「 色喰夜会 」 第 二十ニ 話 | |
インターフォンの音色が鳴り止まない内に、下で待っているであろうお人形に声を掛ける。 「はい」 「か、和葉さん!」 思った通り、この声はアタシの新しいお人形さん。 「プレゼント、持って来てくれたん?」 「そうやで!和葉さんの言うたモン持って来た!」 「おおきに。上がって来て」 「すぐ行くから!」 オトコは言葉のままに、僅かな時間で篭までやって来た。 「こ…これ」 玄関で手渡されたのは、水筒みたいなモンやった。 「こん中に入ってるん?」 「あ、うん。生理食塩水に浸してあるんや」 「そう」 「確認…するやろ?」 「そやね」 オトコがソレを開けようとしたから、 「こっち来て」 と篭の中に招いた。 篭を汚したらまた平次に構ってもらえない… お風呂に向って歩いている途中で、オトコの足音が不意にしなくなった。 「どしたん?」 「あれ…は…」 オトコは何か気になったのか、アタシの後ろから離れて行った。 「これ、何の為にこんなモンがあるんや?」 金属の音からしてオトコの手にしているモノは、多分昨日アタシが繋がれていた鎖。 「平次がアタシを繋いでおくため」 「繋いでて…なんで?」 煩わしい質問やけど、このオトコにはご褒美を上げるつもりやから答えてあげた。 「アタシはこの篭で平次に飼われてる。やから、平次怒らせたら繋がれるから」 「篭で飼われる?服部とはちゃんと結婚してるんやろ?」 「しとるよ。平次はアタシのご主人さまや。すべての意味でな」 「それって…」 「アタシのすべては平次のモノ。そしてアタシの自由はこの篭の中だけ。ここがアタシの世界のすべて。ステキやろ?」 「かず…は……はそれで…ええんか?」 オトコが何を考えているのか、アタシには分からないし興味も無い。 「そんなことより。その足枷アンタの足に嵌めてみて」 「え?」 「ご褒美、欲しいんやろ?」 オトコの声がする方に顔を向けて、微笑んでみせる。 「…っ」 息を呑む音に続いて、鎖の揺れる音がした。 「出来た?」 「あ、ああ」 アタシは近付いて行って、足先に触れた鎖を引っ張った。 「うわっ」 長い鎖を持って、突然足を引っ張られ転んだオトコの上に跨る。 「ご褒美上げるな」 手に持っている鎖で、オトコの両手を纏め巻き付けた。 「か…かず…は…」 「じっとしとって。気持ちようしてあげるから」 オトコの両手を鎖を巻き付けたまま頭の上に押さえ付け、声のする方を覗き込んで囁いてあげる。 「ぁ…」 アタシに見詰められて、オトコの体から力が抜けていくのがよく分かる。 「ふふ…」 このお人形さんは素直… 前のお人形さんもええ子やったけど少し我侭やった… コートの前を広げて、シャツのボタンを一つずつ順番に外していく。 そして下に着ている下着をたくし上げ、その中に手を差し入れた。 「ぁ…ぁあ…」 両手で乳首の周りを撫で、時々そっと中央に触れてあげるとオトコは鳴声を上げ始める。 昨日と同じように乳首だけを攻め、摘んだりしゃぶったりしてあげると、気持ち良さそうに体を揺らした。 「昨日はここまでやったね」 「そ…そうや…」 「ほな、こっからがプレゼントくれたご褒美な」 胸から下へ下へと舌を這わせて行くのと同時に手はベルトを探りあてて外すと、すでにズボンの中で硬くなっているソノを掴んだ。 「ああぁ…」 平次のに比べて小さいソレはそれでも十分に誇張しとって、アタシがそっと舐めただけでも汁を出し始めた。 「もっと気持ちええことしてあげるな」 オトコにそう告げると、アタシはその場で立ち上がり着ていたワンピースを脱ぎ捨てた。 「綺麗や…和葉はほんまに綺麗や…」 今日のワンピースは下着の線が出たらおかしい言うて平次が何も着せてくれへんかったから、ワンピースの下は裸。 勝手に動くこうとしたオトコを、 「動いたらあかん」 と押し止めてその足の間に再び蹲った。 そしてオトコのそそり立っているモノを胸の間に挟みこむ。 「どう?気持ちええやろ?」 「あ…はぁ…かずは……あ…ぁ…」 両手で自分の胸を揉み上げるようにして、ソレを擦り上げるとオトコの鳴声が更に大きくなった。 