平 heiwa 和 28 | ||
■ 新一の気持ち 3 ■ | ||
何遍電話しても話中になってる服部の携帯に不振を抱き、急いで帰ってみると、携帯を手にしたままベットに項垂れているコイツを見付けた。 「おいっ、服部!」 反応しねぇ。 持ってる携帯を覗くと、非通知の表示。 取り敢えず携帯を取り上げ、通話状態を解除する。 「服部!誰からだったんだ!KIDっか?」 とにかく他に、この時は浮かばなかった。 「服部!返事しろ!」 「・・・・・・・・・和葉からや。」 「えっ、和葉ちゃん?」 蘭が反応した。 「・・・アイツ誰かと間違えて、俺に掛けてきたんや。」 「それで?それで、和葉ちゃんと話ししたの?服部くん!」 「・・・俺に会いとうない。言われた・・・。」 蘭は信じられないって顔だ。 「来い!服部!」 オレは無理矢理、服部を引っ張ってテラスの階段を下り、そのままプールに放り込んだ。 すぐに水中から出てきたコイツは、 「なにさらすんじゃ、工藤!!!」 って大声出しやがった。 「目覚めたか?昼間っから、目ぇ開けたまんまで寝てんじゃねぇ!」 プールにいたほぼ全員の視線を集めたが、構ってらんねぇ。 「和葉ちゃんに会いたくないって言われたくらいでイジケてんじゃねぇよ!おめぇの決心なんて、そんなことで鈍るもんだったのか?だったら、さっさと帰えっちまえ!和葉ちゃんだってそんなおめぇより、あいつの方がいいに決まってるぜ。」 「何やと!!」 服部の顔付きが変わってきた。 「そんなおめぇに用はねぇって、言ってんだよ!」 「もういっぺん、言うってみぃ工藤!!」 「ああ、何度だって言ってやるさ。怖じ気づいたんなら、尻尾巻いてさっさと日本に帰りやがれ!」 「じゃか〜し〜!!誰が和葉置いて帰るか〜!!!」 まったく。 「迎えにきたんだろ!和葉ちゃん連れて、日本に帰んだろうが!」 「おお!絶対に連れて帰ったるわ!」 っんとに、世話のかかるヤツだぜ。 落ち着いて周りを見、外人客からの冷たい視線、日本人客からの好奇の視線に慌てて服部を引っ張り上げ、部屋に戻った。 途中、近くにいた日本人女達がオレたちの方を向いて、好奇心満面で何か話してやがった。 例の事件で、日本中のTVや新聞を賑わしたばかりだ。 こりゃ〜、日本に帰ってもひと騒動ありそうだな。 服部の着替えが済むのを待って、オレ達は遅い昼食をすませた。 今度はオレと蘭の部屋に戻り、今夜のことを話し会うことにしたんだ。 本当はレストランでもよかったんだが、さっきのことでちょっと居心地が悪く、蘭が嫌がったからだ。オレと服部は別によかったのによ。 「今夜の『月への階段』が現れる時間は、8:26からだ。月が現れて、階段の現象が無くなるまで約20分間。」 「そやったら、その20分間に何かあるちゅうことか。」 「多分な。」 「KIDと和葉ちゃんの結婚式?」 蘭が素直に聞いてくる。 らっ蘭・・・・それ禁句。 「そういうこっちゃ。」 ほ〜らみろ〜、服部のヤツがすねちまった。 「こっここから、教会までは歩いて約30分。7時30分くらいにこっちを出るか?」 「俺は先に行っとる。」 「わかった。オレと蘭は時間に間に合うように行くことにするよ。」 「ねぇ、お夕飯はどうするの?」 ・・・らん・・・。 「外で適当に済ますよって、工藤とねぇちゃんで食うてくれ。」 「いいの?」 「かまへん。」 ・・・・・・・・・・。 「ほな、まだ時間あるし。ちーと寝とくわ。」 服部はそう言うと自室に戻っていった。 「服部くんて、」 今度は何だ。 「服部くんて、ほんと、和葉ちゃんしか見えてないのね。」 ああ。 「まったくだ。」 「和葉ちゃんも、服部くんしか見えてないのよね。」 「そうだろうな。」 「今日、会えるのよね。」 「もう、すぐな。」 「でも、好きな人に会えない教会なのよね。」 ・・・はっはははぁ・・・・・・・。 がんばれよ、服部。 |
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