「 色喰夜会 」 第 十九 話 | |
目の前の光景に、一瞬言葉を失った。 1人目の遺体の発見現場で落ち合った吉村警部補と次の現場へ行こうとした矢先に、新たな殺人事件、それもこの一連の事件に関係してそうな遺体が見つかったて連絡が入って、急遽その現場へと向かった。 既に制服の警官たちが規制線を張っとったそのアパートの一室で壊れた人形みたいに転がっとったんは、漣やった。 「漣……」 「服部はん、ガイ者知ってはるんですか?」 「ああ。小森漣、オレのツレのオンナや」 「間違いありまへんか?」 「大学で偽名使うとらんかったらな」 漣の死因は恐らく窒息、部屋に帰って来た所を首に巻いとったマフラーで締められたんやろう。 状況から見て目を抉られたんは多分その後。 部屋が荒らされた形跡もない事から、顔見知りの犯行や。 「これで4人目ですなぁ。左手、右足首、頭、両目……。遺体の一部を持ち去る事に、どんな意味があるんか……」 吉村警部補の独り言みたいな呟きを聞き流しながら、オンナの周囲に目を走らせる。 このオンナから、昨夜のうちにオレの携帯に届いとった写メは7通。 オンナには、オマエを守るためやと言い聞かせてオレ宛てのメールの履歴はその都度消すように言うてあるし、最後のメールにはこれから帰宅すると添えてあったから携帯を調べられても不都合はないハズやけど、念のために確認しておきたい。 「携帯は見つかっとりますか?」 「携帯?」 「昨日学祭関係で聞き込みしとる時に、彼女から恋人についての相談受けたんや。この事件とは関係ないかもしれへんけど、ちょお確認しときたいと思て……」 昨日オレがこのオンナと会うとった事は警察がその気んなれば簡単にわかるやろから、ヘタに黙っとくより自分から情報出しといた方がええ。 今までに幾つもの事件で警察に協力してきた実績が役に立ったんか、吉村警部補は鑑識からオンナの携帯を借りてくるとオレに渡してくれた。 刑事から手袋借りて妙な操作はしとらんと見せ付けるように目の前でオンナの携帯を開いたが、オレの指示通りにメールはちゃんと消されとった。 「コレは……」 特に不審な履歴もなさそうやからまずは交友関係から洗って共通点をと、今後の捜査方針を話し合いながらオレが操作しとる携帯を覗き込んどった吉村警部補が、ふっと言葉を切った。 他の刑事たちも、一様に息を呑む。 オレへの写メの履歴は消しても多分携帯には残っとるやろうと、何気ないフリで開いた保存画像。 そこに写っとったんは、持ち去られた遺体の一部やった。 そこからの警察の行動は早かった。 連絡が取れへんようになった恋人の事で相談受けたてオレの証言を受けて谷川のアパートを捜索して、冷蔵庫ん中から凍らせた遺体の一部を発見すると、即座に逮捕状を取って行方を捜し始める。 犯人が特定されればオレはもうお役御免やから、吉村警部補から労いの言葉を貰って篭へと戻った。 篭は、オレが出た時のままきちんと鍵が掛けられとった。 和葉を繋いであるんやからたとえ親たちでも入れへんが、ここ2日の事を思うと妙に安心した。 「ただいま」 いつものように声を投げて和葉を繋いだ和室に向かうと、熱に浮かされたような喘ぎ声が零れて来た。 普段滅多に使わんがらんとした和室では、和葉が蜜を滴らせながら自分の足に繋がれた鎖に股を擦りつけて独り遊びに興じとった。 オレが帰って来た事にも気付かへんくらい独り遊びに夢中になっとる和葉は、擦りつけとるだけやと物足らなくなったんか、自ら指を突っ込んで快感を追いかける。 軽くイってくたりと畳にカラダを投げ出した和葉は、漸くオレの声に反応した。 「言うこと聞けへんのやったら、今日はずっとこのままやで」 和葉が自分のカラダに傷をつけた事を、オレはまだ許しとらん。 オレを求めて伸ばされた手を拒絶して、和葉に独り遊びを命じた。 