「なにさらすんじゃ〜ボケ〜」

凄い勢いで復活した平次は、あたしの顔を見るなり『ケ〜』の発音のまま一時停止した。
「・・・平次?」
??
どしたんやろ?
「へ?は?・・・和葉?」
「はい。」
思わず、返事してしもた。
「はぁ?へ?」
平次は何を思ったんか、周りをキョロキロ見回しとるし。
ほんま、どしたんやろ?

「ここ・・・どこや?」

「・・・・・どこって・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ〜〜〜?!

こっ・・・これって・・・・・・

いっ・・・いや、まてまて。
さっき、ちゃんとあたしの名前言うたやんな。
・・・うん・・・『和葉?』言うた。
なんか・・・語尾か上がっとったようやけど・・・。

「ここ・・・神戸・・・か?」

暫らく回りを見回しとった平次は、近くにあった電柱に目を留めた。
どうやら、そこに書かれとる住所の表示を見てるようや。

おお〜なるほど!

って感心してる場合ちゃうやん。
探偵いうんは目の付け所がちゃうねんなぁ〜、なん思てる場合と違うやろあたし!

ああ・・・なんか、現実逃避が1人ボケツッコミ化してきてるやん。
大阪人の悲しいサガやな。

「俺、いつの間にここに来てん?和葉はずっと俺と居ったんやろ?」

「・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ますます意味分からへんのですけど??

ずっと一緒に居った?
誰と?誰が?

「あんた・・・今まで、どこで何してたん?」

素朴な疑問やから、聞いとこ。

「俺の部屋で和葉と一緒に寝とったはず・・・なんやけど・・・」

平次は腕組みして難しい顔して、小首傾げとる。

「・・・・・」


は・・・・・・はぁ〜〜〜?????


あたしは思わずそんな平次に背を向けて、その場にしゃがみ込んでしもた。

こ・・・これは、もしかせんでもニセモン平次では?

え? でも、記憶戻ったやんな?
え?え? そやけど、この平次『一緒に寝とった』てへ〜ぜんと言うたで?
え?え?え? でっでも、さっきまで『何で俺と寝た』言うて怒ってたやんな?
え?え?え?え? そっそやけど、今は小首傾げてんで?

え〜〜〜?はぁ〜〜〜?訳分からん??

記憶喪失って飛び飛びで来るん?
そもそも、記憶喪失の記憶て戻るん?
ちゃうちゃう、記憶喪失の時の記憶て記憶が戻ると喪失するから記憶喪失の時の記憶て戻らへんから記憶・・

がぁ〜〜〜〜!!!

「あんたあたしの何やの?!!」

そや!これが一番手っ取り早い!

今度はあたしがすっくと復活して、怒鳴り付けた。

「お前なぁ、彼氏に向こうて何やねんな?まぁだ幼馴染とか言うとんのか?それはもうええちゅうねん。それより、何で俺がここに居るんか説明してくれや。」
「ええよ。けど〜、その前に」
昨日と同じく抱き付いてみた。
「へ?か・・和葉?ちょ・・え?」
下から見上げると、思った通り、福神漬になっとった。


ニセモン平次、決定。



って・・・・・どうなってんの?





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