平和のあとに 17 | ||
■ 新一VS女の子たち ■ | ||
学2棟に入って、中央階段から2階にいる蘭を目指す。 やっぱ女ばっかだぜ。 すれ違うのも、たむろしてやがるのも。 しかも、すげ〜見られてるみて〜で居心地が悪りぃ。 こんな所は、さっさと蘭捕まえて出るに限るぜ。 だが、下から見つけた場所にすでに蘭の姿はなった。 「さっき、ここにTシャツ着た子がいなかったか?」 蘭を囲んでいたであろう女どもに声を掛ける。 「くっ工藤くん!」 その場にいた女達に、あっという間に取り囲まれちまったぜ。 「本当に来た。」 って言う声まで聞こえてきやがる。 どういう意味だ? 「おめぇら、アイツに何かしたか?」 「まっまさか、何もしてないわ。場所を聞かれただけだもの。ねっ。」 他の女達も頷いてやがる。 「本当だろうな。」 「嘘なんか言ってないってばっ。」 「そっか、悪かったな。んで、アイツは何所に行きたいって言ってた?」 「校外に出たいって言ってたから、東門を教えてあげたわ。」 東門か・・・確かにここからは一番近いな。 「工藤くん、あれ!」 答えていた女が、いきなりオレの後ろ中央階段反対側の廊下を指差した。 オレの視界には、一瞬だったが白いTシャツと長い髪が見えただけだった。 「蘭!」 女達を押しのけて、中央階段を大またで横切り、その後姿を追う。 廊下にたむろしている女達が邪魔になって、蘭に追いつけねぇ。 しかし、さっきからアイツ校舎の中をグルグル回ってねぇか? いくら蘭が方向音痴だからって、いい加減気付くだろう。 そう思ってオレが方向転換をし、蘭の前に回ろうと・・・・・。 「うっ・・・・うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 振り返ったオレの目に映るのは、廊下中を埋め尽くす・・・女、女、おんな・・・。 慌てて前に向き直り手近な、渡り廊下に出ようとドアを回すが・・・? 開かねぇ! 冗談じゃねぇぜ! ここまで来ると、はっきりと誰かの意図を感じるぜ。 さっきの『本当に来た。』っと言った女の言葉、いつまでも校舎から出ない蘭・・・きっと蘭本人じゃねぇな、そしてこの開かないドアだ。 どうする?こんなとこで無駄な時間使ってる場合じゃねぇ。 軽く探偵モードでやってみるか。 「ごめん、ちょっと靜にしてくれないかな。」 騒いでる女達に笑顔で話し掛ける。 「この中に『E & W DETECTIVE サークル』の人はいるのかな?」 うっ・・・ほとんどじゃねぇか。 優しく優しく、笑顔笑顔。 「だったら、その主要メンバーの人とかもいるのかな?」 オレの問いかけに右手を上げて答えたのは、さっきオレが話しかけた女だった。 「私、『E & W DETECTIVE サークル』代表の神津京子です。」 「では神津さん、今のこの状況を説明して下さい。」 「そっそれは・・・。」 「誰に頼まれたのですか?」 「・・・・・・・・・・。」 「もし、あなた方がオレに協力してくれるのなら、オレも一度位ならあなた方に協力してもいいかなって思ってるんだけど。」 「それっ、本当に本当?!嘘じゃないよね?」 信じてもらえないのも無理ねぇよな、今まで散々彼女達の申し出を拒絶し続けてきたからなぁ。 「本当です。その変わり、今は協力してもらえますね。」 「はい。っと言いたいのですが、サークルの行事に服部くんも一緒に連れて来てもらいたいのです。私達は2人を応援するサークルですから。その条件で宜ければ、よろこんで工藤くんに協力させてもらいます。」 うっ・・・服部もかよ・・・この女、結構交渉うめぇじゃねぇか、もしかして、最初っから狙ってた訳じゃねぇよな・・・・・。 「分かりました。服部にも協力させます。」 オレもあっさり了解する。 服部の意見なんか、どうでもいいぜ。 交渉成立だ。 神津代表の話を聞いてると首謀者が判明した。 やはりな、あの野郎に会った時から嫌な予感がしてたんだ。 白馬の野郎!! 人のことをコ馬鹿にしやがって! 「では、これからオレが言う通りに、行動して下さい。」 ぜってぇ〜蘭を捕まえてやるぜ! みてろよ、白馬!オレから蘭を隠したこと、万死に値するんだぜ! |
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