「 CROW - glance around- 」  9
■ 元彼って何やねん! ■ C (その10〜12)


プレミアも無事に終わり、和葉と華月は着替える為に控え室に戻ってきていた。
2人が裕希の側を離れている間は、他の刑事が変わって警護に付く。
そして・・・なぜだか和葉と華月にも。
控え室の外に、後輩刑事がSPのごとく立っているのだ。
「はぁ〜〜楽しかったなぁ〜和葉。」
「そうやね・・・・。やけど・・・・疲れた・・・・・・顔引きつったまんまや〜〜。」
「こんなに楽しませてもろて仕事やていえるんやろか?」
「華月。思っても無いこと言わんと・・・・き・・・・・・・あれ?」
和葉はやっとテーブルの上の置いたままになっていた携帯が、激しくブルブルと自己主張していることに気が付いた。
仕事柄、サイレントにしていることが多いのだ。
和葉は何も考えずに携帯を取って開いた。

『 か〜〜・・・ 』

ピッ。

「あちゃ・・・・。」

和葉は思わず通話を切ってしまった。

「ええの?和葉。今の服部くんやろ?」

じ〜〜と携帯を睨みつけていたが、今度は電源まで落としてしまった。

「和葉?」

「・・・・・・華月は?」

華月は一瞬綺麗な眉を寄せたがすぐに、
「電源入ってへんし。」
と笑って見せた。

「とうとうバレテしもたね。」

「違うやろ和葉。”とうとう”やなくて”やっと”やろ。」

和葉は肩をすくめて、小さく溜息をついた。

「いつから気付いてたん?」
「この任務初めて3日目くらいかなぁ〜。ほんまやったら和葉絶対着ぃへんようなドレスとかも着てたやん。それに北川さんが必要以上にくっ付いて来ても、あんま嫌がってへんみたいやったしぃ。」
「・・・・・。」
「あの脅迫状は、ニセモンなん?」
和葉はゆっくりと首を振った。
「あれはホンマモンや。」
和葉はゆっくりと話始めた。
「裕希が始めえて来た日の夜に電話があってん。そんで、少し話ししてたら”おもろいもんが来たんや”言うて、例の脅迫状のことを話してくれたんよ。裕希は、”こんなん無視や無視”言うて笑うてたんやけど、あたしそん時ちょっと・・・・その・・・・・怒とって・・・・・。」
「それはあのボケに?」
和葉はちょっと寂しそうな顔をして、また首を振った。
「ちゃうよ。平次は何もしてへん・・・・・多分・・・・・。ただ・・・・・平次の携帯に夜かけたら知らん女の人が出て・・・・・・・・。」
「そうなんや。」
話が止まってしまった和葉を、華月が優しい声で促す。
「”服部警視正は今お忙しいので、お電話があったことはお伝えしておきます”って言われて切られてん。なんやその声が、笑うとるように聞こえてしもて・・・・・・・。しかも、その後も結局連絡してくれへんかったし・・・・・・・。」
バキッ!
「えっ?」
「あっ。何でも無い続けて。」
華月が近くにあった紅筆を圧し折った音だった。
「もちろん事件追うとって忙しいんは分かってるんや。分かってるんやけど・・・・・・・、平次を一人で行かせたんもあたしやのに・・・・・・・・。」
「服部くんが浮気してるて思う?」
今度は大きく首を振った。
「そんなん思うてへん。平次はそんなことせぇへん・・・・・・ただ・・・・。」
和葉は真っ赤になって、
「あたしが・・・・・・勝手にヤキモチ焼いただけや・・・。やって、平次カッコええから心配なんやもん・・・・。」
と俯いてしまった。
「かっ・・・・和葉可愛ええ〜〜〜〜!」
華月は和葉に思いっきり抱き付いた。
「今のセリフ、あのボケが聞いたら壊れるんちゃう?!」
「ちょっと華月〜〜!人がマジメに話てんのに〜〜〜。」
「ちゃんと聞いてるて。うちかて似たようなもんやもん。」
「華月?」
「冬樹が扱うてる事件は機密事項が多うて、携帯切っとることが多いんよ。やからオフィスとかに連絡入れるんやけど、そしたら決まって秘書なんか雑用なんか知らんけど同じ女が出て、いかにも冬樹の面倒は私が見てます態度なんやで。ムカツクちゅうねん!」
和葉は唖然と華月を見ている。
華月がこんなコトを言うのは初めてなのだ。
「冬樹はうちのモンなんやから、勝手に近づくな!な〜〜にが、”奥様はご心配無く”やねん!!」
仁王立ちで怒っている。
今度は和葉がクスクス笑って、
「華月が久保くんのコト大好きやって知っとったけど。初めて華月ん口から聞いたわ。今のセリフ、本人に言うてあげたらええのに。」
とやり返した。
が、
「甘やかしたらあかんやろ?」
と華月。
「そやね。甘やかしたらあかん。」
と和葉。
華月は一度大きく呼吸をした。
「今回のこの護衛はほんまは和葉が言い出したコトやったんやね。そんで北川さんも喜んでその意見に賛成したと。」
「流石は華月ちゃん、話が早い。」
和葉もいつもの様子に戻っている。
「そんで、華月と誰かさんはもうとっくに犯人の見当はついてるんやろ?まったく、あたしに相談もせんと。」
「よう言うわ。和葉かて、それとなく必要な情報提供してたんちゃうん?」
2人は同時に噴出した。
「後は仕上げやな。」
「帰って来るかな?」
「絶対、速攻で帰って来るて。しかも、2人揃ってな。」

華月が自分の携帯を取り出すと、和葉も自分の携帯を改めて手に取った。
そして2人同時に電源を入れると、2台同時にすぐに着信の表示。

『 か〜〜〜ず〜〜〜は〜〜〜〜〜!!! 』
今度はちゃんと呼ばせてあげた。
「どしたん平次?」
『 おっお前何やってんねん!!! 』
「何って?仕事やけど?」
『 何でさっき切ったんや!!! 』
「仕事中やからやけど。」
『 チャラチャラして男とTV映るんが仕事かいっ!!! 』
「そやで。ほな、まだ勤務中やから切るな。」
ピッ。

『 華月!華月! 』
「どないしたん冬樹?」
『 あの男は誰だ!なんで華月があんなヤツの恋人なんだ!!! 』
「ちゃうちゃう。うちは秘書やで。」
『 は?秘書?誰の? 』
「彼の。彼に用があるんやったらうちを通してからにしてや。」
『 それが何でドレス着てTVで恋人って言われるだよ!!! 』
「それも任務やから。まだ終わってへんから切んで。冬樹もがんばりや。」
ピッ。

「どうやった?」
「ヘリみたいな音がしてへんかった?」
「したした。」
「やったら猶予は後2時間位いうとこやな。」

2人はそう言いながらも、とても嬉しそうな表情をしていた。





「元彼って何やねん!」B 「元彼って何やねん!」D


はいっ。「CROW-glance around- 9」■元彼って何やねん!■C(その10〜12)でした。
長いなぁ・・・。
by phantom

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