。
「理性も何もかんも奪い去って・・」
左手がスカートの裾ん中へ入って行く。
嫌やのに止められへん。
「いやや・・・平次・・・・・なんで・・・・ああああ・・

指が・・・・平次の指が・・・・。
あたし・・・まだ・・・・準備出来てへんのに・・・。

「お前だけを狂おしい程に求めさせてまうんや」
平次はそう言うなり、いきなりジーパンに手を掛けた。
「いやや!平次!止めてぇな!平次!!」
あたしの泣き叫ぶ声など平次には届いてへんのか、下着を足から抜き取られ一気に貫かれてしもた。
「いやああああああああ!!!」

痛い!痛い!痛い!イタイ!

まだ濡れてへんあたしのあそこは、あまりの痛さに悲鳴を上げる。
「イタイ!平次!お願い・・・・あっああ・・・・・お願いや・・から・・・・ああああああ!!!」
あたしがどんなに叫んで、どんなに泣いて、どんなに頼んでもやっぱり平次は止まってくれへん。

涙が溢れ出す。
なんで・・・なんで平次はあたしにこんなことするん・・・。
あたしのよう知ってる平次は、こんなことする人やない・・・。

これが・・・あたしが貰ったもんなん・・・。
あの鏡は・・・こんなにも平次を変えてまうほどの・・・。
こんなにも平次を狂わしてまうほどのもんをあたしに与えるん・・・。

「和葉!和葉!和葉!和葉!」
「あっ・・・・・あっあっあっ・・・・ああああああああ!!」
あたしは頭の中が真っ白になって、平次に攻められ続けたまま意識を手放してしまった。

その日、何度意識が戻っても。
あたしは平次に組み敷かれたままやった。
平次はあたしの意思など関係なしに、何度も何度もあたしを犯し続けた。

あたしは平次に喰い尽されてまう。
あたしは平次に壊されてまう。
あたしは・・・。

違う。
そやない。

あたしが。
あたしがあのバケモンから貰うたから。
あたしが平次の忠告も聞かずに、見てしもたから。

あたしが・・・。



あたしが平次を壊してしもたんや。





「狂気の宴」和葉ちゃん語り。
いかがでしょうか?って問いかけるあたりから逃げ腰。(笑)
う〜ん。痛い。

「ちょ〜平次!自分が映らへんからって、八つ当たりせんといて〜や!」

by phantom
 「狂気の宴」top phot by 月桜迷宮
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