「 CROW - glance around- 」 7。。 |
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■ 結婚式にて ■ 「キレ〜〜〜〜。」 杏樹は花嫁さんにうっとりみたいです。 「アンジュもオヨメちゃんになりた〜〜い!」 「やったら、ボクのオヨメちゃんにしたげる!」 「ほんと〜リョウちゃん?」 「うん!」 「わ〜〜い!アンジュ、リョウちゃんのオヨメちゃんになる〜!」 ガチャ・・・・。 左手のフォークが落ちました。 同じテーブルに座っている服部家と工藤家。 和葉と蘭は優しく微笑みながらそんな2人を見ています。 「でかした良平!将来、杏ちゃんも俺の娘になるんやなぁ。よかったな葉、妹が出来るで。」 と平次は楽しいそう。 葉も分かっているのかは疑問ですが、とても嬉しそうです。 ガチャン・・・・。 右手のナイフが落ちました。 2人はさっき見たばかりの花嫁さん花婿さんのマネでチュッってしました。 ガタンッ! 限界みたいです。 「ぜってぇ〜〜〜〜ダメだ!!杏樹はどこにも嫁にやらねぇ!」 新一はマジみたいです。 「ちょっと新一!」 会場中の視線を集めてしまった新一に、蘭は慌てて座らせます。 が止まらないみたいです。 「杏樹、よく考えろよ!良ちゃんが大きくなったら、こんなヤツになるんだぜ!!」 その指の先にいるのは、もちろんニヤニヤ顔の平次。 「リョウちゃんのパパ?カッコイ〜〜!リョウちゃん!はやくリョウちゃんパパみたいになってね!」 と杏樹は大満足なトドメの一言を。 「さすが杏ちゃんやなぁ〜。そん歳で男を見る目があるとはなぁ〜。」 「オメェが言うんじゃねぇ〜〜〜〜〜〜!!!」 新一の矛先はどうも平次に向ったようです。 はっきり言ってかなり煩いです。 「 新一。ちょっと。 」 とうとう蘭は新一の耳を引っ張って会場を出て行ってしまいました。 新一退場。 キャンドルサービスで新郎新婦が葉たちのテーブルにやって来ました。 「かづきちゃんめっちゃキレ〜や〜〜〜〜!!ふゆきおに〜ちゃんもステキ〜〜!」 葉は後ろに立つ華月と冬樹にうっとりです。 「「ありがとう葉ちゃん。」」 言い忘れましたが、今日は華月と冬樹の結婚式です。 転勤になる冬樹がどうしても華月を連れて行きたくて、でも今の職場を気に入っている華月に『うん』と言って貰えなくて、 すったもんだした末に『取り合えず結婚でもせな連れて行けへんで』という平次の言葉に冬樹ががんばって今に至っているのです。 「あたしも早く、ふゆきおに〜ちゃんみたいな人とケッコンしたいな〜〜。」 ムッ・・・・。 どこからか、この場にそぐわない気配が・・・・。 「葉ちゃんやったら、いくらでもおるんちゃう?学校に格好ええ男の子いてるんちゃうの?」 花嫁さんはキャンドルのことなど忘れているみたいです。 葉は華月の耳元で何かを言ってます。 「そうなんや〜〜!さすがうちの葉ちゃんや!」 ギュ〜〜。 「華月ちゃん・・・。」 新郎ほっぽって新婦は葉を抱きしめているんです。 「華月。か〜づ〜き〜!」 和葉が見かねて声を掛けますが、 「やっぱ和葉の娘やね!今からラブレターいっぱいもらうやなんて!」 と禁句をずばり。 ムムッ・・・・。 「そんな話し聞いてへんで。」 どこから出てるんでしょうかこの声は。 そんなコトにはお構いなしの華月はさらに続けます。 「葉ちゃんのママもな。ぎょうさん貰うてたんやでラブレター。」 「そうなんママ?」 「ちょっとだけやて・・・・。」 「またまた〜。そうや!後でブーケ葉ちゃんに投げたるわ!」 「ほんと!かづきちゃん!」 「花嫁が投げるブーケを受け取った人が次の花嫁になれるんよ。」 「あたしぜ〜たい取る〜〜!」 「アンジュも〜〜〜!」 「やったら、二人で取りや。」 「「うん!」」 葉と杏樹の目はキラキラと輝きました。 やっと新郎新婦が隣のテーブルに移ったとき、 「和葉、ちょう来いや。」 平次は和葉を連れて会場を出て行ってしまいました。 和葉退場。 あっ。あれ?和葉退場? 何か違いますよね。 ちょっと覗いてみましょうか。 「どういうコトやねん。」 「もう、何がやの?」 「ラブレターやラブレター!そんな話し聞いてへんで俺は!」 「ええやんそれくらい。葉かて恥ずかしかったんやろうし。」 和葉はどうも葉のコトだと思ったみたいです。 「かわええモンやで、子供のラブレターなんやから。平次かて娘がモテルんは嬉しいやろ。」 「葉は誰にもやらん!」 さっき新一のコトを笑ってたのは誰でしたっけ。 「やから、葉のコトはええんや。問題はお前やお前!!」 「和葉やったら、今だに貰うてるよ。」 会場からお色直しの為に出て来た華月です。 「なっ・・・・何やと〜〜〜!!」 「うち時々預かるし。それに、この前ロスの彼からもエアメール来たやんな。」 華月はしばらく平次がからかえなくなるので、今の内に存分にイジメたいそうです。 「ろ・・・ロスのかれ〜〜〜?