― 祝!heiwa本誌登場小噺リベンジ!part4 ― | |||||
■ どんっ! ■ ★★★★ | |||||
「良かったなぁ蘭ちゃん。ほんまにええのがあって」 「ありがとう、和葉ちゃんのおかげよ」 あたしら会心の笑みで目的のモノを買えた喜びを表しあったのに、 「けっ。あんなモノを貰って悦ぶヤツの気が知れないぜ」 と後ろから水を注すアホ一人。 「何言うてんの。あんたかてお礼に買うて上げたソレ、嬉し気に受け取ってたやないの」 このアホ名前を密貞章吾(みつさだしょうご)いうて、自称”東都大学法学部の輝ける星”らしい。 そのネーミングセンスからして、お頭の中は確かに真っ白に輝いてるようやけどね。 「うっ・・・」 って手に持ってるかわええ袋を慌てて後ろに隠してどうすんの?買うて上げたんあたしらなんに、ほんまアホやで。 「そ、それよりのんびりしてていいのかよ」 時計を見ると思うてた以上に時間を使こうてしもてた。 「あかん!終わってまうやん」 「急ごう和葉ちゃん!」 あたしらは自分らの可愛らしい格好も気に留めず猛ダッシュ。 女2人と男1人が脇目も振らずに走ってるんやから、擦れ違う人らが振り返ってこっち見てるけど今はそんなん気に出来へん。 大学の校門を入った所で、後ろでゼェゼェ言うてる案内人に先を譲った。 「ほら章ちゃん、案内してや」 そう言うて背中を押すとブツブツ言いながらも、真っ直ぐにあたしらを目的地に案内してくれる。 このアホ、もしかして以外にええヤツなんかな? あたしがクスッて笑うと、同じ様に隣からも聞こえてきた。 蘭ちゃんも同じコトを思うたみたいや。 それやのに、アホはやっぱりアホやったわ。 「何笑ってんだ?ここから文系棟に入るんだぜ。俺が見下されない様、そのバカ面なんとかしろよ」 ムカッ!! 即、前言撤回や!! あたしと蘭ちゃんは眉間にちっこい怒りマークを浮かべながらも、すました顔をしてアホの後に続いた。 建物に入ってからもしばらく階段を登ったり下りたりしてから、アホが突然立ち止まった。 「着いたぜ」 「ここ?」 「そうだ」 あたしらは目の前にある、コンサートホールみたいな大きゅうて重厚なドアを見上げてしもた。 それはどっからどうみても、教室のドアには見えへんのやけど。 「本当にここなの?」 「だから、そう言ってるだろう」 アホは呆れた様に言うてから、 「まだ講義中だからな、音をさせるなよ」 その大きなドアを音も無く押し開けて中に入った。 慌てて、あたしと蘭ちゃんもその後に続く。 うわぁ〜〜〜何やのこれ? あたしの大学にもそれなりに大きな講義室はあるけど、ここまででっかいんは初めて見たかも。 正にコンサートホールやん、これ。 擂鉢状の一番底に教壇があって教授らしき人が、巨大な画面に難しい表とか文章とかを映しながら講義しとって、もちろん教授の声はスピーカーを通して聞こえて来る。 呆気に取られて固まってたら、 「いつまでもアホ面さらしてんなよ。早くこっちに来い」 と小声で手招きされてしもたからあたしと蘭ちゃんはそ〜とアホの後に続いて、一番後ろの右隅に陣取った。 並びは、アホ、あたし、蘭ちゃんの順番や。 「凄いなぁ〜ここ」 「まぁな。この講義室は東都大で最大の大きさだからな」 自慢気に言うアホの言葉に、素直に頷く美女2人。 「今講義されてる教諭って、凄い人気なのね」 「・・・・・・・」 蘭ちゃんの素直な感想に、なんでかアホは口ごもってしもた。 「どしたん?こんなにぎょうさん生徒がいてるんやから、そうなんちゃうの?」 「はぁ・・・よく見てみろよ」 アホが顎で前を指すから、あたしらは言われるがままに講義室全体を見回した。 「「あっ・・・」」 このでっかい講義室の大半を埋め尽くしてるんは、女の子やんか。 「元々この教授の講義は普通の教室で行われてたんだ。それが講義がある度に人数が増えていって、いまではこの有様だ」 「なんで?やって基本的に講義は選択してるモンしか受けられへんやん」 「この教授が少しでも多くの生徒に学んで欲しいとかで、法学部以外の生徒も自由に参加出来るようにしたからだろ」 なるほど。 ほんで、この状況な訳な。 「誰もまともに講義なんか聞いてないのにな」 アホは気の毒そうに汗を流して熱弁している教授を見てから、椅子に踏ん反り返ってしもた。 あたしは改めて全体を見回す。 あ、平次や。 その隣は、もちろん工藤くん。 その周りはぜぇ〜んぶ女の子。 2人以外の男子生徒は隅に追いやられたんか、講義室の両端辺りに固まっとる。 しかも女の子のほとんどが熱弁中の教授やなくて、真ん中辺りに座っとる平次と工藤くんの方を向いてる。 なんか、溜息零れそうやわ。 「来るんじゃなかったかも・・・」 蘭ちゃんの呟きは、そのままあたしのモンやった。 |
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祝!heiwa本誌登場小噺リベンジ!part4 ★★★★ やっとアホにも名前が付きました。わ〜い。 by phantom
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