平和のあとに 4
■ 快斗の頭痛 ■

「頂きっ!」
今日も楽勝!
得物を手に、その場を後にする。
最近、海外で仕事をすることが増えるてんだよななぁ、オレ。
なんたって、楽なんだよ。アイツらいねぇし。
ビックジュエルをいつもの様に、月に透かして・・・・・。
「?」
なんだ〜???
宝石を裏返して、オレの思考は一瞬止まった。
「・・・・・・・・・セッ・・・・セロテープ?・・・・・・・」
はぁ〜?
世界の秘宝とも言われる奇跡のダイアモンドに、セロテープがくっ付いてやがる。
・・・・・・・・・。
しかも、また小せぇ文字まで書いてあるんだ。
「ったく、何だ〜?」
ヌークの倍率にも限界があるってんだ。
「何々?・・・・・姫がお困りだ。ソウルプリンスホテル屋上にて待つ。S.K・・・・・。」
・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・あの男が何考えてるかわからねぇ・・・・・・・。


一応、罠かもしれないので慎重に降り立つ。
無視することも出来たんだが、和葉のことが気になって結局来ちまったぜ。
まったく人の気配が無ねぇ。
すると、非常口が開き、東の名探偵こと工藤新一が現れた。
「本当にあなた一人なのですね。」
「ああ。」
「それで、私に何か?」
「用があるから呼んだんじゃねぇか。メッセージにも書いただろうが、和葉ちゃんが困ってんだよ。」
態度でかくねぇか、この野郎。
「はぁ。で?」
「服部と和葉ちゃんは今、東京で一緒に住んでんだけどよ。あの野郎、和葉ちゃんを軟禁状態にしちまってんだよ。」
オレは文字通り、目が点になった。
「おめぇが服部のヤツに自覚させ過ぎちまったせいで、超心配性兼超過保護なバカが、和葉ちゃんに一人で外出はさせねぇは、電話にもださせねぇはで困ってんだよ。」


・・・・・・・あっ・・あの男も何考えてるかわからねぇ・・・・・・・。


「それで・・・・・私にどうしろと?」
「おめぇ、和葉ちゃんが一人の時にカードを送るか会いに行くなりして、服部に和葉ちゃんを一人にするのは危険だと思わせろ。」
工藤はめんどくさそうに、言い切りやがった。
「はぁ?・・・・・しかし、それは逆効果では?」
「いんだよ、それで。蘭と和葉ちゃんがオレん家に引っ越して来れんなら、何だってかまわねぇぜ。」
「工藤邸にですか?」
「そうだよ。オレん家で蘭も一緒だと、服部のヤツも和葉ちゃんに対してムチャもあんまし言えねぇだろう。」
「まぁ、確かに・・・。」
和葉も苦労してんだなぁ・・・・って、ちょっと待った!
こいつ、もしかして自分が自分の彼女と一緒に暮らしたいだけなんじゃねぇのか〜?
オレの目がす〜っと細くなった。
「姫のことはもちろんですが、あなたご自身もその方が都合が良いと。」
寒そうに前かがみになった姿勢から、目だけで睨みつけてきやがる。
「決まってんじゃねぇか!こんなチャンス逃すわけねぇだろう。」
こうも、あっさり認めるか普通・・・。
・・・・・この男は、本当に東の名探偵なのか?やってらんねぇぜ、まったく。
オレだって、青子と暮らしてぇてのによう。
「今更、私が出る幕でもないでしょう。皆さんで、ちゃんと話し合ったらいかがですか?」
「それが出来たら、おめぇに頼んだりしねぇよ。服部のヤツが聞く耳もたねぇんだよ。おめぇにも責任があんだから、手伝え!」
・・・・・頭が痛くなって来たぜ。
この男は、これを言う為にわざわざソウルくんだりまでこの寒いなか来たのかよ?
さっきからKIDのポーカーフェイスが保てねぇ・・・今度は眉間にシワが・・・・。
「頼んだぜ!・・・・それと、オーストラリアでおめぇが言った和葉ちゃんのことだけどよぉ・・・・・。」
工藤は急に真面目な表情になり、和葉のことを聞いてきた。
しばらく、和葉のことを話した後、「1週間以内に、何かしろよ!」と捨て台詞残してさっさといっちまいやがった。



「はぁ・・・・・なんなんだ、東西名探偵ってのはよぉ。彼女のこととなると、ほとんどおめぇらが犯罪者じゃねぇか!」
あっ・・・あほらし・・・・これもパンドラじゃねぇしセロテープ付いてるし・・・・・・・・俺も帰ろ・・・・・・・・・・・・・・。






新一の思惑 平次の心労
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