「あぁぁぁ…んんん……ぁぁ」 その行為を繰り返し先から溢れ出す汁を舐めてあげると、溜まらないんか自ら腰を動かし始める。 やからその動きを利用して、胸の間からオトコのもっとも敏感な場所を引っ掻いてあげた。 「ひゃああぁああぁぁぁぁ」 オトコは膝を曲げて、アタシの体ごと跳ね上がった。 「こんなんされたコトないやろ?」 アタシは面白くて何度もやると、オトコは呆気なく達してしまった。 「イクん早い」 物足りなくて呟くと、 「はぁはぁはぁ…ご…ごめん…はぁ…はぁ…」 心底も申し訳なさそな声で謝った。 ほんまにこのお人形さんはスナオヤ… 「やったら、アタシのココ綺麗にして」 アタシはオトコの体を這い上がり、言われたままに上に上げている腕を両膝で押さえ付けると、今だに空気を求めて開かれている口にアタシの秘所を咥えさせた。 「んん…んぅ」 「綺麗に舐めてな」 スナオなオトコは舌と唇で、必死にアタシの秘所をしゃぶり始めた。 「あん…あん…あぁぁ…」 気持ち良くて思わず腰を浮かせると、オトコの口はアタシから離れるんが嫌なんか追いかけるように付いてきた。 「ああ……歯ぁ立てたら…あん…あかん…」 オトコの顔を押さえ付けて引き離した時、突然平次の声が聞こえた。 「和葉、ええ子にしとるか?これから帰るから、もうちょお待っとり」 「平次?」 声の後に聞こえた機会音で、今のが電話の声やて気が付いた。 平次が帰って来る… アタシは嬉しくて、未だにアタシの秘所をしゃぶっているオトコを無視して立ち上がった。 「あ……」 「平次が帰って来る」 もうこんなお人形さんで遊ばなくてもいい… 「は…はっとり?」 「そうや!平次が帰って来てくれるんや!」 殆んど汗をかいてないから、そのままワンピースを手繰り寄せて袖を通す。 平次がこれから帰るなん電話してくれることは滅多にないから、アタシは嬉しくてその場で飛び跳ねた。 「あ……くそっ…」 しかしオトコはアタシとは正反対に、慌て出した。 ガシャガシャと鎖を煩く鳴らしながら、急いで足枷を外しているみたいやった。 「帰るん?」 「ああ。流石に服部と鉢合わせする訳には、いかんやろ?」 「そうなん?」 「やって、服部怒らせたらまた和葉は繋がれてしまうんやろ?」 「うん」 「俺は和葉をそんな目に合わせたない。やから、今日俺がここに来たことが服部にばれへんようにせんと」 そう言うとオトコは鎖を動かしたり、畳を拭いているような音をさせた。 「洗面台は?」 て聞かれたから案内する。 「ここにあるタオル使うてもええ?」 「ええよ」 するとオトコはタオルを濡らし、アタシの顔やワンピースのボタンを外して胸や秘所を綺麗に拭いていった。 「これでええ」 ワンピースを元に戻すと、もう一度蛇口を捻る音がした思うたら、どうやらタオルを洗ってるみたいや。 「そんなんせんでもええのに」 「念の為や。このタオルは何所に置いたらええ?」 「洗濯機にそのまま入れたらええよ。そうしとったら、平次が洗うてくれるから」 それからオトコはタオルを洗濯機に入れると、アタシを即すように玄関に向った。 「この傷、もう痛みはないみたいやけど大丈夫やったん?」 「傷跡が残るやろうって、平次が言うとった」 「そうなんや…」 玄関に着くと、 「俺が出たら、ちゃんとロックしてな。そやないと和葉が服部に怪しまれるから」 とアタシをドアの側まで連れていった。 「また…俺と…」 「ええよ。プレゼントくれたら、またご褒美あげる」 「今度は何が欲しい?」 「今はないわ」 「やったらまた来るから、そん時に欲しいモンあったら言うてな」 「そうする」 オトコはそれから再度アタシに、ちゃんとロックをするように言うて帰っていった。 アタシはオトコに言われた通りに、篭に来て初めてドアにロックを掛けた。 「平次…」 ロックの音が消えた時には、心はすでに平次のことばっかりやった。 後少ししたら平次が帰って来る… 俟ち切れなくて、でも平次にええ子にしてたこと褒めて欲しくて、アタシはそのまま玄関にペタンと座り込んで平次を迎えることにした。 |