・・・・・おっおっ・・・おま・・・・お前・・・・・あっちに男おったんか〜〜〜?」 「そらいてるやろ。当然やん。和葉やで〜〜、外人の男が放っておくわけないやん。」 華月は和葉の静止も聞かずに続けてしまいました。 平次はこの前のコトもあってか、呆然と突っ立ってます。 和葉は華月を睨みますが、 「ええやん。ほんまのコトやし。」 シラっと言い切られてしまいました。 しかも、さっさとお色直しに行ってしまうし。 残された和葉は、はてさてこの平次をどうしようかと思案中です。 何を言ってもどうも聞いていない様子だし。 すると視界の隅に、ソファーでぶ〜たれている新一を発見。 「工藤くん、平次んコト頼むな。」 そう言って、和葉は会場に戻ることにしました。 やっぱり、こうです。 平次退場。 「パパはぁ?」 「お外でちょっと空気吸ってくるって。」 大嘘です。 鬱陶しいから置いて来た、が正しいんですけどね。 杏樹と良平はすっかりカップル気分で、お互いに食べさせあっこしてます。 「服部くんて相変わらずだね。」 「それ言うんやったら、工藤くんもやん。」 和葉と蘭はお互いに噴出してしまいました。 「でもほんま、杏ちゃんが良平のお嫁さんになってくれたらええなぁ。」 「そうだよね。それだったら私も安心出来るんだけどな。だって嫁姑って大変でしょ。」 「あたしはソレあんまし実感ないんよ〜。」 「実はわたしもなのよね。お義父さんもお義母さんも、海外なんだもの。」 「やったら、今からあたしらもがんばってこの2人応援しよ〜や蘭ちゃん!」 「うふふ。そうしよう和葉ちゃん!」 「工藤くんが何や妨害しそうやけどね。」 「新一は言ってるだけだよ。杏樹が泣きそうになると、いつもすぐにお手上げだもの。服部くんだって葉ちゃんに彼氏出来たら暴れるんじゃない?」 「それは言えてるわ。ほんま、葉のコトとなると平次は何仕出かすか分からへんねんもん。」 「葉ちゃんもパパのこと大好きなんだよね。」 蘭は優しく葉に笑いかけます。 「うん!大好きやねん!それに、ママも杏ちゃんのママもパパもだ〜〜い好き!」 葉は食べていた手を止めて、蘭に零れんばかりの笑顔で答えました。 すると蘭はちょっと、本当にちょっと驚いて、それはそれは嬉しそうに、 「嬉しい!わたしも葉ちゃん大好きだよ。」 と返したのです。 「リョウも〜。アンちゃんパパもママもすき〜〜〜!」 「アンジュもリョウちゃんパパとママだいすき!」 子供たちは誰が好きかいっぱいいっぱい言っています。 和葉と蘭は幸せそうにお互いを見て微笑みました。 ところで、問題のパパたちと言えば。 方や愛娘の遠い将来のコトで頭を悩ましている人と、方や愛妻の遠い過去のコトで唸っている人。 「杏樹はぜって〜にオメェんとこにはやらねぇ。」 「ふんっ。そんなん言うたかて杏ちゃんが来る言うたらどうすんねん。」 「ぜって〜言わさねぇ!」 「さっき言うてたやんか。リョウちゃんのオヨメちゃんになる〜〜。言うて。」 「キモイものまねすんじゃねぇ〜!」 「それより工藤。お前ねぇ〜ちゃんから和葉に昔男がおったかどうか聞いてへんか?」 「はぁ〜?今頃何言ってんだぁ?知らねぇよそんなこと。」 「あいつどう〜〜〜〜しても言わへんのや昔の男んこと。工藤は気にならへんのかねぇ〜ちゃんの昔の男。」 「蘭にはいねぇよ。」 「どうして言い切れんねん。」 「オレがいるからに決まってるだろうがっ!しかし和葉ちゃんはあっちにいたころ結構モテテたっていうのは、蘭が華月ちゃんから聞いたって言ってたかなぁ。和葉ちゃんあんだけ可愛いんだしさぁ、それがフリーだって知ればあっちの野郎は手ぇ出すよなぁ。ぜって〜男の1人や2人や5人や10人いたっておかしくないよなぁ〜。」 「お前・・・・俺に喧嘩売ってへんか?」 「オレにからむなっ!!そんなに気になるんだったら、本人に聞けよっ!!」 「言わへんからこうして聞いてんのや!!ええで〜工藤がその気やったら、杏ちゃんは必ず良平の嫁さんに貰うたる!」 「テメェ・・・・・言ってるコトがむちゃくちゃだぜ。それとも何か〜、オメェこそオレに喧嘩売ってんのかぁ?」 「おお〜喧嘩でも何でも売ったるで〜!!」 ・・・・・・・・・・・・・・。 あまりに不毛な言い合いなので、放っておきましょう。 華月と冬樹の結婚式は無事に終わり、ブーケは葉と杏樹が一緒にキャッチしました。 ブーケ本体は葉が貰うことになったみたいです。 良平と杏樹はず〜と仲良く手を繋いで、しかも何度もチュッてやってました。 ちなみに帰るころになっても平次と新一は、アホな言い合いを延々やっていたので和葉と蘭は他人のフリをして置いて帰ったそうです。 華月は放っておかれた男2人を見て笑っていましたが、冬樹は何とも言えない表情をしていたそうです。 近い将来の自分を見たような気がしたんだと思われます。 ちゃんちゃん。 |
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