平 heiwa 和 24 | ||
■ 蘭の気持ち 2 ■ | ||
もう、新一ったら何でこんなことするのかしら。 「工藤〜〜、何で俺だけこっちやねん?」 「うっせぇ。飛行機ん中に変わりねぇだろう。」 服部くんの疑問も当然よね。 3人で行くのに、新一と私はファーストクラスで服部くんだけエコノミーなんて。 どう考えても、不自然よ。 「どうして、3人一緒にしなかったの?」 「いいだろ別に。こんなズー体のでかいヤツが側にいっと、暑苦しいんだよ。ほらっ、行くぜ。」 まったく。 確かに服部くんの方が新一より背は高いけど、・・・もしかして、そのこと気にしてるのかしら。 仕方なく私達は、飛行機に乗り込んだの。 服部くんは別れるまでブツブツ言ってたけど、新一はまったく無視。 こういう時の新一って、とっても意地悪に見える。 席に着くといつもの優しい新一に戻ってたけど。 服部くんと再会したのは11時間の飛行機の旅を終えた、メルボルン国際空港のロビーだったの。 「どうだ、よく眠れただろ?」 「横のオバハン連中がうるそうって全然や。」 服部くん本当に眠そう。 口ではあんなこと言ってるけど、きっと和葉ちゃんのことが気になって一睡も出来なかったに決まってるじゃない。 まったく、服部くんも素直じゃないんだから。 取り敢えず私達は荷物を置こうと、ホテルに向かったの。 タクシーに乗るのもホテルのチェックインも、当然の様にあっさり済ませてくれちゃって。 二人とも英語ベラベラだから当然っていえば当然なんだけど。 なんだかちょっと・・・私だけバカみたいじゃない。 でも、ここでも新一の嫌がらせ?があったの。 「またかいな。」 私達がスイートルームで、服部くんはレギュラールーム。 「どうせ、じっと部屋にいねぇんだから問題ねぇだろ。それによぉ、オレたち未成年だしな。」 「ほんま、ええ性格してんでオマエ。」 何のこと言ってるのか分からないんですけど。 その後すぐにロビーで待ち合わせして、ヴィクトリア国立美術館に向かったの。 KIDの招待状は見せてもらったし、新一からカードの説明も聞いていた。 和葉ちゃんがオーストラリアにいること、KIDと結婚式を挙げるかもしれないこと。 でも、私には全然信じられない。 和葉ちゃんが服部くん以外の人と、例えそれがKIDであってもそんなことするはすが無いって思えるから。 私が最後に会った和葉ちゃんは痛々しかったけど、私は何もしてあげられなかったけど、和葉ちゃんの中の服部くんへの気持ちはきっとちっとも変わってないはず。 今でもきっと服部くんのことを誰よりも想っているはず。 そうじゃなかったら、あんな女の言い成りになるはずがないじゃない。 和葉ちゃんは服部くんに迷惑を掛けたくなかったから、負担になりたくなかったから、自分の罪も償えずにる苦しみを抱えたままいなくなったのよ。 あんなデタラメな人達の言うとを信じて、有りもしない罪を抱えて・・・。 う〜〜服部くんのバカ、バカバカバカバカ! どうして、和葉ちゃんをしっかり守ってあげないのよ。 自分だって和葉ちゃんのことが好きなくせに。 「らっ・・・・蘭?」 「えっ?」 新一が心配そうな顔してる。 「手・・・。」 今度は服部くんが困った顔してる。 「手、放してんか。」 「えっ、あっごっごめんなさい。」 私は無意識のうちに服部くんの腕を掴んでいたらしい。 慌てて放したんだけど、服部くんの右腕にはくっきりと跡が残ってる。 あたしとても強く掴んでたみたい。 「どっどうしよう。大丈夫?」 「気にせんでええ。」 服部くんは笑ってそまま車を降りていちゃった。 私も続いて降りようとした時、新一がポンッてあたしの頭に手を置いて優しく言ってくれたの。 「気にすんなって。アイツにも蘭の気持ちは伝わってるよ。」 「・・・・・早く和葉ちゃんに会えるといいね。」 「そうだな。」 そうよね、私達その為に来たんだものね。 車を降りた二人は探偵の顔になっていた。 美術館の人達に事件当日のことを聞き、担当した警察署にも話を聞きに行ったの。 でも、KIDの足取りはまったく掴めなかったみたい。 宝石はいつもの様にすぐに戻って来ていたので、ここの警察の人達はそれ以上追求しなかったんですって。 次に私達は、二手に別れてKIDのことと和葉ちゃんのことを聞いて回ることにしたの。 午前中はまったく何の手がかりも掴めなくて、一度一緒にお昼を食べてから再び服部くんとは別行動。 夕方になって新一と私は美術館から少し離れた場所で、やっとKIDを見たという人に出会うことが出来た。 私には何を言っているのか分からないけど、新一の様子から彼がどうもはっきりその時のことを言わないのだということだけは理解出来た。 新一達は携帯を借りていたから連絡すると、服部くんもすぐに来たの。 しばらくは3人で普通に話してたみたいなのに、突然、服部くんがその人に掴みかっかた。 新一は「まて服部、まだ和葉ちゃんと決まったわけじゃない。」って、必死で止めてる。 どうしたの?和葉ちゃんに何かあったの? 私はオロオロとその様子を見守ることしか出来ない。 服部くんの表情が、見たことも無いくらい辛そうに見える。 何だか、今にも泣き出しそうな感じ。 見てる私が辛くなるくらい。 その後は、新一に説得されてなんとか落ち着いた服部くんを連れ、取り敢えずホテルに帰ったの。 夕食の時に声をかけたんだけど、結局、服部くんは姿を現さなかった。 新一から話を聞いて、私はまた泣いちゃった。 だって、和葉ちゃんが自殺しようとしたなんて・・・。 KIDに助けられなっかたら・・・。 新一のライバルでもあるKIDに、この時だけは心から感謝していた。 KIDと和葉ちゃんの結婚式まで、後2日。 でも、私は信じてるの。 和葉ちゃんは、服部くんを待ってるって。 今でも、心のどこかで彼が迎えに来てくれるのをずっとずっと待ってるって。 |
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