久遠 -KUON- 18
■ もしもや ■

和葉は髪が短こうなってから、思うた通りや、前よりモテルようになってしもた。
しかも、見合い話まで来たりするんやで。
まだ、高校生やっちゅうねん!!
和葉の髪、早よう伸びてくれへんかなぁ。
やないと、俺、心労で倒れるんちゃうか?
探偵の依頼があれば飛び出して行くんは変わらずなんやけど、事件解決したら速攻で帰って来なあかんのやで。
どこで調べて来るんか、俺がおらん時に限って、変な野郎が来るんや。
大概は木更津が蹴散らしてるらしいんやけど、しつこいアホもいんのや!
この間も、和葉んことつけ回したドアホッがおって、たまたま一人やった和葉に手出しおった。
もち、和葉に投げ飛ばされて、即、逮捕やけどな。
後でそんなこと聞かされてみっ、心臓いくつあっても足らへんで・・・。
もし、そいつが光モンとか持っとったら、どないすんねん・・・。
もし、一人やなくて複数やったら・・・。
もし、無理矢理車に・・・・・・・・・・・・・・・・・・胃・・・・・痛なってきた・・・・・・。


誰か平次をなんとかしてくれへんやろか・・・・。
流石に最近ちょっと・・・・・・・・・・・・・・・・・・鬱陶しい・・・・かも・・。
最初のうちは、あたしもちょっと平次んこと意識して避けたりしとったから、平次が心配して色々言うてくれるんは嬉しかったんや。
そやけど、それがしばらくたっても落ち着くどころか、エスカレートする一方なんやもん。
あたしと華月が氷帝の推薦入試を受けることが決まって、試験受けに東京へ行くときも「一緒に行く!」言うたのには困ったんやで。
ちっちゃい子供やないんやから。
あん時程、探偵の依頼が入ったことに感謝したことないかもしれへん。
そやけど、華月に「和葉の行動逐一報告せい!」って言うたんやって。
しかも華月、面白がって、あたしと侑ちゃんの2ショットばっかり送った言うやん。
侑ちゃんは、駅まで迎えに来てくれたり、試験会場まで案内もしてくれたし、お昼も一緒に食べたし、試験後はお茶もしたし、泊めてもらうことになってた蘭ちゃん家まで送ってくれたんや。
あっ、もちろんずっと華月も一緒やし、向日くんも一緒やってんで。
華月の携帯取り上げて送った写メ確認したら、どう見てもあたしと侑ちゃんがずっと二人でおったようにしか見えへんかった。
平次の携帯にあたしと侑ちゃんの2ショット写メがいっぱい・・・・・・・・って、・・・・・・・・・・・・・華月・・・・・・誰の味方やねん。
その結果、一番被害被るの誰や思うてんの!


服部くんに和葉と忍足くんの2ショットばっかり送ったんは、半分が嫌がらせ、そやけど半分は警告や。
和葉、確かに服部くんへの気持ち取り戻したみたいやけど、完全に前の和葉に戻ったんとちゃう。
前みたいに盲目的に服部くんだけを見とった和葉とちゃうねん。
今の和葉ん中には、忍足くんも確かに存在してるんや。
それを、あのボケがどんだけ理解しとるか知らへんから、優しい華月ちゃんが注意報発令したったんやんか。
前に敵は、忍足くんだけやない言うたけど、やっぱ最強は彼やしな。
しかも、うちらが氷帝に入学したら、したらちゃうな・・・もう決まったも同然やし。
和葉もうちも改方での成績が学年で50番以内に必ず入ってるんやから、しかも面接で落ちるなん考えられへんし。
ちなみに、改方の100番以内は、国立大学OKレベルなんや。
ついでに、あのアホはいつも3番以内やで、これは東都大即OKレベル。
やから〜、氷帝確実いうことはやで、大学4年間は確実に服部くんより忍足くんの方が和葉の側におるいうことやねん。
立場逆転。
うち的には、和葉の味方やから和葉が幸せならどっちでもええ。
ん・・・やけど、まだ和葉ん中でのウエイトは服部くんが大きいみたいやから、嫌がらせ半分警告半分ちゅワケや。
腐っても西の名探偵なんやから、それくらい分かるやろ。
・・・・・・・・分かる・・・・・・んやろか・・・・・ほんまに?
あのアホ、和葉絡むと何や思考回路が違う方向に切り替わっとるみたいやしなぁ・・・。


あの女、何考えてんねん。
何やねん、このムカツク写真は!
こんなん、撮っとる暇があるんやったら邪魔せんかい!
・・・・やっぱ、氷帝・・・・・受けさせたん失敗やったんか?
そやかて、他んとこやったら遠いしなぁ。
俺の不安をよそに、和葉と木更津は、あっさり氷帝に合格してしもた。
まぁいくら有名大学やいうても、関西きっての名門改方からの推薦やから当然ちゃ〜当然やな。
はぁ〜どないしょ。
そんなんで、ちょ〜寝不足の俺が保険室で仮眠とっとたら、そこに和葉と木更津が入って来よった。
こいつらは、必須科目だけやから今日は3時限目からやったな。
「和葉、先生いいへんけど。取りあえず消毒したげるから、そこ座り。」
和葉んやつ怪我したんか?
「もう、ええよ。かすり傷やし、ほっとっても直るやろ。」
「何言うてんの!顔は女の命やで!」
顔?
「ほんまに〜〜〜、あれ程うちが迎えに行く言うたのに。」
「いっ痛いって、華月。そやかて、まさかこんな時間からあんなんがおるなん思うてなっかったんやもん。」
あんなんてどんなんや?
「それより和葉、髪もう伸ばさへんの?」
「結構、短いの気に入ってんねん。色々、楽やし。」
「そやけど、まめにカットに通うのめんど〜やない?」
「そんなことないよ。」
和葉んヤツ、いつまでも長ごうならん思うとったら・・・・・・切っとったんかい!!
「はいっ。出来たよ。バンドエイドがよう似合うとるよ。」
「それ嬉しうない・・・。」
「和葉、お願いやからもう絶対一人になったらあかんよ。」
「華月・・・。」
「今日のんは例のあれやろ、カッター持って和葉の髪切ろうとしたんやから?幸い、擦り傷で済んだけど・・・。服部くんが知ったら、真っ青になんで。」

・・・・・・・・・カッター・・・・・・・・やと・・・・・・・・・・・・・・・・もうなってんで・・・・・。

「うっ・・・・平次にはご内密に。」


「何で、俺には秘密なんや和葉。」





いっぺん まったく
novel top 久遠-KUON- top