平 heiwa 和 23 | ||
■ 新一の気持ち 2 ■ | ||
まったくよう、服部のヤツ無茶苦茶やりやがって。 アイツには加減とか程度とか限度とか程々とかこの位とかここまでとか度合いとか程合いとか頃合いとか、う〜〜〜そういうモンはねぇ〜のか! 全身複雑骨折にて全治7ヶ月4名、助骨骨折及び全身打撲にて全治4ヶ月3名、腕骨折及び全身打撲にて全治3ヶ月5名、足骨折及び全身打撲にて全治2ヶ月3名、その他打撲・捻挫・擦り傷・切り傷等々の軽傷7名。 建物・・・・・半壊・・・・・。 どうすりゃ〜たった20分やそこらで、ここまで出来るんだ。 台風が来たのか? 地震が起こったのか? 隕石が落ちたのか? ゴジラの来襲か? 「だ〜〜〜〜現場検証ほっぽって、何所行きやがった〜〜〜〜!!!」 再び訪れた軽井沢でオレが叫んだのは一昨日だ。 自分自身を落ち着かせるのに、1日以上掛かっちまったぜ。 服部の気持ちも分からなくもないけどよぁ、あれはねぇだろ。 何でオレが警察や関係者に謝って、言い訳しなきゃぁなんねぇんだ。 オレだって暇じゃねぇんだよ、他にも色々事件抱えてっし。 冗談じゃねぇぜ、ったくよぉ。 あれから、アイツの姿は見てねぇ。 一応、KIDとの話は聞いといた。 KIDのヤツがオレとの通話の後、通信切りやがったからよ。 和葉ちゃんのことはオレの杞憂でよかった。 本当によかったと思ったんだ。 彼女が生涯消えない傷を負うなんて、辛すぎるぜ。 しかし、人を殺したなんてさ、故意でないにしてもどんなに苦しんだんだろうか。 和葉ちゃんの立場なら尚更だぜ、父親や服部、ほとんどの知り合いがオレも含めてだが、人並み以上に殺人を憎んでるヤツラばかりだ。 多分、彼女自身も。 きっと、すぐにでも警察に行こうとしたばすだ。 それを、あの冴子ってヤツラに無理矢理止められて、周りの人間の立場を考えろって責め立てられたんだろうな。 特に服部に迷惑を掛けるのかと、詰るように。 すでに心のバランスを崩していた彼女には、考える余地なんかなかったんだ。 ・・・服部のヤツ、アイツ本当に探偵か?人を見る目が、女を見る目がなさ過ぎるぜ。 アンナ女に引っ掛かるなんてよ。 さっさと和葉ちゃんに告っときゃ、こんなことにはなんなっかたんだ。 そうだ!やっぱりアイツが悪い、ぜ・ん・ぶ・アイツのせいだ! KIDに殴られたって言ってたが、次はもう一度オレだ! しかも、一発なんてケチなことは言わねぇ! ボールの代わりにサッカー一試合分くらい蹴り回してやるぜ! 和葉ちゃんも服部なんかより、KIDの花嫁になった方が絶対幸せだ! そうだそうだ、そうに決まってる! 「新一?新一〜〜、新一ってば。」 「へぇ?」 「ちょっと、もう何、新聞握りしめて頷いてるのよ。」 「あっ、え〜と何だ?」 「まったくもう、全然聞いて無かったの?旅行会社の人から電話で、オーストラリアの日程は9月16日出発で23日帰国でいいですかって?」 「ああ。かまわねぇ。・・・・・いやっ、やっぱオレが直接話すよ。」 蘭から子機を受け取り、さり気なさを装って庭に出た。 そこで、旅行会社の人にある変更をお願いしたんだ。 これくらいしても許されるってもんだぜ。 それからも大学が始まるまで、服部に会うことはなかった。 オレも抱えている事件に追われてたし、アイツも同じだろうと思っていた。 大学が始まってもアイツの態度は、別段変わった様子はない。 何をしていたんだ、と聞いても「別にいつも通りや」と飄々と答えやがる。 この天の邪鬼が。 誰も気付いて無いみてぇだが、全身から出る気配もそして目つきも前より悪く・・・いや、鋭くなってるだろうが。 オレが気付かねぇとでも、思ってんのか? どうせ、道場にでも籠もって荒修行でもして来たんだろうよ。 それが、コイツなりの儀式みたなもんなんだろう。 何せ花嫁強奪に行くんだからな。 しかも、相手は世界中の女性憧れの的、怪盗キッド。 相手にとって不足無しってか。 招待状の日まで、後1週間だ。 最後までキッチリ付き合ってやっから、感謝しろよな。 |
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