平和のあとに 13 | ||
■ 快斗と和葉に探と蘭 ■ | ||
和葉は大きな猫目をさらに大きく見開いて、口もポカンと開けてやがる。 「和葉、目ん玉落ちるぜ。」 「えっ、あっ、やって、快斗なんでここにおるん?」 あれっ?オレ、大学ここだって言ってなかったけ・・・。 「東都大学工学部機械情報工学科1年、黒羽快斗よろしく!・・・って、それはこっちのセリフだぜ。びっくりしたのは、オレの方だっつ〜の!真冬にTシャツ1枚で髪振り乱して、何やってんだよ。」 「・・・・・・平次から逃げとる・・・・・・。」 「はぁ〜ナンで?!」 和葉の話しを纏めるとあれだな、要はいわゆる”やきもち”ってヤツだよな。 しかし、オレのあの幾多の苦労は報われてるのか?・・・工藤の野郎といい、服部の野郎といい・・・・・・・。 オレが考え込んでると、今度は和葉が質問してきた。 「なぁ快斗。平次らって、いつもああなん?」 「うん?ああ、最近はだいたいあんなもんだぜ。」 「そうなんや・・・。」 「知らなかったのか?」 「ぜんぜん。平次、そんなこと何も言うてくれへんし。」 まぁ、普通言わねぇだろうなぁ。 オレだって、もし、そうなったら青子にだけはぜって〜隠す。 「和葉、今、幸せなんだよな?」 何気なく口から出た言葉だった。 和葉は一瞬不思議そうにオレを見上げ、 「ほんまは、めっちゃ幸せ。なんせ、あのKIDさまがあたしにくれた幸せやもん。」 と悪戯っ子の様に笑ったんだ。 「よかったな。」 「うん。ありがとな、快斗。」 オレ達、良い友達になれそうだなって思ってると、和葉からまた疑問が降ってきた。 「そうや、快斗。この前の”カードと薔薇”、あれどないしたん?」 「ははは・・・・・・あれなぁ・・・。実はさぁ・・・・・ って言う理由なんだ。」 和葉も絶句してるぜ。 「・・・・・・・やっぱ、恐るべしやは工藤くん。」 「オレもそう思うぜ・・・アイツはある意味怖ぇ・・・。」 二人顔を見合わせて吹き出した。 「快斗ぜんぜん変わってへんね。」 「あたりめ〜だっつ〜の。」 「よかった。もう会えへんって思うっとったから。」 っと萎らしく言ったと思ったら、 「ところで、快斗は青子ちゃんとは上手くいっとんの?」 って言いやがった。 「・・・・まぁ、一応あれから帰って告ったしよ・・・・・・。」 「そうなんや!おめでとう快斗!」 満面笑顔で喜んでやがる。 まだ、青子の返事言ってねぇのによ。 「なっ、あたしの言う通りやったろ!青子ちゃんもきっと快斗のこと好きやって。快斗の友達として、同じ幼馴染好きになったモンとして、めっちゃ嬉しい!」 「ありがとよ。だったら、友達として今日は和葉に協力してやるよ。」 「ほんまに〜?ええの?」 「おう、任せとけって。KIDとしては無理だけどよ、黒羽快斗としては、問題ねぇしよ。」 「ありがとう快斗!今日はどうしても平次に勝ちたいねん!」 目キラキオラさせて話す和葉に、オレも挑戦的な笑顔で返した。 服部、今日は勝たせてもらうぜ! 「それは構いませんが、その格好といい理由くらい聞かせてもらえませんか。」 「うっうん。そうだよね。あのね・・・・ 。」 蘭さんの言いたいことは、とても分かり安い。 所謂あれですね、”嫉妬”と言うモノからくる突発的行動力。 「興味深いですね。」 「えっ?」 「いえっ。それより、その格好では寒いでしょう。僕の上着でよければ、お貸ししますよ。」 上着を脱ごうした僕に、彼女はやんわりと断りの言葉を述べた。 「ありがとう、でも大丈夫よ、白馬くん。」 「工藤くんに捕まるまでは、そのままでいるということですね。」 「うん。ごめんね。」 「構いませんよ。それより、その”鬼ごっこ”に僕も参加させて頂けませんか?」 「おっ鬼ごっこって・・・・・・参加?」 予想通りの反応ですね。 「ええ、僕が蘭さんを工藤くんに見つからずに、校外へ出して差し上げます。」 「白馬くんが?どうして?」 「僕も一度、工藤くんとは知恵比べをしてみたいと思ってましたし、お困りの女性を放っておくというのは僕の性分ではありませんからね。」 折角見付けた、ちょっとしたお楽しみを見逃すことはないでしょう。 「あっありがとう。でも、白馬くんて大学、ここじゃないんだよね。」 「大学はイギリスのケンブリッジに在籍してますが、ここの施設を自由に使わせてもらう許可はもらっています。もちろん、敷地内の地図も各校舎の見取り図も頭に入ってますよ。それに僕に協力してくれる人達もいますしね。」 まだ、納得して頂けないみたいですね。 「蘭さんは工藤くんに勝ちたくはないのですか?」 ちょっと挑発的に笑ってみましょうか。 「ううん。今日はどうしても新一に勝ちたいの。絶対、捕まらずに外に出てみせるんだから。」 「だったら、お互い協力しませんか?僕は工藤くんと手合わせをしてみたい、蘭さんは工藤くんに捕まらずに外に出たい。お互い利害が一致していると思いますよ。」 蘭さんは少し考えて、 「そうよね。ズルじゃないわよね。協力してくれる、白馬くん?」 とやっと納得したようですね。 「喜んで。」 彼女は笑顔で僕に右手を差し出した。 工藤くん、女神が微笑む方が勝者と決まっているんですよ! |
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