久遠 -KUON- 14
■ なんでや ■
俺がちょっとおらん間に和葉のヤツ3人のアホに告られて、しかも2年の女共に呼び出されたやと〜〜!
木更津からの報告や。
もちろん、野郎3人の名前も聞いとる。
今後の為にな。
2年の女共んことは、俺のせいや。
「和葉に迷惑かけんな!」
言うって木更津にさんざん、どやされたで。
まぁ、ここまでは何とかがまんしたる。
そやけど、あの眼鏡の腕に?まって”あっかんべ〜〜!”あれはなんや!
なんでアイツがこっちにおんねん。
しかも、和葉と腕なん組おって。
俺かてまだしたことなっいちゅうのに。
だ〜〜〜〜、ムカツク!!

その次の日、和葉の机やベッドなん必要な物買うって、ほんまに俺の部屋の隣に和葉の部屋作ってしもた。
和葉んヤツは、一人最後まで抵抗しとったけど今更出来てしもたもんは仕方ないで。
いちばんはしゃいどったんは、オカンやな。
娘が出来た言うって、赤飯まで炊きそうな勢いやった。
俺と和葉ん部屋の一番の違いは、鍵や。
俺の部屋には鍵が無い。
これは、オカンの意見や。
それやのに、和葉の部屋にはなぜか2個も鍵が付いとる。
これも、オカンの意見や。
なんでやねん。

和葉ん部屋が出来て、2日に一度くらいの割合で和葉が俺ん家に来るようになった。
おっちゃんがおらん日が続くときなんかは、1週間ずっと和葉がおるんやで。
俺の部屋の隣に。
隣の部屋で和葉が寝てるんやで。
失敗した・・・・・せめて和葉の部屋1階にしとくんやった。
和葉ん部屋が出来てからは、俺は悪友を家に連れて来たことはあらへん。
当然やろ。
和葉が連れて来たんも木更津だけや。
俺らの部屋の位置見て開口一番、
「服部くんやっぱアホやろ。」
ってのたもうたんや。
あの女いつか、仕返ししたる。

しかも、和葉は風呂上りに髪も濡れたままで平気で俺ん部屋入ってくるんや。
パジャマで頭にタイル巻いた状態でやで。
勘弁してくれ。
コイツほんまに俺のこと好きやって、思ってくれてたんか?
今の態度はどうみても兄妹やで。
「なぁ平次〜。平次はもう進路決めたんやろ。やっぱり、東都大学なん?」
「そうや。オマエは決めたんか?」
「う〜ん?今、考えてるんやけど、氷帝もええかなぁって思うてんるんよ。」
・・・・・・・・・はぁ?氷帝?
「氷帝って、あの氷帝学園か?」
「 ? 氷帝って他にもあるん?」
「何でや?あの眼鏡がおるからか?」
「侑ちゃんのこと?違うよ、何言うてんの。氷帝って結構自由な校風やし、合気道も続けられそうやし、何よりあたしのやりたいことが出来るみたいなんやもん。」
「やりたいことって何や?」
「ないしょ。」
最近コイツが何考えてるんか、ほんま分からへん。
そやけど、氷帝はあかんやろ。
「あかん。」
「 ? 」
「別に氷帝やなくてもええやろが。」
「そやけど〜、氷帝やったら、東都大学からも近いし、華月も受けるみたいやし、ええかなぁって思うたんやけど。」
「他はどこや?」
「後は全部、こっちの大学。大阪国際大学と京都学園大学と神戸学院大学。」
「学部は?」
「秘密。」
「何でや。」
「何でもや。」
「平次が反対するんやったら、やっぱ神戸かなぁ?」
何て言いながら、学校案内捲っとる。
「そうなったら、平次とはお別れやね。」
「はぁ?何でやねん。」
「やって、4年間別々やん。東京と神戸やねんから。」
・・・・・そうや。
う〜〜〜、それも、あかんやんか。

ほんま、いろんな意味でどないしたらええねん、俺。


学校での和葉の人気もあれから、さらに上がる一方でちょっとでも目ぇ離したらボケッが近づいて来よる。
だいたいは木更津が側におって、牽制しとるからええんやけどな。
問題は帰宅途中や。
他校のヤツラまでもが、和葉に告りに来よるんや。
和葉も和葉やで。
俺が待っとれ言うてんのに、「子供やないんやから。」言うって勝手に一人で帰りよる。
ほんでもって、俺が急いで和葉ん後追いかけようとしとる時に限って、女共が声かけて来るんから始末に悪い。
知らん制服のヤツまでおるし。
『服部くん、ちょっと待って〜。』
「何や。俺、今、急いでるんや。」
『服部くん、今、付き合ってる子とかいてないよね。』
「おらん。」
『やったら、好きな子はおるん?』
「おる。」
『え〜〜〜〜!!もしかして、例の幼馴染〜〜?』
「何でそんなこと、お前らに言わなあかんのや。」
『やって、あの子、彼氏おるやん。』
『わたしも見た〜〜!この前、ええ男と腕組んでんの見たわ〜〜。』
「それが何やねん!和葉は関係ないで!」
『それなら誰?』
「やから、何で答えなあかんのや。」
『ほんまにあの幼馴染やないんよね。』
「・・・・・・・・・。」
『ほんまに、ほんまやよね。』
あ〜〜〜、鬱陶しいちゅうねん!
「和葉や!和葉や!これで、ええやろ!」
俺の腕捕まえとった女の手振り解いて、やっとの思いでその場を逃げ出した。


この時に言うた俺の一言が、後でとんでもない事を引き起こすやなんて考えもせぇへんかったんや。





あんなぁ あれほど
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