「 CROW - glance around- 」 5。。 |
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■ 良平(+華月) VS 平次 ■ 服部良平くんは、今、悩んでいます。 春から幼稚園に入って、ずっと不思議に思っていることがあるのです。 ・・・・・・・・・・・・かわえ〜〜こおらん・・・・・。 そうなんです。 同じクラスにはもちろん、上のクラスにも、さらに先生たちまでもその中に入っているんです。 そこで良平くん、自分の周りにいる女の子をおさらいすることにしました。 まずは、ママや。 せかい1かわええ〜〜〜! ほんで、おね〜ちゃん。 ママとおかおおんなじやし・・・・やっぱかわええ〜〜〜! つぎに、ばぁ〜ば。 じぶんでべっぴんいうとった。 う〜〜〜ん? あっ。 アンちゃんも、ごっつかわええ〜〜! それに、アンちゃんのママ。 アンちゃんのパパがキレイいうとったんや! うん!うん! 「こらっ!ちびっこ服部くん!な〜〜に一人で頷いてんの?」 一人腕組みしてコクコクと頷いている良平に声をかけたのは、 「かづきちゃん!」 そう、華月だったのです。 「今日はうちがお迎えや!さっ、帰えろう良ちゃん!」 「うんっ!」 そうや。 かづきちゃんもかわええ〜〜! 良平くんは華月と手を繋いで帰ることになりました。 「良ちゃん、さっきは何してたん?悩みがあるんやったら、ど〜〜んと華月ちゃんが相談にのったるよ。」 「あんなぁ・・・かづきちゃん。」 華月は笑顔を良平くんに向けます。 「ヨウチエンにかわええ〜〜こおらんねん。」 「そうなん?」 コクコクとさっきより力強く頷きます。 「ママやおね〜ちゃんやアンちゃんやアンちゃんママやかづきちゃんとみんなちゃうねん!」 ここで頭の回転が速い華月は気が付きました。 ・・・・・・・・・・・はは〜〜〜〜ん!良ちゃんはすでに面食いなんやなぁ〜〜。 それも仕方が無いと思われます。 あれだけのメンツに囲まれていれば、そうなって当然。 「やったら、良ちゃんが一番可愛いと思うてるんは誰なん?」 「ママ!!そんで〜つぎがおね〜ちゃん!!」 ・・・・・・・・・・・流石は服部くんの息子やなぁ〜、あの顔が好きとはバリバリ遺伝子継いでるやん。 「ええやん。ええやん。ママも葉ちゃんも今は良ちゃんが独り占めしてるんやね。」 「・・・・・・。」 するとなぜか良平くん、いきなり小さな眉間にちっこい皺寄せて黙り込んでしまいました。 「どしたん?」 「・・・・・・・ひとりじめちゃう・・・・・・。」 「何でなん?」 「・・・・・・パパがじゃまする・・・・・・。」 「・・・・・・。」 ・・・・・・・・・・・あのアホ・・・・・・自分の息子相手にヤキモチ焼いてんとちゃうやろなぁ。 「よしっ!華月ちゃんが良ちゃん応援したるわ!!」 「ほんま!!」 良平くんはパ〜〜っと笑顔になって華月を見上げます。 華月はといえば・・・・・・・・・その楽しそうな笑顔はちょっと問題なのでは・・・。 その夜、平次は帰宅が遅くなってしまいした。 ヘトヘトになってやっと我が家に辿り着いたのに、玄関が開きません。 仕方が無いので、勝手口から入ることに。 鍵を開けてドアを開くと・・・。 「うわっ!」 上から白い粉が大量に落ちてきました。 全身粉まみれ。 「・・・・・・・。」 それでも、なんとか粉を払って中に入ると・・・。 「どわっ!」 廊下が滑ってコケタ先にあったバケツの水をかぶってしまいました。 全身グチャグチャ。 「・・・・・・・。・・・・・・・。」 とにかく、汚れた服や体を何とかしようとお風呂に行くと・・・。 葉の制服が落ちていたので拾って洗濯機へ。 その上に自分の服も脱いで放り込みました。 お湯はすっかり抜かれていたので、シャワーですませます。 「ふ〜〜〜〜。」 いつも脱衣所に置いてあるパジャマを着ると台所へ・・・。 まずは冷たいビールを飲んで、 「ぷはぁ〜〜〜。」 テーブルに『レンジで温めて食べること』とあったので、お皿ごとレンジで・・・。 