■ 第 2 話 ■ by 蒼井 空 |
しばしの沈黙。 平次は和葉の瞳をずっと見つめ続け答えを待っている。 「…和葉?」 和葉は、頬を赤らめ平次を見つめたまま。 いや、逸らせないで居るのだろう。 すると、桃色の唇から言葉が漏れた。 「…そんなん…平…」 「ん?なんて?」 「…平次に決まってるやろ!?この鈍感男!!!」 そういうと、平次の視線を無理やり逸らし荷物を掴むと教室を出て行った。 平次はしばらく真っ赤になって固まっていた。 「蘭ちゃん〜!!!どないしよ〜!!!」 『お、落ち着いて、和葉ちゃん。』 どうやって帰ってきたか解らないほど、和葉は慌てていた。 自分の部屋に着くなり、まず和葉は東京にいる蘭に電話をかけた。 同じ幼馴染の探偵を持つ蘭に、ついさっきのことを相談するために。 和葉は蘭に一通り話した後、一人悶えていた。 「あんなん、告白同然やんか〜!!??」 『で、でも!それで、一歩踏み出せたじゃない?』 今まで口げんかばかりで、素直なことなど一言も言えたことない平次と和葉。 これで何か踏み出せれば、現状も打開出来るが…。 「で、でも…平次があたしの事なんも想ってないのは知っとるし…」 そう自分で言って、落ち込んでいく和葉。 「そうや…あたしは…平次には…」 そのとき、携帯が少しだけ震えた。 携帯の画面を見ると、『メール受信完了』の文字がある。 蘭に少しだけ待って貰い、メールを開くと平次からのメールだった。 【今から家に行く。まっとれ。】 ものすごく短いそっけない文。 その文を見て和葉は慌てた。 「ら、蘭ちゃんどないしよ!へ、平次が家に来るって…」 『頑張って!和葉ちゃん!じゃ、またね!』 そういうと蘭は、早々に電話を切っていた。 「蘭ちゃん〜!」 和葉が慌ててる間に、玄関のチャイムが鳴った。 ピンポーン〜 「ひえっ!」 和葉は飛び上がり、とりあえず玄関に向かった。 ゆっくりとドアを開けると、やはり制服のままの平次が居た。 「…勝手に逃げんなや、アホ…。」 平次の姿を見た瞬間、固まってしまった和葉。 平次は和葉のポニーテールを引っ張った。 「いたっ…」 「さっきのは…」 そこまで平次が言うと、場違いな着メロが鳴った。 和葉の携帯が鳴っていた。 和葉は携帯を開き… |
![]() |
和葉は携帯の電話を? 「とる」 それとも 「とらない」 |
「 かぼちゃのワルツ 」 |
![]() |
< TRICK OR TREAT ? > |
「かぼちゃのワルツ」top | 空の彼方 | オマケがあるよ ↓ |
■ 「平蔵」バージョン by 月姫 「……せやから、平次んトコのオッチャン」 「は?オッチャンて、オレのオヤジか?」 「それ以外に、平次んちにオッチャンがいてるん?」 「いや、おらんけど……」 「オッチャン背ぇ高うて格好いいし、剣道強いし、鬼の平蔵て言われるくらいキレモンで頭もええし、お父ちゃんと並んでアタシの理想なんよ」 うっとりと両手を組んで楽しげに話す和葉のあまりにも意外すぎる答えに、明晰をもって知られる平次の思考回路がオーバーフローを起こした。 再起動をかけようとしても、悪質なウイルスに感染でもしたかのように、頭の中で『お父ちゃんと並んでアタシの理想なんよ』という和葉のセリフがひたすらリピートされる。 「……家に帰れば、オカンの尻に敷かれとるただの中年オヤジやで?」 「オバチャンの事、大事にしとる証拠やん。羨ましいわぁ」 リセットボタンを探すように問い返す平次に、和葉はあっさりと駄目押しをした。 和葉の話す内容はもはや『健気』という部分からはズレているが、それにも気付かないくらいに平次の思考は完全にフリーズする。 最終手段の電源ボタンは、一体どこに? |
オマケだよん! |
![]() |