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平 heiwa 和 22
■ 平次の気持ち 10 ■

KIDが縄を解くと、指にその零れた液体を付け舐めてみる。
「『Liquid Fuel』やな。『液体燃料』ちゅうふざけた名前のドラッグや。」
「ご名答。冴子はこれの売人なんですよ。」
俺は驚かへん、アイツならやりそうなことや。
KIDもそのまま平然と話しよる。
「今日も上でパーティーをしていますよ。あの写真の連中も一緒にね。」
何やと。
「ぶっ殺したる!」
低く落ち着いた声やったけど、十二分に殺気が混ざる。
「探偵の言葉とも思えませんね。まぁいいでしょう。」
そう言うとKIDは、俺の背中にいきなり手を回した。
「なっなんや?」
その手には、昔工藤が使うとった探偵バッチと青いお守りが握られとった。
「知っとったんかい。」
「これでお相こですね。」
「聞いていましたか、東の名探偵くん。」
バッチの中から苦々しい工藤の声が返ってきた。
『聞こえてるぜ!』
「私は篠山の声で、先程マスコミに電話をしておきました。そろそろ、現れるころでしょう。警察の方は君にお任せします。」
『わ~ってるよ!』
工藤の返答を聞くと満足したように、俺にバッチとお守りを返してきた。
「さっきは思い切り殴りました。是非、一度あなたをぶんなぐっておきたかったもので。」
「はぁ?」
そして、
「姫は穢れてなどいません。」
と言ったんや。
「あの写真・・・・・未遂だったんですよ。姫は必死に自分を守ろうとし、一人の男を殺してしまったと思わされたんです。そして冴子達に、あなたや父親に迷惑がかかると脅されて、あなたの前から姿を消すように言われたんです。もちろん、男は生きています。多少の怪我は負ったでしょうが、当然の報いです。」
KIDはどこか辛そうやった。
「それ・・・ほんまか?」
「姫から直接、聞きましたからね。」
今度は悠然と言いよった。
「和葉返せや。」
殺気が全面に出る。
「お断りします。姫は私の花嫁ですから。すでに招待状を、差し上げたはずです。」
KIDはひらりと篠山の姿で階段の上まで、飛び上がった。
「絶対に奪い返したる!」
「楽しみにしていますよ。では、後はよろしく!」
そう言い残し姿を消した。
「おう。存分に狂い咲いたるわ!」


マスコミや工藤たち警察が来る前には、すべてが終わっとった。
切れまくっとる俺に敵うヤツなんか、ここにはおらへんかったんや。
20人近いアホンダラや冴子の数人のSPなんか、俺の敵やない。
女に手ぇあげるんは信条に外れたんやけど、冴子は別や。
思いっ切り頬を張り倒してやった。
和葉の痛みは、こんなもんやない!
そして、特に写真んに写っとたヤツラは半年は入院やな。
当然や。
「しっかし、おめぇ派手にやったなぁ。」
工藤の第一声や。
「ええやんけ。俺、被害者なんやし。一応、計画通りやないか、ぎょうさんオマケもついたことやし。終わり良ければすべて良しってな。」
「そういう問題か~?原型留めてないヤツも大勢いるしよぉ、何より・・・。」
溜息混じりに別荘の現状を見回す。
「どうすんだよ、これ。かりにも、現職大臣の別荘なんだぜ。はぁ・・・。」
大げさなヤツやな。
「かまへん。かまへん。」
「当分、人住めねぇぜここ。」


屋敷の使用人以外、冴子も含めて全員が逮捕されたんや。
KIDが変装しとった、篠山は別荘の物置で発見され逮捕や。
容疑は、薬物不法所持および拉致監禁。
冴子は2年以上前からの常習犯やったらしい。
現職大臣の娘いうことで、テレビや新聞・雑誌で大騒ぎやで。
大原大臣は大臣を辞任しよるし、奥方は雲隠れやしな。
俺や工藤がこん事件解決したようになっとって、お陰で連日マスコミ関係に追いかけ回されてさんざんや。
KIDのことと和葉のことは口外無用になっとった。
これは、工藤が警察と待機させてもろうとった別荘の持ち主、白鳥警部の配慮や。
KIDについてはこれ以上騒ぎを拡大させたない、いうんもあるんやろ。
俺の写真や映像も、和葉の写真も一切見つからなんだ。
だぶん、あの野郎が持ってったんや。
ちなみに俺のバイクは、大阪の自宅まで戻っとった。



オトシマエはきっちりつけたで!




後は、和葉、奪い返しに行くだけや!






平次の気持ち 9 新一の気持ち 2
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