平和のあとに 25
■ 彼女の笑顔と彼氏の不満 ■

はぁ〜思っとたんよりかなり大騒ぎになってしもたけど、何やメッチャええ気分やわ!
他力本願の部分もぎょうさんあったけど、あたし平次に勝てたんや!
「う〜〜〜〜〜〜〜っん。」
改めて体ん中から嬉しさが込み上げて来るやん。
やって、やって、あたしが平次に勝負で勝てたなんてきっと始めてや!
「へ・い・じ!Gジャンちょ〜だいっ!」
ついつい、声が浮かれてまう。



頭の上から、和葉のちょ〜楽しそうな声がしとる。
まったく何やちゅうねん!
何でこんな騒ぎになったんか分かってんのか〜?
そもそも、どうしてオマエがここにおんのや!
「オマエ何しに来たんや?」
「今更ええやんそんなんどうでも。それより、早うGジャン貸して〜な。寒いんやけど。」
って満面の笑顔で手ぇ出されたら、仕方あらへんやんか。



「Gジャン貸してくれるよね、し・ん・い・ち!」
本当はまだそんなに寒くないんだけど、新一に勝てたのがと〜ても嬉しくて、ついつい意地悪したくなちゃうのよね。
座り込んで動かない新一の顔を覗き込んで見たりして。
「新一?」
あっ、俯いたまま無言で差し出されちゃった。
「ありがとう・・・・借りるね。」
もしかして、本気で怒らせちゃったかな・・・。



蘭が嬉しそうなのは分かる。
理由はともかく。オレに勝ったんだから当然だ。それは仕方ねぇ。
ムカツクのは白馬の野郎と、さっきから気安く蘭の名前呼んで騒いでやがる野郎どもだぜ!
いったい何人いやがるんだ?
くそっ!やっぱ、この状況は最悪だぜ!
それにしても・・・・・何しに来たんだ蘭のヤツ・・・・・。
「・・・・・・・。」



「あっあの〜〜〜〜?」



あっ、高木刑事がおったんや。
今の状況まったく理解出来てへんやろうな・・・・めっちゃ恐る恐る平次らに声掛けとるやん。
「えっ・・・・・あっ・・・・・そのっ・・・・・・・。」
しかも、2人の不機嫌オ〜ラ思いっ切り受けとるし・・・・・気の毒やわ。
間〜の悪い人って、ほんまにいてるんやな〜。
大丈夫なんかな?



「KIDとJOKERから予告状でしたよね。」
新一の声が地の底から聞こえてるみたい。
「白、黒、同時にお出ましかい。」
服部くんの声もどっから出てるの〜?
「そっそうなんだよ。きょ・・・・・協力して欲しいんだけど・・・・・いっいいかな?」
高木刑事の声は頭のてっぺんから出てるみたい・・・。



「もちろん協力させて頂きますよ、高木刑事。」
「はっ白馬くん!」
僕の顔見てそんなに安心されても、困るんですがね。
「その為に、わざわざここまで迎えに来て下さったのでしょうから。では、行きましょうか?工藤くん、服部くん。」
さっさとこの場から離れたいものです。
「口紅ついてるぜ。」
本当にムカツキますね。



「工藤くん、はいっ荷物。服部くんも。」
神津代表がオレ達のカバンを差し出した。
「工藤くん、約束は約束だから守って下さいね。服部くんもよろしくね。」
あっ、そういやぁ何かしたよな。
「工藤、何や約束って?」
「・・・・・まぁな。」
この状況でコイツに言ったら暴れかねねぇ・・・・・今は黙っとくか。



「いつまで座っとんの?行くんやろ?」
和葉の声に俺はやっとその場から立ち上がったんや。
「がんばってな!」
「おっおう・・・。」
笑顔の励ましが素直に受けとれん・・・・・・・・警察に行くんに何や後ろ髪引かれる気ぃがすんで・・・。
「新一もいってらっしゃい!」
「あっああ。」
工藤んヤツも同じみたいやな。



「がんばって来いよ名探偵諸君!」
さっさと行きやがれ!
今回の暗号も気合い入れて作ったんだからよ。
「和葉ちゃんのことなら心配いらないぜ。悪い虫が付かないようにオレたちが付いてるからさっ!」
おっ、弘希のヤツ生きてやがったのか、しかもまだ服部に喧嘩売ってやがる。
コリねぇヤツだよなぁ。
「うっさいんじゃ〜〜〜〜〜!!お前らが害虫じゃボケッ!!!!!」



『工藤も安心して行っていいぜ〜。おれらが蘭ちゃんのナイトになっててやるかさ〜。』
「蘭に近寄るんじゃねぇ〜〜〜〜!!!!!」
いいなぁ〜〜、和葉ちゃんも蘭ちゃんも。
あの服部くんと工藤くんに、ここまで言わせちゃうんだよ〜。
青子も言われてみたいな〜〜〜〜。
「いつまで叫いどんの平次!早う車に乗りや!」
「新一も!高木刑事が待ってるじゃない!」
・・・・・・・・でも・・・・分かってるのかな・・・・・。



「あっそれから、夕飯いらへんのやったら早めに連絡してな。」
「・・・・何時になったかて飯は帰って食うから、作っとけや。」
あたしは平次に顔が隠れる程、深く帽子を被せられてしもた。
「そうなん?別にええけど。」
「お前ら、さっさと帰れよっ!」
蘭ちゃんも同じようにされとる。
「どうしてなの、新一?」
「どうしてもだっ!今日はもうこまま帰れ!」
「「・・・・・・・・・。」」
「「かえれっ!!」」
「「は〜〜〜い。」」
女の子らの黄色声援に送られて、ヨロヨロしながら覆面パトカーが走り出した。
車内を想像したら、高木刑事にちょっと同情するわ。


「やっと、行ったわ。」
「ほんとに、何グズッてたのかしら?」


「青子ちゃん、一緒にお昼食べに行かへん?」
「いいの〜〜?」
「もちろん。せっかくお友達になれたんだもの、いっぱいおしゃべりしましょ!」
「行く行く!」
「あ〜お〜こ〜、オレは?」
「えっ?快斗いたの?」
「って・・・・おいっ!!」
「うそうそ。」
「和葉ちゃん!オレも一緒していい?」
「黒崎くんも行く?」
「弘希って呼んで!もち、お供させて頂きます!」


『オレも!』
『是非、僕もご一緒させて下さい!』
『おれも〜〜〜!!』
『私達も行きた〜〜い!工藤くんたちの話し聞かせて〜〜!』
『あ〜あたしも〜〜!服部くんのこと聞きた〜〜い!』


ええ〜〜〜!
何人おるんよ!何人!
結局、あたしらはみんな入れるであろう学食で、お昼を食べることになったんや。


「蘭ちゃん、このことは2人には内緒やね。」
「そうだね、和葉ちゃん。」






鬼ごっこの勝者 彼氏たちの反撃
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