「んっ…ふっ……」 「傷、増やしとらんやろな?」 「あっ……アタシ、ええ子にしとった……んんっ」 「ほんなら、見せろや。まずは喉や。それから、乳首」 オレの命令に、和葉は頭を反らして細い喉を晒し、快楽を引き出そうと弄んどった乳首から指を離して両手で乳房を持ち上げる。 白い喉には掠り傷一つなく、独り遊びに立ち上がった乳首にあった傷は殆ど治っとった。 「腹も足も傷はつけとらんようやな」 「せやから、ええ子にしとったて……」 「オマエの『ええ子』は信用ならんわ」 「へいじぃ……」 「股開いて、その我慢出来ひんで涎垂らしとる口が見えるくらい広げろ」 畳には独り遊びで流した蜜がたっぷりと染み込んどるが、和葉が自分の蜜に塗れた指でそこを広げるとまたとろりと滴り落ちた。 「中引っ掻いたりしとらんやろな?」 「そんなんしてへ…ひゃあんっ!!」 物欲しそうにヒクつくソコに指3本纏めて突っ込んで、軽く中に触れるだけで引き抜く。 「ほんならええわ」 「あっ……」 「うつ伏せんなって、尻出せや」 「お願い…へいじぃ……ココに…ああんっ」 中途半端に昂ぶってもどかしいんか、和葉が蜜を垂らした口に自分の指を突っ込んだ。 「あっ……へいじっ…んんっ…」 「オレの命令がちゃんと聞けたら、たっぷりくれたる」 「ああっ!!」 手枷の間の短い鎖に指を引っ掛けて和葉の指を下の口から強引に引き抜くと、そのまま横に放り投げる。 勢いのままにカラダを捻った和葉は、しぶしぶと両手を畳について四つん這いになった。 「背中にも尻にも傷は増えとらんな」 「せやから……」 「今日はええ子にしとったらしいけどな、カラダに傷付けた事は許してへんで?」 「これは平次が……」 「言い訳は聞かへんて言うたやろ?」 「せやけど、へいじ……んぐっ」 「言い訳はいらん」 煩く言い募ろうとする和葉の口に、今朝剥ぎ取って放り出したままやったワンピースを裂いた猿轡を噛ませる。 「それとも、この篭を出たなったんか?」 「んんっ…」 オレの問いに、和葉は強く首を横に振った。 「オマエはオレのモンや。何があろうと、オマエのカラダに傷付けられるんはオレだけや。たとえオマエ自身でも勝手に傷付ける事は許さん。そう言うたやんな?」 「んっ……」 「傷が欲しいんやったら、オレに付けろ。噛み千切ったってええ。せやから、自分のカラダには掠り傷1つ付けるな。絶対にや」 「……んっ」 「約束出来るな?」 「んっ…」 「ええ子や」 「んんっ」 何度も頷く和葉の背中に舌を滑らせながら、ジーンズに押さえつけられとったオレのモノを解放する。 和葉の痴態に充分に煽られ勃ちあがったソレを、待ち焦がれとった口に喰わせたった。 「んんんっんっ!」 「約束やからな、たっぷり喰わせたる」 「んんっんんっんっ!!」 ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立ててオレのモノを呑み込んだ口が、離すまいとするかのように喰いつきながら蜜を溢れさせる。 散々ヤってきて慣らされたソコは、貪欲にオレを引き込み締め付けた。 「んっんんんっ!!」 「っは…くっ…」 「……んんっ!!…んっ!!んっ!!」 「…っふ…かずはっ……」 快楽をねだって腰を振る和葉に合わせて最奥まで思い切り突き込むと、白い背中が綺麗に反り返る。 それを利用して和葉のカラダを起こして、下から突き上げた。 「んんっ!んんんんっ!!」 「……っは…イきたい…んやろ?」 「んっんっんっ…んんっ!」 「オレもっ…イきそう…や……っく…」 「んんんっ!!」 オレに背中を預ける和葉の両足を抱え上げて、重力を利用して奥の快楽のポイントを突いてやる。 猿轡の奥でくぐもった嬌声を上げて達した和葉の中に、オレも存分に熱を吐き出した。 |