ボンっ!!! 「へっ!!?」 慌てて開けてみると、どうやら卵が爆発したようです。 「・・・・・・・。・・・・・・・。・・・・・・・。」 もう今日はこまま寝ようと寝室へ行くと・・・。 和葉が良平くんを抱っこしたまま寝ていました。 それなら自分は葉を抱っこして寝ようと子供部屋へ行くと・・・。 眠っている葉ちゃんを守るように・・・。 「・・・・・・・・・・・・・・・どっから沸いて出たんやこれ・・・・・。」 なんと数え切れない位たくさんのぬいぐるみが葉ちゃんを取り囲んでいるではありませんか。 「・・・・・・・。・・・・・・・。・・・・・・・。・・・・・・・。」 平次はもうそこでギブアップ。 そのまま、畳の上で大の字なって眠ってしまいした。 「へ〜〜い〜〜じ〜〜〜!!!!」 次の朝、その惨状を見た和葉がまだ寝ている平次の胸倉掴んで、 「あんた何やってんの〜〜〜〜! 何で勝手口から入ったん!壁直すから開けたらあかん言うたやろ!! それに、南側の廊下はワックス塗る言うてあったやんかっ!!! さらに、洗うて乾かしてあった葉の制服また洗濯機に入れたやろ!しかも、その上から自分のドッロドロのスーツ入れてどうすんのや!!!! はぁはぁ・・・・まだあんで〜〜。 ゆで卵をレンジで爆発させんな〜〜〜〜〜!! こ〜〜〜の〜〜〜ドアホ!!!!!」 とガシガシガクガクと平次の首を絞めんばかりの勢いで捲くし立てます。 余りの剣幕に、さすがの平次も何も言い返せません。 ここで何か言えば、さらに火に油を注ぐだけだからです。 「それに〜〜〜〜!! このぬいぐるは何やの〜〜〜〜〜〜!!! 昨日、華月が持って来てくれたんや! 何でもあんたが欲しい言うてたそうやない!!!! それを知った女の子たちからのプレゼントやて!!!!!!」 ああ〜〜そういえば。 と平次は思い出しました。 前に葉が白雪姫の7人の小人のぬいぐるみが欲しいと言っていたのです。 確か、そのことを府警で話したことがあったのです。 しかし・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・いったい何十人の小人やねん・・・・・・。 「聞いてんの平次!!!!」 「きっ・・・・・聞かせてもろてます・・・・・・・。」 「あんたは今日から当分おこづかい無しやで!!」 「そっそれやと・・・・・・・お昼がたべ・・・」 「食べんでええ!!!!」 「それやと・・・・・・夜までもたんし・・・・・・・・。」 「ふ〜〜ん。やったら、可愛ええ女の子にでも言うてみたらええやん。 何でも食べさせてくれるんちゃうの?」 和葉の声の音量は普通に戻ったのですが、温度は数段下がってます。 「かっ・・・・・和葉ちゃん?」 「こづかい無しでええな。」 絶対零度のブリザード付き。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい・・・。」 2階での両親のやり取りなど知る由も無い子供たちは、ばぁ〜ばと仲良く朝食中。 それから当分、平次はおこづかいも無ければ、和葉にも構ってもらえなかったのでした。 葉ちゃんはというと、数十人の小人の世話が忙しく、パパの相手をしてる暇など無いみたいです。 そこで良平くん。 ママを存分に独り占め出来るし、おね〜ちゃんも小人の世話をすればいっぱい遊んでくれます。 やっぱり、ママとおね〜ちゃんがいっちゃんかわええ〜〜〜!! と大満足です。 ちなみに、和葉からそのことを聞いた華月も満足気なご様子です。 この期間、1番苦労したのは・・・・・・・・・・・なぜか冬樹。 不機嫌な平次には手を焼くは、昼飯はたかられるは・・・・・サンザンだったようです。 ただ救いだったのは、上機嫌な華月が可愛かったことだそうです。 ちゃんちゃん。 華月と良平くんがタッグを組んでやったイタズラは上記の中でいくつあったか分かります? |
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