平和のあとに 3
■ 新一の思惑 ■

「って、言うことなのよ。どうしたらいいと思う、新一?」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「ちょっと〜、聞いてるの〜新一?」
「ああ。聞こえてるぜ。」
蘭の話しを聞いて、軽く目眩を起こしていただけだ。
あのバカ、やっぱり限度ってやつを知らねぇ。
俺や蘭のあの苦労を、台無しにするつもりか〜?
今度こそ、本当に和葉ちゃんに愛想尽かされるぜ。
「和葉ちゃんは、大阪に帰りたいって言ってるのか?」
「う〜ん?帰りたいっていうより。今の服部くんとは、ちょっと距離を置いた方がって思ってるみたいなの。」
「当然だな。」
「・・・・なぁ、蘭。」
俺はあることを思いついて、蘭に提案してみることにした。
「何?」
「蘭と和葉ちゃん、しばらくここに住まねぇか?」
「ここって?新一の家にってこと?」
「ああ。ここなら部屋も余ってるしよ。2人ぐらい増えたって何の問題もねぇし。蘭だって、和葉ちゃんが一緒ならおじさんも説得し易いだろ。」
「それは、何とかなると思うんだけど・・・。」
「服部か?」
「うん。絶対、反対しそう・・・。」
「だろうな。だったら、アイツも入れて4人で共同生活ってのはどうだ?」
蘭が不思議そうにオレを見ている。
「新一なんだか、楽しそうなんだけど?」
うっ。思わず顔がにやけちまったか?
和葉ちゃんのことは当然心配だが、蘭と一緒に暮らせるいいチャンスだと思っちまったんだよなぁ。
「いっいや、ほら、和葉ちゃんにはいい気分転換になるし、服部もオレたちと一緒だと流石にあんまし無茶も言わなくなるんじゃねぇの。」
別に不自然じゃねぇよな。
「そう・・・よね。うん。早速、和葉ちゃんに話してもいい?」
「ああ。けど、まだ服部には内緒だぜ。」
「わかった。」
蘭はすぐに携帯を取り出して、電話を掛け始めた。


しかし、服部をどうするかだよなぁ。
普通に話しても、ぜってぇに納得しそうにねぇしなぁ・・・。
一度、ヘソ曲げるとテコデモ動かないヤツだしよぉ。
まったく、めんどくさいヤツだぜ。
ちったぁ、オレの幸せにも協力しろってんだ。


「新一。和葉ちゃんはいいって。」
っとオレに携帯を差し出してきた。
「もしもし、和葉ちゃん?久しぶり。何だか大変そうだね。」
      『そうなんよ。工藤くんにまで、心配かけてしもてごめんな。そやけど、ほんまにええん?』
「いいって、いいって。蘭も合宿みたいだって楽しみにしてるし、和葉ちゃんが気にすることないって。」
      『ほんま、おおきに。蘭ちゃんと工藤くんにはなんや迷惑ばっかり掛けてしもて。』
「友達なんだから、当然だよ。」
      『はぁ。平次に工藤くんの爪の垢でも飲ませたい気分やわ。』
「ははは・・・。でも、しばらくは服部には内緒な。」
      『うん。それは大丈夫やけど、平次、納得するやろか・・・。』
「そっちはオレがなんとかしてみるよ。」
      『ほな、工藤くんにお願いしてもええ?あたしが言うても、きっときかへんと思うから。』
「ああ。大丈夫だって。そうそう、じゃよろしく。」
そう告げるとオレは蘭に再び携帯を返した。


これで、和葉ちゃんははOKだ。
後は、服部・・・本当にどうすっかなぁ・・・・。
蘭はすかっり盛り上がってるしなぁ。
もう、朝食当番の話なんかしてるぜ。気が早ぇ〜。
毎朝、蘭の手作りかぁ・・・いいかもなぁ・・・。
って、その前に難関があったんだ。
アレをどうにかしねぇ事には、オレのスウィートな朝も訪れねぇ。


「はぁ。」
オレはソファーに大きくも垂れて、天井を見上げる。
真っ白い天上に、真っ白いファンの羽。
服部のヤツに自覚させ過ぎた原因は、あの野郎にもあるよなぁ。
半分以上はそうだぜ。
使えるモンなら親でも使えって言うじゃねぇか。
あの野郎使ったって、バチは当んねぇしな。
携帯、携帯っと。
「あっ。中森警部、お久しぶりです。工藤新一です・・・・・・・。」
結構近場じゃねぇか、ラッキー!
早速、明日んでも会いに行ってみっとすっか。






蘭の怒り 快斗の頭痛
novel top 平和のあとに top