平和のあとに 7 | ||
■ 蘭の企み ■ | ||
私と和葉ちゃん達が、新一の家で共同生活を始めて1週間。 和葉ちゃんの外出禁止は無くなったし、携帯電話は服部くんが速攻で買って来たしね。 よかった、これだと服部くんに回し蹴りしなくてよさそう。 本当に毎日が、キャンプみたいでとても楽しいの。 「おはよう、蘭ちゃん。」 キッチンで朝食の用意をしてた私の隣に、和葉ちゃんが並ぶ。 「おはよう。今日は、私が当番だから和葉ちゃんは座ってて。」 私達は毎日、交代で朝食を担当しているの。 和葉ちゃんは和食で、私が洋食。 だから、昨日はご飯とおみそ汁の朝食で、今日はパンに紅茶の朝食。 テーブルに座ってミルクを飲んでいた和葉ちゃんが、 「蘭ちゃん、今日も大学あるんよね。」 って聞いてきたの。 「ううん。今日は、取ってる授業が休講になったから行かないよ。」 オムレツを作る手は休めない。 「そやったら、今日あたしに付き合うってくれへん?」 「うん。いいよ。」 「あんな・・・・ 。」 私も和葉ちゃんの提案に即賛成したの。 「だったらね。こう言うのはどうかな。あのね・・・・ 。」 「うん、うん。なんや面白そう〜。」 「でしょう〜。」 私達の今日の予定は、2人の名探偵には秘密よ。 「さっ出来た。お寝坊さん達起こしてこようか。」 「そやね。」 和葉ちゃんは2階へ、私は1階の奥へ、それぞれ意を決して向かう。 結構大変なのよ、新一起こすの。 どうやら、和葉ちゃんも服部くん起こすのに苦労してるみたい。 奮闘すること約20分、なっ・・・なんとかベットから出たわ。 「早く、来てよね。」 はぁ・・・疲れる。 今まで一人暮らしの時はどうやって起きてたのかしらなんて考えてたら、階段から下りてきた和葉ちゃんに会った。 和葉ちゃんの顔にも疲労の色が。 「毎朝これやと、疲れるわ。」 「まったくよね。」 それから新一と服部くんがキッチンに現れたのが、10分後。 4人揃って朝食を食べるの。 食べながら、今日の予定を確認し合うのがこの1週間で出来たルールよ。 「オレ今日は1限の国際法と3限の政治学、事件の依頼は今んとこねぇ。」 「俺も同じや。和葉は今日どうすんのや?」 「あたしは図書館行って勉強しよう思うとるよ。」 「蘭は?」 「私は2限の教育人間学とサークルに顔出す予定よ。」 「そやったら夕ご飯は7時でええよね。もし、いらへん時は早めに連絡してな。」 和葉ちゃんのこの一言は、もちろん男性2人に向けられたものよ。 2人とも無言で頷く。 そして、私と和葉ちゃんもお互いの顔みてニッコリ頷く。 これは、連絡も無しに事件に飛び出して行ったら許さない、と言う無言の圧力。 当然よね。 朝食を済ませると新一と服部くんは1限目からだからすぐに出ていった。 通学は2人共、基本的には歩きと電車なの。 理由は、いつ警察から協力要請があってもいい為なんですって。 私達は朝食の後片付けを済ませると、早速出かける準備を始めた。 「蘭ちゃん、こんなんでええかな?」 和葉ちゃんはキャップ帽にGジャン、ジーンズにスニーカー。 「うん。とっても可愛いよ。私こそ、これで可笑しくない?」 私もキャップ帽にGジャン、ジーンズにスニーカー。 「全然可笑しいことないよ。格好ええよ。なんや、あたしらお揃いみたいやね。」 「ほんとね。」 2人共、髪はアップにして帽子の中に入れてるの。 「普段こないなカッコせえへんから、何や恥ずかしいわ。しかも、このGジャンめちゃ大きいやん。」 「私も袖なんか2折してやっと手が出たって感じ。」 もう一度、お互いの姿を見て、同時に吹き出してしまった。 「ほな、行こうか。」 「そうね。」 私達はもう一度戸締りを確認して、目的地に向かって家を出たの。 |
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