「 CROW - glance around- 」 2。。 |
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■ 服部邸にて ■ 「じぃ〜じ。じぃ〜じ。今度はこっち読んで!」 服部父の膝の上に、新しい絵本を持って潜り込んでいったのは葉。 「じ〜〜。うんま!うんま!」 遠山父の背中にしがみ付いているのは良平。 「うん?次はシンデレラか。」 服部のじぃ〜じは、葉をあぐらをかいた膝に乗せたまま絵本を開いて読み始めた。 大阪弁のイントネーションで、あの強面の顔と声で読み上げられる『シンデレラ』とは・・・・。 「お〜。よ〜掴まっとくんやで。」 遠山のじ〜〜は、しがみ付いている良平を落とさないよう右手で支えながら、ゆっくりと四つん這いになった。 大きな体の上に小さな体を乗せ、「ほ〜ら、お馬さんやで〜〜。」と楽しそうにパッカパッカなんて・・・・。 「・・・・・・・・。」 ・・・・・・・・・・・見たらあかんモンを見てもうた気ぃするんやけど・・・・・・・・・・・。 帰宅早々、居間から聞こえて来る声に襖を開けた状態で、平次はその場にしゃがみ込んでしまった。 警察のトップである警視総監に、朗々と大阪弁で読み上げられるシンデレラ。 鬼の大阪府警本部長が、パッカパッカと四つん這いで歩くお馬さん。 平次の中で2つの父親像が、音を立てて崩れていったのは言うまでもない。 ついでに、警察の未来までもが心配になったようだ。 「お帰り平次。そんなとこで何してるん?」 後ろからみんなの飲み物を載せたお盆を持った和葉が声をかけた。 「おお。・・・・・・いや・・・・・何かなぁ・・・・・・。」 ? 「平次も絵本とか読んで欲しいん?」 和葉はからかう様な笑みを声にも乗せた。 すると平次はちょこっと睨んでから和葉に、 「大人の絵本。」 と拗ねた様な顔と声で宣うた。 ドカッ!! 和葉は膝で思いっきり平次をドツキ倒し、何事も無かったかの様に部屋に入っていってしまった。 しかも続いてやって来た母親に、 「ちょっと平次。そんなとこで寝た邪魔やで。寝るんやったら部屋行きや。」 とトドメまで刺されてしまうのだ。 平次はまだ、夕飯すら食べていないというのに。 しかも最愛の子供たちも、じぃ〜じたちと遊ぶことに一生懸命で父のご帰還にはまったく気付いていない様子。 もちろん、そのじ〜〜たちは平次など最初から視界に入っていない。 ・・・・・・・・・・・俺の扱い・・・・・・・・・こんなんでええんか・・・・・・・・・・・。 只今の服部家での位置づけ。 服部母 → 和葉 → 葉 → 良平 → 服部父&遠山父 → → ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ → → 平次 ・・・・・・・・・・・ほんまにええんか・・・・・・・・・・・・そうなんか・・・・・・・・・・・。 大阪弁のシンデレラは、まだまだ序盤。 強面のお馬さんも、パッカパッカと行進中。 それを見ながらの嫁と姑の楽し気な雑談は、始まったばかり。 一般的に平次に憧れる者は、男も女も老いも若きも含めて結構多いはず。 しかし、実際、平次が家に帰るとこんなモノ。 ・・・・・・・・・・・あかんやろ・・・・・・・・・・・・誰か違うて言うてくれ・・・・・・・・・・・・・。 服部平次に幸多からんことを・・・・・・・・願う? ちゃんちゃん。 |
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